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2004/06/11
ディズニーランドはなぜお客様の心をつかんで離さないのか

ディズニーランドはなぜお客様の心をつかんで離さないのか

サービス施設を成功させるためには、ソフトの構築がキーポイント
だ。ソフトとは、理念やテーマ、提供するサービスのレベル、運営
方法などのことだ。
ディズニーランドでは、このソフトの構築に時間とコストを一番費
やしている。もしもソフト構築を怠ると、運営が開始されてから問
題が続出し、結局うまくいかずにつぶれてしまうこともある。


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■■       ビジネス選書&サマリー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 21710部>━
=今週の選書=
■ディズニーランドはなぜお客様の心をつかんで離さないのか
■芳中晃
■中経出版
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■■  選書サマリー

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なぜディズニーランドだけが、いつも成功しているのか。米ディズ
ニーランドに勤め、さらに東京ディズニーランドの設立に携わった
著者が実体験に基づいて、サービス業で成功する秘訣を語ります。

【1】

サービス施設を成功させるためには、ソフトの構築がキーポイント
だ。ソフトとは、理念やテーマ、提供するサービスのレベル、運営
方法などのことだ。

ディズニーランドでは、このソフトの構築に時間とコストを一番費
やしている。もしもソフト構築を怠ると、運営が開始されてから問
題が続出し、結局うまくいかずにつぶれてしまうこともある。

たとえばレイアウト重視で作ったために一人で済むはずの人件費が、
3人雇わないと運営ができなくなったりする。すると予定の3倍以
上の人件費がかかり、経営に支障をきたすことがある。

ところが、日本の一般的なサービス施設は、施設や設備機器などの
ハードばかりを優先させている。これはオーナーや社長が目に見え
るものばかりをほしがるからだ。

【2】

ソフトの構築においては、どんなにささいなことも手を抜けない。
「それはなぜ必要なのか?」「何のため、誰のために必要なのか?」
をとことん突き詰めて考えていくのが、ソフト構築では重要だ。

たとえばネームタグ。これはお客様に名前を呼んでもらうためにつ
けているのではない。社員の誰が見ても、一目でその人の名前が分
かるためにつけているものなのだ。

同じ職場で働く人、たとえそれが知らない人からでも、名前で呼ば
れたほうが、呼ばれた人はうれしいはずだし、その人の士気も上が
る。

しかし、こうした意味と重要性が分かっていないと、せっかくコス
トをかけてつくっても、意味をなさないことになる。たとえばネー
ムタグのなかには、小さすぎて制服のボタンのように単なる付属品
になっているものも多い。

また、ディズニーランドでは、お客様を迎えるとき「いらっしゃい
ませ」ではなく「こんにちは」とあいさつする。「こんにちは」の
ほうが、お客様に親近感を与えお客様との会話が成り立つ可能性が
高くなるし、笑顔で言いやすいからだ。

【3】

目に見えないディズニーの本物志向、テーマへのこだわりと情熱に
よって、ディズニーの世界がつくられている。建物の外観はもちろ
ん目にするものすべてが、まるで本物のようにつくり込まれている。

たとえば「ビッグサンダーマウンテン」というアトラクションで使
われている小道具のほとんどは、担当者が半年間もの月日をかけて
アメリカ中をまわって集めてきた「本物」だ。

また「スプラッシュ・マウンテン」というアトラクションにも、本
物の芝が使われている。しかも日本の芝だけでなくアメリカから持
ってきた芝も使っている。

ディズニーランドでお弁当を食べる場合、エリア外の「ピクニック
エリア」で食べることになっている。なぜなら家族でお弁当を広げ
るのは「現実的な風景」で、非日常的な世界を提供している「テー
マパーク」としては、その趣旨に反する風景だからだ。

こうした目に見える建物やアトラクション、小道具などを通して、
彼らのゲストに対する気持ちが伝わってくる。これが訪れる人たち
を魅了し、何度でも足を運ばせるのだ。

【4】

お客様の心をとらえるには、飽きさせないことが大切だ。ディズニ
ーランドにはお客様を飽きさせない仕組みがある。たとえば、人気
のアトラクションは「待つ」ことが当たり前となっている。

しかし「待つ」時間帯は人間にとっては嫌な時間だ。ディズニーラ
ンドはこの「待つ」時間帯さえ「どう演出できるか」「どう楽しま
せられるか」ということを徹底的に考えている。

心理学的には人間が何かを待ってじっと我慢していられる時間は3
分だそうだ。だからディズニーランドでは、待つ人の列をアトラク
ションと連動させて動かし同じところで待たせないようにしている。

また普通のスピードで歩いていたら気づかないところや、振り向か
ないと気づかない位置にさまざまな小道具を使っている。これも話
題づくり、そして待ち時間を退屈させないための工夫なのだ。

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■■ 選書コメント  
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不況だろうが、平日だろうが、悪天候だろうが、ディズニーランド
には、いつもたくさんのお客さんが集まっています。それを見て、
多くの会社がディズニーランドのやり方を真似しています。

でもやり方を真似しただけではうまくいきません。本当は、ディズ
ニーランドの何を学ぶべきなのでしょうか?本書には、そのヒント
が書いてあります。

アメリカ仕込みのサービスというと、われわれはどうしてもマニュ
アルを連想しがちです。そしてマニュアルの杓子定規なサービスに
はつい嫌悪感を持ってしまいます。

1人でファーストフード店に買い出しに出かけ、職場の20人分のハ
ンバーガーをオーダーしたところ「こちらでお召し上りですか」と
聞かれたという話があります。

少し考えれば、ハンバーガー20コを1人で食べるはずはなく、テイ
クアウトに決まっているのですが、マニュアルには必ず聞くことに
なっているので、従業員にとっては仕方ないことなのです。マニュ
アルは、こうした弊害を持っています。

ディズニーランドもマニュアルが重要な役割を果たしています。正
直あの話し方と笑顔、かなり不自然で鼻につきます。でも、なぜか
大の大人が、気がつくとすっかりのせられています。

そして毎回、みんながそこそこ幸せな気分になって家路につきます。
口々に「また来ようね」と言っています。わざとらしいしぐさも、
本物にしてしまう、それがディズニーランドのすごいところですね。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
〒101-0052
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