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インタビュー

著者に訊けビジネス選書家 藤井孝一の直撃インタビュー

ビジネス書のベストセラー著者に、著者インタビューで定評のある藤井が直撃体当たりインタビューをしてきます。本に書けなかったメイキングから、執筆の苦労話、読者への熱いメッセージまで、著者から引き出します。

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2010/11/05
象の鼻としっぽ ‐ 細谷功さん

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ベストセラー『地頭力を鍛える』などの著書で知られる、経営コンサルタントの細谷功先生に、最新刊『象の鼻としっぽ』についてお話を伺いました。日常生活でもよく起きるコミュニケーションギャップのメカニズムを、ズバリ解明してくれます。...
細谷功
細谷功(ほそやいさお) さん

ビジネスコンサルタント、コンサルティング会社クニエのマネージングディレクター。1964年、神奈川県に生まれる。東京大学原子力工学科を卒業後、東芝で8年間エンジニアとして働いたのち退職。経営コンサルティング会社のアーンスト&ヤング・コンサルティング(クニエの前身)に入社する。以来、会社の仕組み(業務プロセス、組織、IT)の改革にクライアント企業と取り組んでいる。著者に『「地頭力」を鍛える』(東洋経済新報社)『いま、すぐ鍛える地頭力』(大和書房)『地頭力のココロ』(ソフトバンククリエイティブ)『「Why型思考」が仕事を変える』(PHPビジネス新書)がある。


-ベストセラー『地頭力』などの著書で知られる経営コンサルタントの細谷功先生にお話を伺います
-この本の内容について簡単に教えてください
テーマは、コミュニケーションギャップです。この本では、そのメカニズムを解明しています。これまでは、主に思考について書いてきましたが、それをコミュニケーションに生かしたら、どうなるかということを一冊の本にまとめました。
-何かきっかけがあったのですか?
日常のコミュニケーションの中で、ギャップの原因が三つに集約できることに気づきました。「人はみな自分中心」「伝わっているという幻想」そして、本書のテーマである「象の鼻としっぽ」です。この「問題発見」さえきちんとできれば、先が見えてくることを伝えたいと思ったのです。
-「問題解決」の前に、まず「問題設定」をしようということですね。ところで「象の鼻としっぽ」とは何ですか?
お互いに象の話をしているつもりでも、自分が鼻について話をしている時に、相手は尻尾を思い浮かべて聞いているかもしれないということです。それでは、話がかみ合うわけがありません。でも、実際の議論では、そういうことが多いのです。
日常生活でも、たとえば「大変自慢」といったことがよくあります。自分が仕事でどれだけ苦労しているのかについて、得々と語る人がよくいますよね。でも、それは他の人の大変な部分が見えないからそう思うだけかもしれません。全体を見てみると、それなりにみんな大変、ということはよくあるものなのです。
-思い当たる節があります。
議論の土俵が最初から違っていることに気がつけば、お互いに納得できますし、問題も解決しやすくなります。対立しているように見えているものも、全体像を見て出発点が違うことに気がつけば、ストレスにもなりにくいのです。何より解決の糸口を見つけやすくなります。
-どうしてそういうことが起きるのでしょうか
人は、誰もが自分中心だからです。どうしても、人のことは見えにくいのです。でも、それは相手も同じです。だから、自分の思いや考えが伝わっているというのは幻想です。本書を読んで、そのことを認識してほしいですね。
-本書を読めば、そんな誤解も少なくなるということでしょうか?
どうすれば解消できるかについては、あえて触れていません。でも、行き違いの原因が分かりますから、見方が変わるはずです。それだけで問題度合いはだいぶ解消されるはずです。
-腹が立つこともなくなりそうですね。
人は感情の動物ですから、腹が立たなくなることはありません。ただ、感情が論理を歪めてしまうことは、問題です。それはずいぶん少なくなると思います。
何より、自分の考え方のゆがみは矯正されるはずです。「人の失敗は実力、自分の失敗は偶然」と考えがちです。しかし、それは自分のフィルターや心が歪んでいるにすぎません。そんな自分に対する戒めにもなるはずです。
-お話を聞いていると、本書は誰でも読めて、使える本のように思えます。
私の書いた本の中では、一番間口の広い本だと思います。上司と部下、お客様との対話、友人同士のお昼の雑談など、あらゆるコミュニケーションに使えます。
-最後に、本書の読者にひとことお願いします
相手と話がかみ合わないとか、意見が相いれないと感じたら、まず「見ているものが違うのではないか」と考えてみてください。「どう違うのか」を理解しようとしたほうが、ずっと解決に近づきます。どうしてそうなってしまうのかは、本書にじっくり書いてありますので、ぜひお読みください。
-ありがとうございました

-この本の内容について簡単に教えてください

 テーマは、コミュニケーションギャップです。この本では、そのメカニズムを解明しています。これまでは、主に思考について書いてきましたが、それをコミュニケーションに生かしたら、どうなるかということを一冊の本にまとめました。



-何かきっかけがあったのですか?

 日常のコミュニケーションの中で、ギャップの原因が三つに集約できることに気づきました。「人はみな自分中心」「伝わっているという幻想」そして、本書のテーマである「象の鼻としっぽ」です。この「問題発見」さえきちんとできれば、先が見えてくることを伝えたいと思ったのです。


-「問題解決」の前に、まず「問題設定」をしようということですね。ところで「象の鼻としっぽ」とは何ですか?

 お互いに象の話をしているつもりでも、自分が鼻について話をしている時に、相手は尻尾を思い浮かべて聞いているかもしれないということです。それでは、話がかみ合うわけがありません。でも、実際の議論では、そういうことが多いのです。



-日常生活でもよくありますね

 たとえば、職場で「大変自慢」をしたりしませんか?自分が仕事でどれだけ苦労しているのかについて、得々と語る人がよくいます。でも、それは他の人の大変な部分が見えないからそう思うだけかもしれません。全体を見てみると、それなりにみんな大変、ということはよくあるものなのです。



-思い当たる節があります。

 議論の土俵が最初から違っていることに気がつけば、お互いに納得できますし、問題も解決しやすくなります。対立しているように見えているものも、全体像を見て出発点が違うことに気がつけば、ストレスにもなりにくいのです。何より解決の糸口を見つけやすくなります。


-どうしてそういうことが起きるのでしょうか

 人は、誰もが自分中心だからです。どうしても、人のことは見えにくいのです。でも、それは相手も同じです。だから、自分の思いや考えが伝わっているというのは幻想です。本書で改めてそのことを認識し直してもらえればと思います。


-本書を読めば、そんな誤解も少なくなるということでしょうか?

 どうすれば解消できるかについては、あえて触れていません。でも、行き違いの原因が分かりますから、見方が変わるはずです。それだけで問題度合いはだいぶ解消されるはずです。


-腹が立つこともなくなりそうですね。

 人は感情の動物ですから、腹が立たなくなることはありません。ただ、感情が論理を歪めてしまうことは、問題です。それはずいぶん少なくなると思います。

 何より、自分の考え方のゆがみは矯正されるはずです。「人の失敗は実力、自分の失敗は偶然」と考えがちです。しかし、それは自分のフィルターや心が歪んでいるにすぎません。そんな自分に対する戒めにもなるはずです。


-お話を聞いていると、本書は誰でも読めて、使える本のように思えます。

 私の書いた本の中では、一番間口の広い本だと思います。上司と部下、お客様との対話、友人同士のお昼の雑談など、あらゆるコミュニケーションに使えます。


-最後に、本書の読者にひとことお願いします

 相手と話がかみ合わないとか、意見が相いれないと感じたら、まず「見ているものが違うのではないか」と考えてみてください。「どう違うのか」を理解しようとしたほうが、ずっと解決に近づきます。どうしてそうなってしまうのかは、本書にじっくり書いてありますので、ぜひお読みください。


-ありがとうございました


【藤井の感想】
細谷先生の着眼には、いつも驚かされます。普通の人が見過ごしていることや、複雑なので目をそむけていることに目を向け、独自の解釈で整理して、「なるほど」と思わせ、それを考えに考え抜いた論理で裏付けていく。そんなことを今回のお話を通して感じました。このようにいうと、理屈っぽくて、堅苦しい方のような印象を持たれるかもしれませんが、そんなことはまるでありません。気さくで優しい方です。本書も、難しい本と思われてしまいそうですが、タイトルどおり、誰にでもとっつきやすい本です。単に、理屈だけでなく、その理屈をどうやって日常に生かせばよいのか、たとえば「思考の白地図」というツールも紹介されています。脳を鍛えたい人や日ごろからコミュニケーションギャップに悩む人など、ぜひ読んでみてください。               

 

ベストセラー『地頭力を鍛える』などの著書で知られる、経営コンサルタントの細谷功先生に、最新刊『象の鼻としっぽ』についてお話を伺いました。日常生活でもよく起きるコミュニケーションギャップのメカニズムを、ズバリ解明してくれます。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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