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2003/02/21
ハゲタカは飛んでゆく

ハゲタカは飛んでゆく

昨年ベストセラーになった『ライオンは眠れない』で好評だった「寓話で読む日本経済」の第2弾です。
今回の舞台は微笑みの国・タイ。米国の政府系シンクタンクの研究員ラリーと、タイで知り合った日本人の友達、ハジメ君、そしてその2人の前に突如現れた謎の老人・片桐さん。
彼らの対話、そして片桐さんの紹介する寓話を通して、アメリカと日本の姿を分かりやすく解説します。


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=今週の選書=
■ハゲタカは飛んでゆく
■ラリー・S. ジュニア (著) 高木 ハジメ(翻訳)
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■■  選書サマリー

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【1】

世界はアメリカの都合で動いている。

日本人は経済の低迷、株価の下落、不良債権処理の遅れなどの報道
で「日本はもうだめだ」と考え、自分達を責めているが、責めれば
責めるほど、アメリカを喜ばせることになる。

アメリカはいつも日本に助言し、助けてくれているように見える。
わざわざマスコミを集めて会見を行い、小泉首相の改革路線を応援
したり、竹中大臣を支持していることを表明してくれる。

だがそれが曲者だ。わざわざそんなことをやるのはアメリカのため
だ。もちろんそれは悪いことではない。自国の利益を第一義に考え
ない大統領はいない。これは国際政治の基本だ。

ただ、他国に自分たちの都合を呑ませるには「あなたの利益になる
という言い方をするしかない。だからアメリカは日本に対して助言
や応援をするのだ。これに気づかない日本人がお人好し過ぎるのだ。

【2】

アメリカが戦後ずっと日本に資金や技術を与え、輸出市場を開放し
てくれたのは「冷戦に勝利する」というアメリカの国益につながっ
たからだ。

日本はソ連ににらみを利かせるうえで絶好の地理的位置にある防波
堤だった。防波堤が弱体ではアメリカが困る。

しかしソ連は崩壊し、中国もアメリカに擦り寄っている今、日本を
甘やかす必要はどこにも無い。それどころか日本は集中豪雨的な輸
出でアメリカの富を収奪する敵なのだ。

これまで助けてきた貧乏な弟が兄貴よりもお金もちになり、家の掃
除すらやらなくなった。これが日本とアメリカの関係だ。日本はこ
うしたアメリカの本心を知らなすぎる。

【3】

アメリカはこれからも日本の富を利用するだろうが、80年代のよう
な経済的繁栄は許さない。「農民は生かさず殺さず」といった徳川時
代の言葉が、今の日米の関係にぴったりだ。

だが多くの日本人はそれに気づいていない。日本ではエコノミスト
が、純粋に経済の理屈で日米の戦略ゲームを語っている。だからい
つまでたっても本質が見えてこないのだ。

本来、経済は市場の法則で動く。だがそこに市場の法則以外の圧力
が働けば、もはや経済学などでは説明できない。

日本とアメリカの経済関係には、まさにアメリカの強力な圧力が働
いている。日米関係に経済の法則では説明できないことばかり起こ
るのはそのためだ。

【4】

経済学では景気が良くなると通貨価値は上昇し、下降すれば下落す
る。また貿易黒字が増加した国の通貨は上昇すると教える。

ところが実際はそうなっていない。日本はマイナス成長で、韓国は
GDPが5パーセント以上成長しているのに、円だけが急騰している。
なぜ急騰するのはいつも円なのか。

これは円相場にアメリカの思惑が大きく働いているからだ。輸出に
頼る日本を元気にしたければ円安に、抑え込みたければ円高に誘導
しているのだ。

今の日本経済の苦境は、アメリカにはめられた結果だ。だから経済
を立て直すには、アメリカの裏をかく政治的取引や戦略が必要だ。

だが日本の歴代の政権は、肝心なアメリカとの取引や駆け引きをせ
ず補正予算、株価対策といった枝葉末節の議論ばかりしてきた。こ
んな議論に出口は無いことに早く気づくべきだ。

【5】

日本が再び成長軌道に乗るには、アメリカに日本経済の封じ込み戦
略を緩和、解除させるしかない。これが解除されれば通常の景気浮
揚策も利く。活路はアメリカとの対話なのだ。

だがアメリカは簡単には取引には応じないはずだ。下手をすれば世
界のマネーがアメリカから引き揚げるおそれがあるからだ。だから
無茶な要求をしてくるだろう。

実は今、これをはねのける最大のチャンスだ。アメリカは大戦争を
始めようとしている。日本はアメリカに軍事協力をするのと引き換
えにこの要求を勝ち取れる可能性がある。経済を戦争で買うのだ。

アメリカの経済は、戦争に従属している。戦争は最強の取引材料だ。
戦争協力と言う大義名分があれば、アメリカに日本の要求を呑ませ
ることも決して不可能なことではない。

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■■  選書コメント  
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昨年ベストセラーになった『ライオンは眠れない』で好評だった「寓
話で読む日本経済」の第2弾です。

今回の舞台は微笑みの国・タイ。米国の政府系シンクタンクの研究
員ラリーと、タイで知り合った日本人の友達、ハジメ君、そしてそ
の2人の前に突如現れた謎の老人・片桐さん。

彼らの対話、そして片桐さんの紹介する寓話を通して、アメリカと
日本の姿を分かりやすく解説します。

本書は「ライオンは眠れない」と同様、寓話とその解説で構成され
ていますが、このマガジンでは寓話は省略して解説だけを紹介しま
した。寓話にご興味があれば、書籍を購入してみてください。全部
で100ページほどですのですぐ読み終えてしまいます。

バブル後、日本はあらゆる景気浮揚策を試みてきました。そのいず
れも経済合理性に基づくものですが、いずれも効果がなく10年あま
りの時が経過してしいました。

それはそこにアメリカの圧力と、情報操作があるからだというのが
本書の現状分析です。なかなか正鵠を射ていると思います。

ただ本書の提言する、「経済を戦争で買う」過激な不況打開策には賛
否両論ありそうです。

これは日本経済の復興と引き換えにアメリカの戦争に加担しよう、
アメリカと一緒に戦おうというものです。

もしかして本書自体、日本の戦争協力を引き出すためのアメリカの
情報操作の一環では?なんて勘ぐってしまいました。

▼関連書籍「ライオンは眠れない」
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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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