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2009/12/25
生物多様性を守れ。グローバリゼーションの象徴のようなアメリカの巨大ビジネスが、大きく変貌しようとしている。全面的な再生エネルギーの導入、サステナビリティを重視した商品選び、廃棄物ゼロを目指すなど、従来では考えられないほど包括的な視点で、持続可能性を志向する方向に変わりつつあるのだ。
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■■ ビジネス選書&サマリー
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数57,118部>━
■今週の選書
■企業のためのやさしくわかる「生物多様性」
■枝廣淳子・小田理一郎/技術評論社
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■■選書サマリー
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生物多様性を守れ
【1】
グローバリゼーションの象徴のようなアメリカの巨大ビジネスが、
大きく変貌しようとしている。
全面的な再生エネルギーの導入、サステナビリティを重視した商品
選び、廃棄物ゼロを目指すなど、従来では考えられないほど包括的
な視点で、持続可能性を志向する方向に変わりつつあるのだ。
背景には、社会が「生物多様性」を守ろうと動き出したことが大き
い。日本ではまだ目立たないが、世界の企業が「温暖化の次のテー
マ」とばかりに、生物多様性への取り組みを展開し始めている。
生物多様性への対応は、次の時代に「生き残れる企業」と「生き残
れない」企業を決する、ひとつの分岐点になるはずだ。
【2】
リオデジャネイロの地球サミットで採択された条約によると、生物
多様性とは「すべての生物の間の変異性をいうものとし、種内の多
様性、種間の多様性および生態系の多様性を含む」と定義している。
この定義には「種内」「種間」「生態系」の3つが含まれている。
生物多様性とは、種だけではなく、遺伝子でも生態系のレベルでも、
生物学的なプロセスも含めて多様であるという意味なのだ。
一方、生態系という概念は、食物連鎖などの生物間の相互関係と、
それを取り巻く水、空気、土壌などの相互関係を総合的にとらえた
生物社会のまとまりを示す。
その規模はさまざまで、湖には湖の生態系があり、ある川を軸にし
た水系を一つの生態系と見なすこともできる。
だから、生物多様性を考える時は「様々な生態系に、様々な種が、
様々な遺伝子を有して生きている」という3つのレベルを理解し、
そのすべてにおける多様性を考えることが大切だ。
【3】
2005年、世界の科学者が参加してまとめた「ミレニアム生態系評価」
が発表された。これは、生態系の現状と動向、生態系保全やその持
続可能な利用、人間の福利に対する貢献について科学的な根拠をま
とめたものだ。
その大きな特徴は「人間の幸福や福利に、生物多様性や生態系が、
どのように役に立っているのか」という視点だ。
生物多様性は人間の福利に直接つながるわけではないため、理解し
にくい。また、生物多様性と企業が直接的にどうかかわっているか
についても見えにくい。
そこで、わかりやすい概念として生まれたのが「生態系サービス」
だ。つまり「生態系から人間が得られる便益」だ。これを中心に考
えるアプローチが、生物多様性を考える上で主要な枠組みだ。
【4】
生態系が提供する生態系サービスには、さまざまなものがある。
大きく分けると4種類ある。
第1は「供給サービス」だ。食料や燃料、水など人間の生活にとっ
て重要な資源を供給する。第2は「調整サービス」だ。大気の浄化
や気候の調節を行うなどさまざまな自然の営みを制御する。
3番目は「文化的サービス」だ。山の中を歩いて心が穏やかになる
ような非物質的な恵みのことだ。最後は「基盤サービス」だ。光合
成や水の循環など、ほかのサービスの基盤となる。
ミレニアム生態系評価によると、1950年から2000年の間に、24種
類の生態系サービスのうち、15種類のサービスが劣化したという。
5つは増加と減少が入り交じりで、向上したのはわずか4つだ。
さらに同評価は、2050年までに「生態系サービスの劣化は顕著に進
むだろう」と予測している。
別のレポートでは、こうした生態系サービスの劣化により、2050年
には、森林関連サービスだけでも世界のGDPの6%に相当する
1.35兆ユーロが、毎年失われると推定している。
私たちの生活や経済が依存している生態系サービスが劣化すると、
大きな代償を払わねばならなくなる。今こそ、本格的な取り組みを
始めるべきなのだ。
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■■選書コメント
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本書は、最近よく耳にする「生物多様性」の基本を学ぶことができ
る本です。環境問題というと「地球温暖化」ですが、この生物多様
性にも注目が集まっています。
理由は、この生物多様性が、世界各地で損なわれ、危機的状況にあ
るからです。これに伴って国際的なレベルで、様々な取り組みが始
められています。
これらの取り組みは、雑誌などのメディアでも目にしますし、会議
やシンポジウム、セミナーなどが増えています。そのため「温暖化
の次のテーマか」と言われるようになりました。
ただ、正直わかりにくいのも事実です。温暖化のように、仕組みが
シンプルではありませんし、二酸化酸素排出量という指標があるわ
けでもないからです。
それでも、もはや目をつぶることはできません。それだけ、生態系
は危機にさらされているのです。私たち人間も、多様性がもたらす
空気や水などがなければ、安全に生きられません。
企業も無縁ではありません。ビジネスの中で、どうやって生物多様
性を維持し、利用していくかが問われます。生物資源やその多様性
の「持続的利用」が課題になるのです。
そんなホットな話題、生物多様性について、わかりやすく解説して
くれるのが本書です。生物多様性とは何か、なぜ関心が高いのか、
どんなビジネスチャンスとリスクがあるのかなどが書いてあります。
温暖化の時もそうでしたが、いち早くリスクを認識し、それを回避
し、さらにチャンスに変えた企業が、その後、成長しています。今
度こそ乗り遅れないように、今から一読されることをお勧めします。
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