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藤井が、日々の気づき、学びをテーマごとに綴ります。

名前: 藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム代表
(株)アンテレクト代表取締役

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

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「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト

2010/02/12

人材育成で差がつく時代―――
「勝ち組」のビジネスパーソンが成功したのは「研修を受けたから」ではない。もちろん、必要最低限の研修は必要だが、研修が人材育成の根幹になることはない。経験こそが重要なのだ。だから、これからの人材育成は「研修のデザイン」でなく「経験のデザイン」であるべきだ。この点で戦略のギアチェンジを正しくできない企業は、世界中の企業から取り残されてしまうはずだ。


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人材育成で差がつく時代

【1】

「勝ち組」のビジネスパーソンが成功したのは「研修を受けたから」
ではない。もちろん、必要最低限の研修は必要だが、研修が人材育
成の根幹になることはない。経験こそが重要なのだ。

だから、これからの人材育成は「研修のデザイン」でなく「経験の
デザイン」であるべきだ。この点で戦略のギアチェンジを正しくで
きない企業は、世界中の企業から取り残されてしまうはずだ。

なぜなら、これからは企業が人材に選ばれる時代だからだ。そして
人が企業を選ぶときに最も重視するポイントが、人材育成プログラ
ムの充実の度合いになるからだ。

【2】

これまでは「ヒト、モノ、カネ」の3要素の適切な配分を考えるこ
とが、経営の中心課題だった。しかし、自分の意志を持っているヒ
トを、モノやカネと同列に扱うことはできない。

そして、企業の存続になくてはならない「イノベーション」は、
自由意志を持っているヒトだけが起こすことができるからだ。

ところが、これまで企業の人材育成はイノベーションとは逆の、保
守的な人材が担当してきた。学問の世界でも、イノベーションを起
こす個々のヒトにはフォーカスが当たってこなかった。

少子高齢化で、優秀な人材を社外から確保することが困難になった。
手持ちの人材を育成することこそが、人事戦略上の中心課題だ。

モノあまり、カネあまりの時代の今、ヒトこそが企業経営に残され
た最後の開発ターゲットなのだ。

【3】

「二極化」の問題も、加速度的に進行するグローバル化で説明がつ
く。グローバル化が進めば、企業は最も人員数が多い層、つまり、
平均的な職務能力を持つ人材を海外にアウトソースするようになる。

一方、アウトソースを受けるほうも、平均的な職務能力を持ってい
る人材、つまり最も確保が容易な層に注文する。両者にはWin-Win
の関係が発生するわけだ。

そうなると平均的な職務能力しか持たない日本の労働者は仕事がな
くなる。彼らがとるべき選択肢は二つだ。ひとつは、自分の能力を
高めて、いわゆる「勝ち組」への道をめざす方法だ。

もうひとつは、キャリアを追い求める道をあきらめつつ、自分の能
力以下の仕事に甘んじる道だ。後者を選べば、深刻な「貧困」に直
面することになる。

グローバル化は止められない。いずれ世界規模で「同一スキル、同
一賃金」になるはずだ。そこには、単純な二極化構造はなく、広い
分散だけが残る。均衡点は間違いなく平均給与で300万円以下だ。

こうした現実に対し、従業員はもっと危機感を持つべきだ。企業も
従業員を叱咤激励し、彼らを路頭に迷わせないための人材育成を打
ち出すべきだ。

【4】

選択肢が増えれば、自由度は増す。だが、人間はあるレベルを超え
て選択肢を持つと、反対に何も選べなくなってしまう。現代の先進
国の社会は、まさに選択肢が多い社会だ。

この多すぎる選択肢がもたらす不幸は、人材育成でも同じだ。選択
肢が多いと何も選べなくなってしまうのだ。これを解消するのが、
判断の軸となる価値観の形成だ。

人材育成の場合、価値観になるのが「企業理念」だ。企業理念とは、
企業がめざす理想だ。企業内のすべての判断は、企業理念の実現に
直接・間接に貢献しているべきだ。

また、企業理念は、その企業に集う人間の価値観の最大公約数でも
ある。ところが、人材が企業理念を正しく理解し、共感しているケ
ースは稀だ。現実には、たまたま今の仕事をしているに過ぎない。

こうした現実があるからこそ、企業における人材育成の目的は、企
業理念の浸透にこそあるべきなのだ。企業の人材育成では、まず、
この企業理念が明確であることが大前提なのだ。

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■■選書コメント
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本書は、企業の人材育成の本です。フリービットという会社で人材
育成を担う著者が、自社の人材育成プログラムや、その論理背景、
導入のポイントなどを分かりやすく解説してくれます。

新書というと、問題提起や考え方だけが書かれているのが普通で、
具体的なことにはあまり触れないことが多いようです。そのため、
さらに詳しい説明は、実務書などに求める必要がありました。

その点、本書は、ページの制約がある中で、かなり詳しく、具体的
なことが書いてあります。タイトルに「テキスト」とある通り、こ
のまま実務書として使えるほどの詳しさです。

また、自社のノウハウをかなり赤裸々に明かしています。最終章で
は、自社で実施している30のプログラムのうち、特に効果がある8
つのプログラムを紹介しています。

いずれも、許可なく使っていいとのことです。ここまで開示して大
丈夫かと心配になりますが「人材育成は会社間で切磋琢磨しなけれ
ばだめだ」という、著者のポリシーの表れなのだと思います。

昨今の不景気の影響で、新規採用を控える企業が増えています。新
しい人を雇えなければ、旧い人を育てる必要がありますが、そちら
にも手が回らないのが現実です。

新しい人は採らない、旧い人は育てないでは、未来はありません。
洋の東西問わず、いつの時代も、人を軽視する組織は、必ず滅びて
います。本書をきっかけに、改めて人材育成を考えたいものです。

本書は、企業の人事担当者やマネージャー向けに書かれた本ですが、
人材の育成に悩む経営者や、自分のキャリア形成を考える若い人に
とっても、たくさんの気づきのある本だと思います。

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