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インタビュー

著者に訊けビジネス選書家 藤井孝一の直撃インタビュー

ビジネス書のベストセラー著者に、著者インタビューで定評のある藤井が直撃体当たりインタビューをしてきます。本に書けなかったメイキングから、執筆の苦労話、読者への熱いメッセージまで、著者から引き出します。

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2010/02/04
社長さん、会社を潰したくないなら... ‐ 柳澤賢仁さん

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中小企業の経営者にとって、厳しい時代が続きます。最大の悩みは、資金繰りではないでしょうか。銀行融資だけではない、キャッシュの作り方を解説します。●相談できない経営者のお役にたつ 事業再生のコンサルティングを主な事業領域にしています。今、中小企業にとっては、大変に厳しい時代です。彼らは、誰にも相談できないでいます。業績が本当に悪くなって、報酬が払えなくなれば、さすがに会計士も、税理士も去っていきます...
柳澤賢仁やなぎさわけんじ さん

(株)柳澤経営研究所代表取締役 慶應義塾大学経済学部を卒業し、同大学院修士課程を修了。税理士試験に合格後、外資系最大手アーサー・アンダーセン税務事務所、KPMG税理士法人に勤務。上場企業のエリートを相手に金融系の特殊税務に従事。独立後は資金繰り悪化のため倒産危機に瀕した中小企業経営者の心の負担を軽減すべく、あらゆるテクニックを研究、助言、指導。依頼者のメンタルケアに生きがいを感じ、くだり局面で生かされる男、資金繰りの体育教師の異名をとる。

中小企業の経営者にとって、厳しい時代が続きます。最大の悩みは、資金繰りではないでしょうか。銀行融資だけではない、キャッシュの作り方を解説します。

●相談できない経営者のお役にたつ

 事業再生のコンサルティングを主な事業領域にしています。今、中小企業にとっては、大変に厳しい時代です。彼らは、誰にも相談できないでいます。業績が本当に悪くなって、報酬が払えなくなれば、さすがに会計士も、税理士も去っていきます。そんな中で「破産しそうな人のお役に立つ」と思い至ったのがこの仕事です。
 本書を書いたのも、同じ思いからです。ちょうど、この本を書いてた当時は、まさに自分の会社も転換期に差し掛かっている時期で、大変悩みました。もともとは税理士事務所をやっていましたが、税理士の世界も、六万人の税理士と三万社の税理士事務所がある過当競争の時代です。そこで「自分らしさを発揮しながら生き残る」ことは大変なことだと感じました。そんな中、ある人物との出会いがあって、それをきっかけに企業再生という今の事業形態に行き当たったのです。

●何のために経営するのか?

 仕事をして感じるのは「何のために経営するのか?」を考えることが、経営者にとって、とても大事だということです。中には、自分のため、お金のためで頑張る人もいます。しかし、そういう会社は、誰も応援しません。強い会社は、大義名分に適う企業理念を持っているものです。
 誰かが損をすることで、自社が儲ける、そんなビジネスはダメです。よくいわれるWIN-WINの関係でなければ、ビジネスは生き残れません。
 私のやっている事業再生の仕事は、まずお客さんにキャッシュを作って差し上げて、その一部を報酬としていただくモデルです。たとえば、銀行に返済の猶予をお願いしたり、外部の企業とアライアンスを組んで売上げを立てるといったことを手伝います。だからこそ、お客様に喜んでいただけるのです。

●何もしないという選択肢もある

 事業の再生を自分だけでやるのはなかなか困難です。たとえば、経営者は、業績が悪くなると、すぐに陣頭指揮をとって売上げを増やそうとします。特に、社長は営業出身者が多いため、営業に走りがちです。
 しかし、今は不景気ですから、それは容易なことではありません。むしろ、打って出るより、生き残ることを最優先にして、前向きなことはしないほうがいいケースもあります。固定費が少ない会社なら、冬眠することだってできるはずです。代わりに、助成金を取ることに専念するのです。そんな風に、お客様サイドに立ったアドバイスをしています。確実に喜んでもらえますので、大変やりがいのある仕事です。

●終わりの局面こそ、経営者の器がよく現れる

 事業再生という仕事は、人間の生きざまが見える仕事です。そして、私たちがお付き合いするのは、お金に余裕のない経営者です。私たちのところに相談にみえる方は、皆さんお金のことで頭がいっぱいのはずです。それなのに、態度は全く違います。ここに社長の器が現れます。
 素晴らしい社長は、どんな局面でも明るい社長です。私のお客さんにも、どんなに悲惨な状況でも、一発ギャグをかまさないと気が済まないという方がいます。また、仕事も無いのに、出社して、朝から晩まで働いている社長がいます。そういう明るい社長は、誰もが応援したいと思うはずです。
 反対に、ネガティブな社長は応援したくないものです。いろいろな提案をしても「そうはいっても・・・」「できない」というフレーズが出る社長がいます。そういう人と付き合っていると誰もがネガティブになります。
 明るい社長は、そんなとき「やってみよう」とリスクをとれる社長です。それでなくてもヤバイ状況なのに、新しいことを始めるのは火に油を注ぐような行為かもしれません。それでもやってみる、そんな社長がいる会社は有望です。

●危機に直面したら

 会社の危機に直面したら、まずは行動を起こすことです。多くの経営者が、業績が悪くなると、会社の現実から目をそむけます。たとえば、会社の家賃が相場よりも高く、大きな負担になっている場合、すぐに大家さんに電話をして交渉すればいい話です。
ところが、業績の悪い会社の社長は、なかなか電話をしないのです。そうこうしている間に本当にお金がなくなって、最後には引っ越しの費用すら出なくなります。
 経営者は、普段はちやほやされていますから、プライドが邪魔をして人に頭を下げられないのかもしれません。しかし、事態がひっ迫していたら、そんなことは言っていられません。できることに一つずつ着手していくしかないのです。

●会計の仕事は、人の死が身近

 仕事をしていると「つくづく、お金と人の命はつながっている」と感じさせられます。今や日本では、毎日100人近い人がなくなっています。そのうち、三分の一が中小企業の経営者と言われています。
 人の死に直面して、ずいぶん死生観について考えさせられました。人が必ず死ぬように、会社も必ず死にます。世界一古い会社といわれる、あの金剛組でさえも一度は倒産したのです。
 その時、死に際をきれいにできるかどうかが大切です。たとえば、「会社は死んでも、採算事業は外に出して残す」ということで生き残ることもできるのです。
 今は厳しい時代ですが、どんな局面でも、人と交わって笑っていればなんとかなるものです。とにかく生き残ってほしいと思います。
 それと、整理整頓や挨拶ができない会社は、間違いなく業績が悪い会社です。ぜひ、掃除と挨拶はしっかりやっていただきたいものです。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム発起人・元代表
(株)アンテレクト代表取締役

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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