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2006/02/17
ひとつ上のアイディア。

ひとつ上のアイディア。

アイディアという言葉は外来語だが、すでに日本語になってしまっ
たといってもいいくらい、私たちの生活のなかに定着し、身近なも
のになった。ゆえに、月並みな地位に閉じ込めてしまっている。
広辞苑では、アイディアという言葉の意味として、まず「思いつき」
という意味をあげている。
だが、時代は変わりつつある。いまや著作権や特許、ビジネスモデ
ルといった無形の知的財産が影響力を持ち、世間の注目を集めてい
る。その核にあるのは、まぎれもなくアイディアだ。


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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数49,147部>━
■今週の選書
■ひとつ上のアイディア。
■眞木準/インプレス
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日本を代表するクリエイターたちが、アイディア捻出法を直伝!

【1】

アイディアという言葉は外来語だが、すでに日本語になってしまっ
たといってもいいくらい、私たちの生活のなかに定着し、身近なも
のになった。ゆえに、月並みな地位に閉じ込めてしまっている。

広辞苑では、アイディアという言葉の意味として、まず「思いつき」
という意味をあげている。

だが、時代は変わりつつある。いまや著作権や特許、ビジネスモデ
ルといった無形の知的財産が影響力を持ち、世間の注目を集めてい
る。その核にあるのは、まぎれもなくアイディアだ。

こうした状況を見ても分かるとおり、アイディアの意味は、単なる
「思いつき」ではない。いま一度「アイディア」を洗濯し、時代を
俯瞰できる、より大きな視点からの定義が必要だ。

【2】

そもそも、アイディアとはどういう性質を持つものか。アイディア
と呼ばれるものを見ていくと、そのほとんどに「それまでなかった
ものをあるように生みだす」「それまでなかった認識を発見し誕生
させる」という働きや性質があることに気づく。

その中で生じる変化は、決して一足飛びなものでない。必ず、想像
やイメージ、知識、経験などが重なって、アイディアは生成される。

いいかえれば、人間の頭のなかで、ある情報と別の情報が結びつく
ことで、脳細胞が生理的電導によってスパークを起こし、新しい概
念が生まれるのだ。

この視点から、アイディアの新しい定義を、日本語への強訳によっ
て提案すると、すなわちアイディアとは「イノチ」だ。もう少し正
確にいえば、アイディアは「情報に吹き込まれたイノチ」なのだ。

【3】

科学の発展が私たちの生活をより便利なものに変えたり、学術研究
が飛躍的な進歩を遂げたりした背景には、ほぼ間違いなくアイディ
アの力が存在する。

つまり、科学や技術は、アイディアという「イノチ」を吹き込まれ
てはじめて、その価値を発揮するのだ。

もちろん、その他の分野でもアイディアは活躍している。科学や技
術の場合、その存在が把握しやすいだけで、実際には、アイディア
という「イノチ」はいたるところで、ありとあらゆるものに吹き込
まれて世の中に生かされている。

アイディアの語源はギリシア語の「イデア」だ。広辞苑には「もと、
見られたもの・姿・形の意。プラトン哲学の中心概念で、理性によ
ってのみ認識されうる実在。感覚的世界の個物の本質・原型。また、
価値判断の基準となる、永遠不変の価値。近世以降、観念、また理
念の意となる」とある。

もともとは、哲学から出た言葉なのだ。つまり、人がものを考えた
り、精神的な活動をするところには、どこにでもアイディアが存在
すると言えるのだ。

【4】

今、ビジネスシーンで注目されているアイディアは、ビジネスモデ
ルや特許などの知的財産や販売促進のアイディア、経営のアイディ
ア、あるいは広告のように個別の案件を解決するアイディアなどだ。

これらには「モウカル」、あるいは「モウカル」可能性が感じられ
る。だが「モウカル」のは結果だ。アイディアの純粋な目的は、あ
くまでも「タスカル」ことだ。

たとえば、夜に本を開いて読む際に、ロウソクやランプの光はあま
り適当ではない。この状況を改善したのが電球というアイディアだ。
これは「モウカル」ためでなく、「タスカル」ために考案された。
それが広く求められ、結果的に「モウカル」ようになったのだ。

「タスカル」は禅語の「吾唯知足(われただ足を知る)」という言
葉に通じる。この言葉には、一工夫することで足りないものを足り
る状態にするという意味もある。

日本人がさまざまな技術をジャパナイズすることに長けているのは、
こうした精神性による部分が大きい。アイデアの概念は日本人の精
神的な価値観に合っているのだ。

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■■選書コメント  
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本書は、複数の日本を代表するクリエイターたちが「アイディア」
というものをどのように考え、そのアイディアをどのように生み出
しているかを種明かしする本です。

一般に、クリエイター呼ばれる人たちは、次々とアイディアを生み
出す才能に恵まれた、特殊な人たちと思われています。彼らにとっ
て、アイディアは、湯水のように溢れてくるものに見えます。

しかし、本書によるとそんなクリエイターたちでさえ、アイディア
を生み出すことには、苦しむようです。アイディアのプロである彼
らこそ、万一アイディアが出なくなったら、一巻の終わりです。

だから、どんな状況下でも、アイディアをひねり出す、自分なりの
方法を編み出しているのです。本書は、そんなプロたちから、アイ
ディア抽出の極意を聞き出すことに成功した、ぜいたくな本です。

登場するのは、コピーライターや、広告代理店のクリエイティヴ・
ディレクター、建築家など、20人のクリエイターたちです。結果
的に、対象となる業界は広告業界が中心になっています。

しかし、紹介される方法は「ノートを使う」「独りの時間を持つ」
など、オーソドックスな方法ばかりです。その気になれば、どんな
業界の人でも応用できるはずです。

アイディアを出すのは、クリエイターだけの仕事ではありません。
営業成績を上げるためにも、部下のやる気を引き出すためにも、事
務を手際よくこなすためにも、アイディアは必要だからです。

このように考えると、経営者から従業員まで、誰もがアイディアを
必要としていることになります。そんなわけで、本書はすべてのビ
ジネスパーソンにお勧めしたいのです。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
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