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インタビュー

著者に訊けビジネス選書家 藤井孝一の直撃インタビュー

ビジネス書のベストセラー著者に、著者インタビューで定評のある藤井が直撃体当たりインタビューをしてきます。本に書けなかったメイキングから、執筆の苦労話、読者への熱いメッセージまで、著者から引き出します。

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2006/05/16
トップセールスのコンピテンシー ‐ 横田雅俊さん

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今月は『1000人のトップセールスに学ぶ「売れ続ける会社」の営業法則』の著者、横田雅俊氏にお話を伺います。本書は、営業力の強化を目指す企業やセールスマンに向けて、トップセールスとほかの営業マンとどこが違うのか?売れ続ける会社はどんな営業活動や人材育成をしているのか?を解説する本です。1000人以上のトップセールス、営業マネジャーにアンケートを行い、その結果をもとに効果的な営業を実践していくための方法を明かしていきます。
横田雅俊
横田雅俊(よこた・まさとし) さん

長野県生まれ。工学部にて設計を専攻。設計士として活躍後、外資系ISO審査機関にて営業職を経験。「最年少」「最短」「最高」
記録を更新し、世界8カ国2300人のトップセールスとなる。東京本社マネジャーに就任し、3年で同期間を日本有数のISO審査登録
機関に急成長させる。その後、営業に特化したコンサルティング・トレーニングファームとして株式会社カーナープロダクト設立。現
在、同社代表取締役。理論主義を否定した、実践重視の営業力分析・営業戦略構築・営業トレーニングに定評がある。「利益に直結させ
る」をモットーに、数多くの企業の営業力強化に携わっている。

●まずは、横田さんのお仕事から教えてください

横田 カーナプロダクトという会社で、会員制トップセールスのネットワークを持ち、勉強会で交流を図っています。トップセールスの人たちにインタビューした『トップセールス1000人斬りインタビュー』というメールマガジンを今月から本格化させました。

●トップセールスの会員制コミュニティとは、なかなかユニークなお仕事ですね

横田 トップセールスは、異業種になるとまったくわからない。ノウハウをお互いに共有した方が、メリットがあるのではないか。トップは追われるだけで、実際は結構しんどいので、トップ同士だから話しあえる場を提供しようと始めました。

●トップゆえの悩みがあるのですね。売れる営業マン、売れない営業マンの特長はありますか?

横田 売れない営業マンは、転職して環境が変わったのに、自分は今までの方法でやりたいと、そこで売り上げが止まってしまう。トップであったとしても、常に新しいお客さんに接触し、お客さんと接することでやり方を変えるとか、少しずつでも変えようという人は、売り続けられます。

●こういう人はどこに行っても大丈夫というのはありますか?

横田 仕事のスピードが速い。営業の場合、質問がうまかったり、コミュニケーション能力が高かったり、相手の懐にすぐ入れるテクニックのある人が良いです。

●別の事業でのコーチングスキルが営業に生かせているようですね

横田 コーチングというと、技術的なスキルの問題になってしまいますが、営業で言えば、本当の意味でお客さんのことを考えているかが大事で、何が必要で何をしたら喜んでくれるのかを知りたければ、引き出してゆかなければいけないのです。新人の営業によくありがちなのは、座った途端プレゼンを始め、20分も30分も一人でしゃべって帰る。それだと全くいい成果を得られません。

●売れる会社もあれば、売れない会社もあります。売れる営業マンを雇えば売れるのですか?

横田 売れる会社は営業マンが育つ会社です。環境的に皆が学ぼう、伸びようとしている雰囲気、勉強する方法がある会社は強いですね。売れる会社と売れない会社を比較すると、人を一生懸命育てよう、伸ばそうとしている会社ほど、実はチームや組織で営業をしている。営業なんてセンスで育たないと言っている会社ほど俗人的な営業です。本来俗人的な営業であれば、人間にどんどん教えて、人を育てないといけない。簡略化し全員でやらなくても良い会社は、チームで行動するとか、仕組みや仕掛けを作るとか、経営者が営業を効率よく組み立てようとする士気が強いです。

●経営者はどういう意識を持って、営業に関して取り組んだら良いのでしょうか・・・

横田 結果ではなく、プロセスを見るのが大事です。営業会議は、必ず『何で売れなかった!!』という話がほとんどです。『何であの案件取れなかった!!』とどんどん追い込んで、気合をかけて、『何くそ』と思わせようとしますが、それには何の価値もない。結果は叩いても変わらず、やはり三カ月や半年前に蒔いた種が、今芽が出て刈り取っているので、なぜ三カ月や半年前のやり方が悪かったのか、そこをしっかり見られれば、もう少し広い視野で、営業全体の良い成長軌道が描けるのではないでしょうか。

●根性論や精神論ではなく、やはり分析ですね。

横田 色々な営業本が世の中にはありますが、テクニックや自分の経験がメインです。私の場合、技術畑から営業にポンと入ったので、一応読んでは見たのですが、結論は俺にはできない(笑) トップセールスが集まってコンサル会社を作ったとき、自分の体験を押し付けることはしませんでした。自分が営業マンのとき、外部からコンサルが入り、色々言うことを信用できませんでした。じゃあお前代わりにやってみろよ、といつも思っていましたから。データ、情報など皆が読んで納得する物に基づきやるのがポリシーでした。

●成果はかなり上がっていますか?

横田 おかげさまで。通常営業の改革は反発がありますが、私どもの場合、最初に企業に対して、分析し、それに基づいてコンサルをします。元々1年、2年と長いお付き合いになりますので、一緒にどうするか。同士のようになれるので、そこが良かったです。

●技術畑でいらっしゃる方がなぜ営業に来られたのですか

横田 ダマされました。ISOの審査委員になりたかったのです。審査員の裁量で、面接を受けたのですが、三カ月間は会社を知るために営業をやって下さいと。

●成果を出しすぎて、適性があると気がついたのですね。結果的にトップセールスまでに上り詰めるのに、秘訣とか心がけたことはありますか?

横田 自分の祖父や父親ほどの年齢の人と接触する営業でしたが、相手の知識に勝てないわけです。色々な努力をしましたが、聞かれたことは、全部相手に納得できるように答えていました。あまり技術や製品のことをわからない社長に、品質管理や環境のことを教えるので、専門知識ではなく、基礎知識をいかに噛み砕いて話せるかをすごく工夫します。できるだけ少ない工程、少ない面談で契約を取るよう、ひたすら考えていました。

●トップセールスになるために心がけていたことはありますか?

横田 向こうからの電話は一切受けません。全部こちらから発信。ひたすら電話をする時間を作ります。午前30分、午後30分。携帯の電話番号も一切教えませんでした。すぐ電話すべきか否かは、担当が用件を聞いているので、自分で順番を消して、電話をします。

●営業の数字は確率論に集約するところもありますね。確かに数だけではありませんが、ダメな人は数が少ないですよね。本人なりにがんばっているけれども、がんばるところが違うというか。

横田 トップセールスに共通するのは、営業の効率化を常に考えていますが、効率化は自分のペースで仕事をすることです。一生懸命資料を作っているときに、ちょうど一番乗っている時に、大体電話がかかってくる。それを一切排除し、自分のペースで仕事をいかにやっていけるかを考えていますね。ただ一つ弱点があって、お互いにそう思っていると電話がつながらない。

●トップの人は検証に基づいたものでしょうが、自分のやり方をしっかり持っていますよね

横田 つまるところ、ラクしたいですよね。客が多くいるのでラクしないとやっていられないというのもありますが、色々工夫をします。それがいい意味で自分のパターンになり、他の人が真似できない、時間などの節約ができるので、より多くのお客さんに接触できるし、余裕を持って仕事ができます。

●最後にこれからわが社をトップセールス軍団にしたいと思っている社長さんに何かアドバイスをお願いします。

横田 営業をしっかり見て欲しいですね。結果だけして見ていない経営者が結構います。それは今の現実ではなく、昔の結果が今見えているだけなので、今どういう状況かを世の中の動き、営業マンのモチベーションも含めて、しっかり見ることがスタートではないでしょうか。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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