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2005/09/30
ネクスト・マーケット

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世界中の貧しい人たちに対して、企業は何をしてきたのだろうか。
優れた技術や経営のノウハウや投資力を持ちながら、世界中に広が
る貧困や公民権剥奪の問題に全く貢献できないのはなぜか。あらゆ
る人々に恩恵をもたらす資本主義はなぜ作り出せないのか?
この問題を解決しようと、これまでも開発援助、補助金、政府援助、
現地の非政府組織(NGO)などの活動が繰り広げられてきた。


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■ネクスト・マーケット
■C.K.プラハラード/英治出版
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■■ 選書サマリー

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1日2ドル未満で生活する人たちを、顧客にするには?

【1】

世界中の貧しい人たちに対して、企業は何をしてきたのだろうか。
優れた技術や経営のノウハウや投資力を持ちながら、世界中に広が
る貧困や公民権剥奪の問題に全く貢献できないのはなぜか。あらゆ
る人々に恩恵をもたらす資本主義はなぜ作り出せないのか?

この問題を解決しようと、これまでも開発援助、補助金、政府援助、
現地の非政府組織(NGO)などの活動が繰り広げられてきた。

支援者たちは、現地での企業活動などを推進しようと根気強く取り
組んできた。そして、これらの活動はそれなりの効果もあげてきた。
しかし、貧困問題を一掃することはできなかった。

貧困の問題を抜本的に解決するには、より大きなスケールの企業活
動を活用する必要があるのだ。

【2】

人は、経済ピラミッドの底辺にいる貧困層について、ひとつの固定
観念にとらわれている。それは「貧困層は、国の保護下にある」と
いう考えだ。

しかし、国が保護する対象でなく、大企業の経済活動の対象として
貧困層を見直すことはできないだろうか?貧困層の問題解決策を、
企業の経済活動にできないだろうか?大企業の資源や規模、活動領
域を、貧しい地域のために生かすことはできないだろうか?

これらの問題を検討するには、まず2つの要素を検討しなければな
らない。第一に「貧困層」という言葉には、情緒的な意味が含まれ
ていることだ。だが、彼らを同情の対象として見るのは間違いだ。

企業は、この階層を長年無視し続けてきた。しかし、現在の沈滞し
た経済状況を打ち破るには、活気に溢れたこの「消費社会」に着目
するべきなのだ。

【3】

貧困層を資本主義システムに組み込めば、世界規模のビジネスと繁
栄が実現する。なにしろ世界には、こうした人々が40?50億人もい
ると言われているのだ。

貧困層を活発な市場に変えるには、まず経済ピラミッドの底辺にい
る人たちを「個人として尊重すること」から始めるべきだ。そうす
れば、彼らは貧困という問題解決に欠かせないプレイヤーになる。

次に、市場開発としての活動が要求される。それは既存市場にある
製品やサービスの価格を下げて提供するなどといった単純なことで
は対応できない。

貧困をチャンスに変えるには、全く新しい創造的なアプローチが必
要になるのだ。まず企業は、貧困を緩和するための全く新しい仕組
みとビジネスモデルを考案しなければならない。

そのためには、「貧しい人々は犠牲者であり重荷だ」という先入観
を捨て「彼らは力を秘めた創造的な起業家であり、価値を重視する
消費者である」という風に認識を改める必要もある。

そうすれば、ビジネスチャンスにあふれた新たな世界を切り開くこ
とができるはずだ。市場が生まれれば、そこに草の根レベルの起業
家たちも次々に立ち現れてくるはずだ。

【4】

貧困層を活気ある市場に変えるために必要なこととして、すでにそ
の分野で成功を収めた、世界中のたくさんの企業の事例を知ってお
くことだ。

たとえば、ブラジルの「カサス・バイア」がそのひとつだ。彼らは、
スラム街の住民たちを顧客とする小売業者だが、「信用売り」とい
う手法で、お金のない人々に購買手段を与えた。

また、メキシコの「セメックス」は、世界最大規模のセメント製造
会社だ。彼らは「パトリモニオ・オイ(今日から子孫に財産を)」
というプログラムを進めている。これは、顧客に毎週貯金をさせる
ことで、いずれ自宅の増築が可能になるというサービスだ。

貧困層の顧客化に成功した企業に共通するのは、貧困層の視点を理
解したことだ。わずか1日2ドルで生活する貧困層のためのイノベ
ーションに成功すれば、数十億人という新しい消費者を獲得できる。
リスクはあるが大きなリターンができる。挑戦する価値はある。

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■■選書コメント  
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本書は、中国、インド、ブラジル、メキシコ、ロシアといった国々
で、1日2ドル未満で生活する貧しい人たちを顧客にしてビジネス
をすることを提唱し、成功事例をふんだんに紹介した書籍です。

米国では、2004年のアマゾン編集者投票で、全米No.1ビジネス書に
選出されるなど、高い評価を得ています。あのビルゲイツをして「読
まずにはいられない本」と言わしめたほどの一冊です。

これまで、経済ピラミッドの底辺にいる人々は援助の対象で、ビジ
ネスの対象とは考えられてきませんでした。「金持ちを相手に」と
いうのがビジネスの鉄則とされ、誰も相手にしてこなかったのです。

しかし、同時に貧困層は巨大な市場です。経済ピラミッドの上層部
の人たちがわずか1億人に満たないのに対し、貧困層の人は世界に
50億人以上もいると言われています。

「"大きいけれど数の少ない財布"から"小さいけれどたくさんあ
る財布"へ目を向けよ」というわけです。貧困層の開拓こそ、今後
企業が取り組むべき重要なのです。

企業にとって、貧困層は市場の大きさもさることながら、他にも
様々な魅力があります。たとえば、彼らは、健康、教育、住宅と抱
える問題も多くなります。問題が多いことは、ビジネスチャンスが
多いことを意味します。

伸びしろの大きさも魅力です。戦後の日本、そして現在の中国を見
れば明らかなように、貧しい地域が豊かになる過程では、企業が受
ける経済的な恩恵は大きいのです。

グローバル関連の仕事をする企業の国際畑の方々や政府関係者、N
GO活動に従事している人々はもちろん、次世代の企業のあり方や、
マーケティングに興味のあるビジネスパーソンにはお勧めです。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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