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2003/10/31
社長をだせ!―実録クレームとの死闘

社長をだせ!―実録クレームとの死闘

著者が企業の顧客窓口担当として、実際に体験してきたクレーム処理現場の状況を、ひとつひとつリアルに伝えます。


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■■       ビジネス選書&サマリー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 18890部>━
=今週の選書=
■社長をだせ!―実録クレームとの死闘
■川田 茂雄
■宝島社
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■■  選書サマリー

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著者が企業の顧客窓口担当として、実際に体験してきたクレーム処
理現場の状況を、ひとつひとつリアルに伝えます。

【1】

クレームにかみつかれたら、あなたは受けて立つだろうか?それと
も逃げ出すだろうか?普通は、クレームが来れば「誰かに押しつけ
られないだろうか」と逃げの気持ちが働くモノだと思う。

だが不思議なことにクレームは、逃げれば逃げるほど追いかけてく
る。クレームからは決して逃れられないことを肝に命じるべきだ。

自分で解決しようと全力で対応すれば、解決できないクレームなど
ない。うまく解決できれば、充実感もひとしおだ。クレームをつけ
たお客さんもその仕事ぶりを評価してくれる。

会社に対する不信と不満で怒り狂っていたお客さんが、一転して自
分を信用し、ファンになってくれるのだ。またクレームされた担当
者やその上司からも感謝される。こんなに気持ちよい仕事はない。

【2】

最近は、どんなに誠意を尽くしても、納得しないお客さんが多い。
最初からクレームをつけることに生き甲斐を感じているような人も
いるからだ。

インターネット、少子化、リストラが吹き荒れる厳しい時代、現代
人の孤独感は加速され、それがクレームに直結しているようだ。

寂しさゆえに起す新手のクレームに対しては、従来からの「穏便・
事なかれ主義」「飴をなめさせてごまかす」といったクレーム処理の
方法だけでは解決できない。

だがどんなに時代になろうと、相手は人間だ。話せばわかるものだ。
その確信のもと、真心を込めて取り組めば、必ず分かってもらえる。

【3】

もちろんクレーム処理は大変な仕事だ。だが、だからこそ自分を磨
くにはとても良い仕事だとも言える。

いやな相手だからと逃げたりせず、心のこもった対応で、相手をこ
ちらに引き込む。時にはサラリーマン人生を書ける覚悟で毅然と対
決する正義感も必要だ。

専門知識や関連技術を身につけると共に、相手の気持ちの分かる感
性の豊かな人間になることが何より大切だ。

クレームを何百件も扱うと分かるが、クレームにはそれぞれタイプ
に分けることができることに気付く。具体的には次のように区分で
きる。

【4】

・ゴネ得型...拡大損害の賠償を要求するなど金品の要求をする
・プライド回復型...謝罪を要求し、自身のプライドを回復する
・神経質型...音、色、ゴミ、キズを指摘し高品質を要求する
・思いこみ型...使い勝手、使用説明書、特注品制作を要求する
・新興宗教型...相手の間違いを正し、教育しようとする
・特待要求型...上位者と話したい、特別扱いを要求
・自己実現型...理想実現のために企業を動かしたいと考える
・真理追求型...小さな問題でも徹底的な事故解析を要求
・愉快犯型...クレームをつけることに快感を覚える
・泣き寝入り型...クレームをつけない

中でも一番多く、一番悩ませるのが、拡大損害の賠償として金品を
要求するゴネ得型だ。

何を「ゴネ」とするかは難しいが、何時間もかけて相手の話を聞き、
こちらの主張を遠回しに説明するのに、自分の非は一切認めず、非
常識な要求をする人がいる。こういう人はゴネ得と言っていい。

【5】

ゴネるユーザーとの交渉では、多くの場合、クレームを受けた担当
者では埒が明かず、技術者などの応援を頼んでくることになる。結
果、複数で話を聞くことになる。

こうなると一人が正論を述べて対峙し、もう一方が2人の仲を取り
持つという形で話が進行でき、こちらの言い分が言いやすくなる。
また本社に乗り込まれても責任が分散されるため気が楽になる。

こちらが正しいという自信があるなら、時間がかかっても安易に相
手の要求をのまないことだ。簡単に妥協すれば、かえって際限なく
問題を引きずる羽目になることが多いようだ。

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■■  選書コメント  
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本書は、カメラのメーカーで顧客窓口を長年務めた著者が、自らク
レームと対峙してきた体験をリアルに描いた作品です。

それぞれの事例には、著者がクレームから何を学んだのかが教訓と
して記されています。そのため著者の私的な体験が、万人に役立つ
ノウハウになっています。

総務、法務、消費者相談室などのセクションで働いている方なら、
そのまま実務書として役立つでしょう。またクレームに果敢に立ち
向かう著者に、勇気づけられるはずです。

単に体験談としても楽しめます。ご苦労の歴史を楽しむとは不謹慎
かもしれませんが、数々のクレームを乗り越える様はドラマチック
ですらあります。

本書では、クレームを10のタイプにわけています。今度、会社でク
レームに対応しなければならないとき、そのクレームをこのタイプ
のどれかにあてはめて対応してみてください。

きっと「あ、この人は『思いこみ型』だな。こういうつもりでクレ
ームしているのだな。こういう人にはこう言えばいいな」などとゆ
とりをもって対処できるかもしれません。

なお本書を読むと、著者に共感して、次々に登場するクレーマー達
に対して「けしからん」とか「なんて非常識な!」という感情をい
だくかもしれません。

でも、誰しも企業の対応にハラを立てることはあります。その時、
自分がどのタイプになるのか考えると、無邪気に笑ってばかりもい
られません。

例えば、私がクレーマーになったら「お宅の店員の考え方はおかし
い。そもそも商売というモノは...」と、本書で言うところの「新興
宗教型」や「自己実現型」のクレーマーになるに違いありません。

結構うっとうしい、イヤな相手になりそうです。あなたはどのタイ
プですか?

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
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