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インタビュー

著者に訊けビジネス選書家 藤井孝一の直撃インタビュー

ビジネス書のベストセラー著者に、著者インタビューで定評のある藤井が直撃体当たりインタビューをしてきます。本に書けなかったメイキングから、執筆の苦労話、読者への熱いメッセージまで、著者から引き出します。

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2008/06/11
年収2000万円の転職術 ‐ 神川貴実彦さん

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今回、ご登場いただくのは『年収2000万円の転職術 「高学歴・中収入・低資産からの脱出法」』の著者、神川貴実彦氏です。転職エージェント社長である神川氏に、年収倍増の転職術について、お話いただきます。
神川貴実彦
神川貴実彦(かみかわ・きみひこ) さん

1968年、神奈川県横浜市生まれ。ムービン・ストラテジック・キャリア代表取締役。早稲田大学法学部卒業。ジョンズホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)グラデュエットディプロマ修了。ベンチャー企業営業職、ボストン・コンサルティング・グループを経て、1997年に株式会社ムービンを設立。2000年にムービン・ストラテジック・キャリア設立。編著に『コンサルティングの基本』(日本実業出版社)。

●現在のお仕事内容をお教えください。

神川:12年前にムービン・ストラテジック・キャリア(以下、ムービン)という人材紹介会社を立ち上げ、主にコンサルティング会社や金融機関への転職サポートを行なっています。私どもの会社では、ただ単に右から左へ人材を流すのではなく、付加価値をつけています。その一つが、コンサルティング会社または金融機関経験者であるスタッフが、独自の視点で転職志望者にアドバイスしていることです。コンサルティング会社や金融機関への転職は狭き門ですが、おかげさまで、高い確率で転職に成功しています。

●現在のお仕事に至るまでの経緯をお教えください。

神川:ムービンを設立する前までは、ボストン・コンサルティング・グループで働いていていました。ところが、あまりにも仕事が忙しく、わずか1年で体を壊してしまいました。医師からは「入院2、3ヶ月。検査の結果次第で、余命5年」と宣告されました。当時、私には妻と幼い子どもが2人いました。これまで通り働けるとは限りません。にも関わらず、当時は借家住まいで、貯金も100万円程度しかありませんでした。
そのときになって初めて、私はお金について、真剣に考えるようになったんです。そこで、人材紹介の仕事をしている知り合いに相談して、ムービンを立ち上げるに至りました。

●本書を書かれたきっかけをお教え下さい。

神川:ムービンを立ち上げてから数千人の転職志望者と面談をしました。そこで、気づいたのが、みなさん、お金について、具体的に考えたことがないということです。
まず、コンサルティング会社や金融機関への転職を希望するぐらいですから、みなさん、高学歴です。しかし、必ずしもそれに見合った収入を得ていないんです。
次に、みなさん、「年収は高ければ高いほどいい」「いい暮らしを送りたい」というだけで、希望年収も、ライフプランも漠然としているんです。
たとえば、子どもの教育、家、車、仕事以外の夢、生活のリスクなど、どんな生活を送りたいのか、具体的に考えなくてはなりません。そのうえで、そのためにはいくら必要なのか、はじき出す必要があります。
実は、そこまでしなくては、たとえ転職できたしても、後で気がついたら自分のイメージする生活を送るには程遠い収入しか得られないということにもなりかねないんです。
そこで、高学歴にも関わらず、中収入・低資産の方たちに向けて、お金を中心としたキャリアプランを提案することにしました。

●就職本では、やりたいことを見つけることを勧めています。なのに、どうして「やりたいこと」ではなく、「お金」を中心とした転職術を提案しているのでしょうか?

神川:確かにやりたいことは大切です。でも、実際にやりたい事に巡り会える人はかなり少数です。
そもそも、私に言わせれば、本当にやりたいことに出会える人なら、30歳になる前に見つかっているはずなんです。例えばスポーツやアートの世界では、10代のうちにやりたいことを見つけているわけですから。逆にもし30歳を過ぎて、やりたいことが見つかったと思っても、勘違いしている可能性が高いんですよ。
それならば、一度お金中心に考えてみてもいいじゃないですか。さきほど、お話した通り、私自身、病気になって初めて、お金について、具体的に考えるようになりました。そして、お金を通して、漠然としていた将来が見えるようになってきました。将来を考える上でお金は大切なものなんです。

●本書の見出しに「東大以外は五十歩、百歩!?」とありますが、衝撃的ですね。

神川:よく「人は学歴だけで判断してはいけない」と言われます。でも、転職の世界では、それは建前なんです。コンサルティング会社や金融機関に転職したいのであれば、東京大学以外は武器とはなりません。東京大学以外の大学出身であれば、何かしらのプラスαが必要となってきます。もちろん、東京大学という学歴も新卒時が一番価値があり、50歳で東大卒だといっても相手にされないですが・・・・。
ちなみに、私は教育ママがよくないと思っています。教育ママは、子どもを少しでもレベルの高い大学に入れるのが子供のためだと躍起になっているようです。でも、極論すれば東京大学以外はそれ程差は無いんです。そういう認識が無いまま無理して子どもに勉強させている。子どもの視野を広げ、勉強以外で得意とする分野を見つけてあげた方がいいかもしれない。ネットの世界でも、おたくの世界でも、どんな世界でもいいので、その道ではカリスマと呼ばれるように教育した方が、子どもの将来のためにはプラスになるかもしれない。

●転職の良い例をお教えください。

神川:たとえば、ある転職志望者は大手外資系戦略コンサルティングファームで働いていました。彼も優秀ですが、周りもみんな優秀ですから、なかなか認めてもらうことができませんでした。ところが、こじんまりしたコンサルタント会社に転職したところ、大手外資系戦略コンサルティングファームでの勤務経験があるということで、周りから一目置かれるようになったんです。その結果、自信がつき、仕事がうまくいくようになりました。
ちなみに、私は転職をすることによって、人間的に成長することができると思っています。なぜなら、転職することによって、たとえ同じ業務内容でも新しい組織、やり方で成果を出すことで自分自身の経験値を高めることができるからです。
 私たちは生まれてから死ぬまで、さまざまなことに思い悩みます。そのとき、悩みを解決する材料となるのが、いままで経験してきたことなんです。自分自身が見聞きしたものからしか、未来を判断することができないのですから、経験は多ければ多いほど良いのです。

●逆によくない転職例をお教えください。

神川: 45歳を過ぎてからの転職はリスクがあります。また、一度、転職してしまうと、それが癖になってしまう人もいます。その点には気をつけてほしいですね。

●最後に、読者にメッセージをお願いします。

神川:日本では、お金のことを話すのは、タブーであるといった風潮があります。しかしお金がなければ、やりたいこともできませんし、いざというとき、家族を守ることもできません。結果、避けてきたお金に翻弄されてしまうだけの人生で終わってしまということも良くあるのではないでしょうか。
あなたの人生は一度きりです。自分自身の望む生活を送るためには、どのぐらいのお金が必要なのか、いまの仕事でそのお金を得ることはできるのか、いま一度、考えてみてはどうでしょうか。

本日はありがとうございました
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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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