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2002/06/14
企業変革力

企業変革力

企業を変革する力とは?これまでのマネジメント至上主義から、リーダーシップを重視する方向転換を主張する、リーダーシップ論の大家が送る決定版です。


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=今週の選書=
■企業変革力 ジョン・P. コッター (著)梅津 祐良(訳)■
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■■           今週のサマリー

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企業を変革する力とは?これまでのマネジメント至上主義から、リーダーシッ
プを重視する方向転換を主張する、リーダーシップ論の大家が送る決定版です。

【1】
  
環境変化のスピードが速まり、企業に自社の変革を促すプレッシャーが、これ
までの20年間で強くなった。今後20年間にさらに増大するだろう。

具体的には、合併、戦略転換、品質向上計画、ダウンサイジング、品質向上計
画、リエンジニアリング、リストラクチャリング、企業文化革命などである。

この変革を進める上で大事なこと、それは2つのことについて理解することだ。
そして、それをできるだけ多くの社員と共有することだ。

一つ目は変革を進めるプロセスについてだ。もう一つは、このプロセスを進め
る推進力について、つまりリーダーシップについて理解することだ。

【2】

変革には、痛みが伴う。例えば人員削減だ。これは、それまでの投資を無駄に
する。また社員の側に、燃え尽き、恐れ、フラストレーションを起こさせる。

にも拘らず、これまで大半の変革が、失敗している。変革の過程でいくつかの
過ちを犯してしまうからだ。結局、痛みや出費が無駄になる。

代表的な過ちの例は次の8つだ。
1)従業員の危機感を盛り上げないで変革に突入する
2)変革を推進するチームを築くことを怠る
3)変革にビジョンがない
4)ビジョンを従業員に伝えない
5)変革の障害を事前にとり除いておかない
6)短期的な成果をあげておかない
7)すぐに勝利宣言して、変革をやめてしまう
8)変革を文化に根付かせることを怠る

【3】

これまでの歴史で、ほとんどの変革が失敗しているので、多くの人が変革を懐
疑的に見ている。しかし次のプロセスを踏めばいかなる組織でも変革は可能だ。

1)危機感を植えつける
2)変革推進をガイドするチームを作る
3)変革のビジョンと戦略を作る
4)ビジョンを周知徹底する
5)多数の参加者の自発的取り組みを促す
6)短期的な成果を生む
7)前進を確認し、次の変革を起す
8)新しい方法を企業文化に定着する

1)?4)では現状をほぐし5)?7)で新しいやり方を導入する。早急に成
果をあげようと1)?4)を飛ばしたり、順番を変えたりしては駄目だ。

人々の抵抗にあい5)以降がうまくいかなくなる。トップダウンで無理やり押
し付けようとすれば、社員は巧妙な逃げ道を見つけ出すだけだ。

【4】

マネジメントとリーダーシップは違う。マネジメントは、仕組みをうまく進め
ることだ。具体的には、計画・予算策定、人員配置、問題解決などである。

リーダーシップとは、組織を生み、それを環境に適応させていくことである。
組織の将来のあるべき姿を明らかにし、それに向けて人を動かすことである。

成功を収める変革では、7から9割がリーダーシップによって、残りの3から
1割がマネジメントによってもたらされる。

ところが企業はマネジメントを重視してきた。これまではそれでうまく言った
ため、ますますその傾向は強まった。これが変革を難しくしている。

【5】

変革をマネジメント(管理)するよりも、リード(推進)するほうが重要であ
る。リーダーこそ組織の無気力を除去し、活性化し、変革を文化にしえるのだ。

また変革を成功させるリーダーシップの発揮は、まず一人か二人の人物によっ
て始まるが、次第にリーダーの数を増大させていくことが必要だ。

何千人を従順な信望者に変える一人の英雄が変革を成功に導くのではない。今
日の企業は、複雑すぎて一人の巨人では変革できないのだ。

多くの人材がリーダーシップを発揮し、周囲がその取組みに協力する。各自が
責任の範囲でリーダーの計画に適切に参加するからこそ、変革は成功するのだ。

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■■          今週のコメント

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今週は、ハーバード・ビジネス・スクールの教授、ジョン・P・コッター氏の
本を紹介しました。

コッター氏の著書は、日本ではあまり知られていません。でもアメリカでは人
気があります。アマゾンでもベストセラーになっています。彼はハーバード史
上最年少(なんと33歳!)で教授になった天才です。

さて、本書のテーマは、企業の変革です。どうすれば変革がうまくいくのかと
いうことで、その手順と、その原動力つまりリーダーシップをテーマにします。

リーダーシップとマネジメントの違いは、ピーター・ドラッガー氏が的確に言
い表しています。すなわち、

「マネジメントは物事を正しく行うこと。リーダーシップは正しいことを行う
こと」なのです。

私は、リーダーシップといえば「7つの習慣」(スティーブンRコビー)という
本の中で出てくるたとえを思い出します。それは次のようなものでした。


ジャングルの中で、作業チームが斧を持ち、道を切り開いています。マネー
ジャーは、後ろでマニュアルやスケジュール、賃金体系を作っています。

では、リーダーは何をしているでしょうか?彼はジャングルの中で一番高い木
に登ります。そして、そこからときどき「おーい、このジャングルは違うぞー」
と叫びます。

そういわれたてマネージャーならこういうかもしれません。「ちゃんと時間内
に予定どおりの木を切っているんだからいいじゃないか。メンバーも予定以上
に休みを取っているじゃないか!」

でも、間違ったジャングルでいくら木を切ったって、行きたいところには着き
ませんよね。同じことが、あなたの会社でも起きてないでしょうか?」


「何をやるか」が大切なのは、個人でも同じです。前週のカエルの話もそうで
した。実は「どうやって、食べるか」より「どのカエルを食べるのがいいのか
か」を見極めるほうがずっと大事でしたね。

われわれは、日常に埋没すると、日々の仕事をこなすことに精一杯になり「ど
うやるか」ばかりに気をとられます。でも「今これをやっていていいの?」と
客観的に見極めることは大事です。

まして、企業のような組織ならなおさらです。しかし、組織では一人が軌道修
正が必要であることに気づいても、それを全員と共有し、かつ行動させること
は並大抵の力ではだめです。これができる人がリーダーなのです。

今日のように変化のスピードが速いと、たえずそうした軌道修正が必要です。
いつも周りに目を凝らし、必要なら正しい方向にぐっぐっ、と組織の舵をきれ
る人物、そういう人材がリーダーであり、今、必要とされているのです。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
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