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インタビュー

著者に訊けビジネス選書家 藤井孝一の直撃インタビュー

ビジネス書のベストセラー著者に、著者インタビューで定評のある藤井が直撃体当たりインタビューをしてきます。本に書けなかったメイキングから、執筆の苦労話、読者への熱いメッセージまで、著者から引き出します。

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2008/01/15
お金は銀行に預けるな ‐ 勝間和代さん

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今回は『お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践(光文社)』の著者、勝間和代氏にお話を伺います。本書では、家計の将来に備え、身につけなければいけない考え方とノウハウを紹介。お金との付き合い方が分かる1冊です。
勝間和代
勝間和代(かつま・かずよ) さん

1968年東京都生まれ。経済評論家、公認会計士。早稲田大学ファイナンスMBA、慶應義塾大学商学部卒業。当時最年少の19歳で会計士補の資格を取得。以後、アーサー・アンダーセン、マッキンゼー、JPモルガンを経て独立。2005年、『ウォールストリート・ジャーナル』から、「世界の最も注目すべき女性50人」に選ばれる。著書に『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』など。

●現在の仕事に至るまでの経緯をお教え下さい。

勝間:早稲田大学ファイナンスMBA、慶應義塾大学商学部を卒業し、会計士補の資格を取得しました。その後、アーサー・アンダーセンの公認会計士、マッキンゼーの戦略コンサルタント、JPモルガンのディーラー証券アナリストを経て、経済評論家として独立しました。

●前作に引き続き、大変な売れ行きですね。

勝間:ありがとうございます。おかげさまで、プロの方にも、いままで投資に関して、ネガティブな考えを持っていた方にも、好評です。

●勝間さんのように「お金は銀行に預けるな」とおっしゃる方は、いままでいらっしゃらなかったのではないでしょうか。

勝間:そうですね。一般的に、銀行にお金を預けることは安全だと考えてられていますから。でも、銀行にお金を預けることは、実はリスクなんですよ。
なぜなら、銀行の利率は1%以下ですが、株や債券は4~5%ものプレミアムが得られます。手数料を差し引いても、銀行よりも株や債券の方がお得です。つまり、銀行にお金を預けるということは、株や債券で得られる利益を放棄していると同じことなんですよ。
損をするのは、お金だけではありません。銀行にお金を預けている人が、投資している人と同じぐらいの利益を得るためには、長時間働かなければなりません。労働時間が増えれば、その分だけ、自分自身の時間も減ってしまいます。さらに、自分の時間が減ると、金融の勉強をする時間がなくなり、ますます長時間働かざるを得なくなるという悪循環に陥ってしまうのです。
皆さん、労働力でお金を稼ぐという考え方は持っています。でも、これからは投資、つまり、お金に働いてもらうという考え方にも慣れなくてはいけません。

●たいていの人は、投資と言うと、いきなり株を始めてしまいますよね。

勝間:そうです。でも、株、なかでもデイトレはお金をなくす、一番てっとり早い方法なんです。私はお勧めできません。
一度も投資したことがない初心者は、ノーロードのインデックス投信から始めてはどうでしょうか。なぜなら、手数料が安く、投資信託の平均的なリターンを上回っているからです。
リスクを最小限に抑えるためには、日本株式のインデックス・ファンド、日本債券のインデックス・ファンド、海外株式へのインデックス・ファンド、海外債券へのインデックス・ファンドと、分散投資することをお勧めします。
まずはやってみることです。買った投信の運用レポートが定期的に送られてきますから、それで勉強ができます。
しばらくするとインデックス投信では物足りなくなるかもしれません。投資のイメージをつかむことができたら、アクティブ投信に移ってもいいですね。

●こうした考え方についていけないと、将来、困ったことになるんでしょうね。

勝間:そうですね。私たちが老人になる頃には、1人の老人の年金を1・5~2人が支える時代になっています。おそらく月に3~5万円程度の年金が得られれば、御の字ではないでしょうか。
でも、月に3~5万円程度では、とても生活できません。だからと言って、貯金を切り崩していくのは不安です。
こうした年金不安を乗り越えるために必要なのは、投資です。老後に3000万円の貯金があって、5~10%で回すことができれば、最低水準の生活ができると思いますよ。
ただし、65歳からいきなり投資を始めようとしても、何から手をつけていいのか、分からないと思います。下手をすれば、騙されかねません。老後の生活を守るためには、20代の頃から投資に慣れておいたほうがいいですね。

●本書では、銀行にお金を預けること以外にも、住宅ローンを組むことがリスクだと述べられていましたが・・・・。

勝間:実は、金融的に考えると、住宅ローンを組むことは最大のリスクなんです。ローンが足かせとなって、何かやりたいことがあっても会社を辞められなくなりますし、将来に備えて何の金融商品も積み立てられなくなるからです。でも、地方の場合はいい物件がないので、住宅を購入するしかないこともあります。もし住宅ローンを組みたいのであれば、十分物件を吟味して、そして金銭的に余裕を持ってほしいですね。

(続く)

●勝間さんが実践されている有効的な時間の使い方について、お教えいただけますか。

勝間:5年ぐらい前に、お酒とタバコをやめました。すると、驚くほど、自分自身の時間が増えましたね。また、健康面でのリスクも減りました。
私は移動時間も、無駄にはしません。例えば、飛行機の中にいるとき、暇つぶしをする人をよく見かけます。でも、それはもったいないことです。飛行機の中は、十数時間、誰にも邪魔されずに過ごすことができる空間です。私は飛行機の中では、執筆をするようにしています。1時間に2000文字のペースです。実は、原稿の半分以上は、飛行機の中で書いているんですよ。
また、都内であればすべてスポーツ自転車で移動するようにしています。それは自転車のほうが、タクシーを使うよりも、スムーズに移動できるからです。自転車にナビをつければ、初めてのところでも、迷わずに行けますよ。
スムーズさだけではありません。生活習慣病を予防するには、日々の運動が大切だと言われています。かといって、忙しい中、無理して運動する時間を捻出するのは大変です。でも、移動を自転車にしてしまえば、自然に運動することができると思います。それに、移動中は自転車走行中にオーディオブックを聞くこともできますし。移動を自転車にすることで、多くのメリットを得ることができます。

●自転車で移動するのは、大変ではないですか。

勝間:都内であれば、だいたい4、5キロで移動できます。それに、毎日、自転車で走っていると、自然と体力がついてなんともなくなりますよ。実は、1日10km程度しか移動しないとわかっているときは、歩いているんです。
どうして私がそこまで体力にこだわるかというと、行動力イコール体力だと思っているからです。頭のなかで考えていることを実現させるためには、体力が必要となります。例えば、「銀行に預けるな」と言われて、実際に口座を開いて、お金を動かすということも、体力がないとできません。私は体力がない人=行動力がない人ではないかと考えています。

●私は前々からサラリーマンと経営者では基本的な体力というか、エネルギーが違うと思っているんです。エネルギーがあるから経営者になれるのでしょうか、それとも経営者だからエネルギーがあるのでしょうか。

勝間:私は前者だと思いますよ。私自身、エネルギーの蓄積は、体を鍛えること、頭を働かせることしでしかできないと思っています。

●最近、特に、エネルギーのない、依存心が強い人が増えているように思います。例えば、年金に不安があるのであれば、自分の力でなんとかしようという風に考えればいいのに・・・・・・と思ってしまいます。

勝間:確かに。実は、本書を読んだ方から、どこの証券会社で、何の投信を購入すればいいのか、質問を受けることが多々あります。他人に頼りすぎるのは良くないのではないでしょうか。自分の頭で調べることから、金融の勉強は始まると思っています。

本日はありがとうございました。
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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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