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2002/05/10
マッキンゼー式世界最強の問題解決テクニック

マッキンゼー式世界最強の問題解決テクニック

今週は、前作『The McKinsey Way』(邦題『マッキンゼー式 世界最強の仕事術』)に続いて、イーサン・M・ラジエルが新たに世に送り出す書籍です。マッキンゼーの理論と技を実践するための優れた指南書に仕上がっています。


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■■        ビジネス選書&サマリー
https://www.kfujii.com/TCY02.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【読者数8701部】━
=今週の選書=
■マッキンゼー式世界最強の問題解決テクニック
 イーサン・M. ラジエル (著), 嶋本 恵美, 上浦 倫人 (翻訳)■
                               英知出版
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■■           今週のサマリー

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今週は、前作『The McKinsey Way』(邦題『マッキンゼー式 世界最強の仕事
術』)に続いて、イーサン・M・ラジエルが新たに世に送り出す書籍です。マッ
キンゼーの理論と技を実践するための優れた指南書に仕上がっています。
 
【1】
  
問題を解決する第一歩は、構造を把握することである。目の前にある問題の領
域を決定し、他の要因とのつながりや成行きの全貌など全体に目を向ける。

次に問題を明白にし、単純化する。ふつう複雑な問題は、より小さく単純な問
題の集まりに変えることができる。そして個別に解決することができる。

問題を分解するには論理ツリーを使う。これにより問題のあらゆる構成要素を
階層ごとに並べる。大きいところから次第に小さなものへ分けていく。

その際、MECEを貫く。つまり要素を重複せず、かつ、一つも落とさないよ
うに分けていくのである。

こうして現実を単純化した形で表現すれば、複雑な問題の周りに散乱してい
るものを取り除き、混乱に秩序をもたらすことができる。

【2】

問題を本質的な構成要素に落とし込んだら、次は解決策の仮説を立てる。仮説
に基づいてリサーチや分析を進めると意思決定の効率や効果が増すからだ。

仮説を立てる際、リサーチなどしない。自分が知っている事実に基づき直感
的に結論を出す。次に複数の仮説から間違ったものを落としいく。

残った仮説を証明あるいは反証する。ただし事前にどんな分析が必要になるか
は決めておく。これを考えるにあたっては問題点ツリーが便利だ。

これは仮説を証明、反証するために明らかにしておくべき項目を枝にしたツリ
ーで、疑問点を細分化したものである。それに答えていくことで分析不要な項
目は事前に取り除いておくことができる。

【3】

仮説を立てたら、それを事実に基づく分析で裏付ける。そのために分析の計画
を立て、さらにその計画をワークプランに落とし込んでいく。

まずは必要と思われる分析や情報源、予想される結果、分析の責任者や期日な
どをリストアップし、スケジュール化していく。

その際、大切なことは優先順位を決め、不要な分析は省くことだ。問題に一番
影響しそうなキードライバーを見つけ、それに的を絞ることが大切なのだ。

なお分析では絶対的正確さを目指す必要はない。たえず問題解決のための分析
であることを思い出すべきだ。役立たない分析はやるべきではない。

【4】
 
次にデータを収集する。事実は経験や直感の不足を補ってくれる。マッキンゼ
ーでは年次報告書に目を通している。

その際、外れ値(極端に良い値や悪い値)に注目して、それを掘り下げる。ま
た競合他社や他業界の業績トップ会社などのベストプラクティスから学ぶ。

なお誰かに質問してデータを集める場合「検討もつかない」といわれてあきら
めないこと。それは時間が無い、答えることが不安だ、面倒くさいといってい
るにすぎない。本音を突き止めて調整すべきだ。

なお組織でデータ収集するには、データベースを構築するなどインフラを整備
して収集しやすい組織にしておくことが大事である。そのために日ごろから事
実の持つ威力を組織にわからせる努力が必要である。

【5】

最後にデータを解釈する。集まった事実から組織に付加価値をもたらす達見を
引き出し、重要な決定を下せるようにする。

まず集まったデータから仮説を証明あるいは反証するデータを抜き出す。これ
をつなぎあわせ一貫性のあるストーリーにする。そこには創造性も必要だ。

そしてすべての分析がクライアントの問題解決に役立つものであること。なお
分析では、早いことと、正しいことの両方を目指すべきだ。

その際、パレートの80対20の法則が役立つ。またひらめいたことを忘れない
よう、毎日学んだことをチャートにして書きとめておくことも大切だ。

なお、解決策に事実を当てはめないこと。すばらしい仮説も事実に否定される
ことがある。そのとき変えるべきは仮説であり事実のほうではない。


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■■          今週のコメント

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本書は前作『The McKinsey Way』の続編です。前作ではマッキンゼーにおけ
る事例で"クライアントが抱える難問を解決する方法"を説いていました。今
回はその「マッキンゼー式」を読者が使いこなせるように書かれています。

例えば、「マッキンゼー式」概説の後、各企業が抱える問題を解決できるよう
導いてくれます。現実に即した例や、たとえ話、練習問題でマッキンゼー式を
使えるよう工夫しています。

確かにこの配慮はありがたいです。最近はやりの思考法本を読むと、読んだ後
に「だからどうなの」という感想をもっていまいます。結局、我々が知りたい
のは「自分の仕事にどう役立てるか」じゃないですか。

ビジネス書を読むときにこの視点は大切です。書いてあることは業界知識だっ
たり、経営者の生き様だったり、考え方のヒントだったり、お金のため方だっ
たりします。でも肝心なのは、結局"自分の生活をどうするか"ですよね。

今回紹介したようなビジネスのスキルを紹介した本も同じです。書いてあるこ
とを頭に詰め込むだけでは、「なんか頭がよくなった気がする」以外の効果は
ないでしょう。

それじゃ、バブルの時代に"ヤンエグ"(完全死語)と呼ばれたいばっかりに、
空っぽのゼロハリのアタッシュと、鳴らない携帯電話を持ったのとあまり変わ
りません。やっぱりちゃんと仕事に使えてはじめて価値があるんです。

こういう本を読んで「自分の知っていることばっかりだ!」なんてコメントし
ている人がよくいますが、そういう人はその辺、どうなんでしょう?

実を言うと本書にも新しいことはあまり書いてありません。でも、本当にこれ
にそって仕事を進めたら、仕事の質は格段にランクアップすると思います。

机の上において自分の仕事をチェックする、そういう目的で使うには、本書は
とても重宝な本だと思います。


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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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