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2002/06/21
ネクスト・ソサエティー― 歴史が見たことのない未来がはじまる

ネクスト・ソサエティー― 歴史が見たことのない未来がはじまる

今週は、ピーター・ドラッカーによる最新の未来予測です。「日本の最大の問題は経済ではなく社会である」として、来るべき未来を予測、そこで生じる問題や脅威、機会を明らかにします。なお本書は世界に先がけ日本先行発売です。


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■■        ビジネス選書&サマリー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 9200部>━━
=今週の選書=
■ネクスト・ソサエティー― 歴史が見たことのない未来がはじまる■
         P・ドラッガー (著)上田惇生(訳)
                            ダイヤモンド社
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■■           今週のサマリー

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今週は、ピーター・ドラッカーによる最新の未来予測です。「日本の最大の問
題は経済ではなく社会である」として、来るべき未来を予測、そこで生じる問
題や脅威、機会を明らかにします。なお本書は世界に先がけ日本先行発売です。

【1】
  
90年代半ば、IT化とグローバル化でニューエコノミーの到来し、株式市場は
永久に活況するといわれていた。

そのとき私は経済より社会の変化に着目していた。そのほうがずっと急激であ
るし、影響もずっと大きい。

例えば、出生率低下とそれに伴う若年人口の減少などの人口構造の変化、製造
業の地位の低下、労働力の多様化などだ。

21世紀の社会は、一般に予想されているものとは全く異なるものになる。それ
をネクスト・ソサイエティーと呼ぶ。かなりの部分はすでに実現しつつある。

【2】

若年人口は急減する。これはこれまで前例の無いことだ。先進国のすべてと中
国、ブラジルではすでに人口維持に必要な出生率は2.2を下回っている。

今から25年後、誰もが70代半ばまで働かなければならなくなるだろう。しか
も、大半は契約、非常勤、臨時、パートタイムで働くようになる。

また大量の若年移民の受け入れが必要になる。その結果、外国人労働者や移民
の受け入れが国論を2分する問題となるだろう。

国内市場も、これまで消費の主役であった若年層に代わり、中高年が主役とな
る。企業は高学歴高年者を採用し確保することが重要なテーマになる。

【3】

ネクスト・ソサイエティーは知識社会である。知識が資源の中核である。働き
手の中心は、知識労働者になる。

知識は、簡単に移動するものだ。そのため社会にはいかなる境界線もなくなる。
また、知識は誰もが教育で得られるため、誰もが成功する可能性を手にする。

しかし、そこには勝者と敗者が生まれる。こうしてネクスト・ソサイエティー
は競争の激しい社会となる。

例えば、ITにより知識は瞬時に世界中に伝わるようになった。そして消費者は、
何をどこでいくらで手に入れられるかを知るようになった。結果どんなローカ
ル企業もグローバル競争に巻き込まれるようになった。

【4】

知識労働者が主役であるネクスト・ソサイエティーでは、彼らがこれまでの製
造業における肉体労働者のように、社会と政治の中核を占めるようになる。

1万年の間社会を支配してきた農業が20世紀に力を失った。同じように、今
後製造業が力を失っていくだろう。

現に大戦後から今日までに先進国の工業生産は3倍以上になった。しかし価格
は低下した。その間、医療や教育など知識製品の価格が3倍になっている。

アメリカでは就業人口の35%を占めていた製造業の雇用が半減した。だが社会
不安は起きなかった。依然30%近い水準にある日本やドイツではどうだろう?

【5】

これまで多国籍企業は、国別に独立した子会社をもっていた。子会社はそれぞ
れの国で、国内企業として独自の事業を展開してきた。

これからのグローバル化は、戦略によって一体化する。各国の子会社との関係
も株の所有による支配関係でなく、合弁、提携、ノウハウ契約などが中心だ。

これに伴ってトップマネジメントのあり方も変わる。現在のトップは、現場の
マネジメントの延長線にすぎないことをやっている。

だが、今後トップは独立した機関として価値、ミッション、ビジョンを作る。
企業内の他の機能は、いずれもアウトソーシングされてしまうかも知れない。

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■■          今週のコメント

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著者のP・F・ドラッガー氏はもう92歳です。筆致が衰えたという噂もあります
が、なかなかどうして。冴えるその論旨に頭が下がります。まだまだがんばっ
てほしいものです。その彼の未来予測です。

未来予測は容易ではありません。20年前の誰が今日の日本を、そして世界を予
測できたでしょう。

そういえば昔「2001年宇宙の旅」という映画を見たとき、遠い未来の話と思い
ました。その2001年ももはや過去です。

あの映画は、映画史上、最も科学的正確さにこだわった、と言われる作品です
が、世界はあのようになっていません。

これだけ変化のスピードが速いと、20年後どころではありません。株価や地価、
為替なんて来年のことすら予測できません。

でも、かなり正確にわかることもあります。20年後の労働人口やその年齢構成
です。なぜなら20年後に働く人はもう生まれているからです。

戦争や自然災害でもない限り、この予測は大きくブレないでしょう。当面、若
年人口は減り高齢化は進み、これに伴い市場も雇用も大きく変わるでしょう。
こうした"わかっていること"をベースにすれば、いろいろと見えてきます。

個人レベルでも同じです。例えば自分が働いている会社。社内の年齢構造なら
20年後でもわりと容易に予測できるのではないでしょうか。

私がサラリーマンだったころ、私の同期社員の全員が30年後の自分の姿は"30
歳年上の部長や役員のようなもの"と考えていました。

でも、そうはならないことなど、ちょっと社内の年齢構成の推移に目を向けれ
ば簡単にわかったことです。考えてみれば彼らの30年前だって、当時の我々と
は全く違ったはずですし。


あれから10年以上経ちました。あのまま働いていても、当時私が思い描いて
いた10年後にはなっていないでしょう。

まあ、予測するだけじゃ駄目ですね。占い師じゃないんですから。この予測に
従って準備、つまり行動しなければいけません。

例えば、崩壊しつつある年金に備え、何をしていますか?終身雇用が崩壊し、
会社が雇用を維持できない中、どんな対策を打っているでしょうか?

わかっちゃいるけど...というのが人間の性ですね。でもここは一つ考え、そし
て行動してみてはいかがでしょうか。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
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