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2003/01/24
ザ・プロフィット■利益はどのようにして生まれるのか

ザ・プロフィット■利益はどのようにして生まれるのか

利益を実現する23の方法をひとつずつ紹介します。利益発生の秘密、現実に行なわれている戦略の問題点が解き明かされていきます。


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=今週の選書=
■ザ・プロフィット
■利益はどのようにして生まれるのか
■エイドリアン・J・スライウォツキー (著)、中川 治子 (翻訳)
■ダイヤモンド社
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■■  今週のサマリー

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利益を実現する23の方法をひとつずつ紹介します。利益発生の秘
密、現実に行なわれている戦略の問題点が解き明かされていきます。

【1】

これまで、企業の成否を決める要因は市場シェアだと考えられてき
た。他者に負けない製品を開発し、市場シェアを確保すれば黙って
いても利益は上がると思われていた。

しかし今やこの成功の方程式は機能しない。もはや市場シェアだけ
が利益の源泉ではないからだ。また売上げであれ、資金力であれ、
技術力であれ、それだけで利益を手にできる要因にはならない。

世界のあらゆる業界において、製品中心主義の名門企業からより良
いビジネスデザインを備えた企業へと利益も資本も顧客も移動して
いる。今日成功をもたらしてくるのは利益が生まれる仕組みなのだ。

企業がどこで利益を上げるかを決めるのは顧客だ。成功している企
業は自らの顧客を見据えたうえでパワフルかつユニークな利益発生
の仕組みを作り上げている。

【2】

利益の生まれる道筋には、一つとして同じものはない。これを作る
には、企業の固有性を形作るさまざまなディテールを理解する必要
がある。

一般論を振りかざすのは簡単だが、ビジネスは具体的ケースであり、
具体的なケースにきっちりと当てはまる原則が必要だ。

例えば「顧客ソリューションモデル」というのがある。このモデル
に該当するファクトセット社は、資産運用者に金融情報を提供する
というシンプルなビジネスを行う会社だ。

彼らは、ライバルが従業員400名で4000万ドルの利益を出すとこ
ろ、36人で2400万ドルを売り上げている。

【3】

ファクトセット社の秘密は何か。彼らは市場に1000件近い大口客
がいるのに、そのごく一部に焦点を当てている。彼らは年20件の
新規客を開拓できれば成長曲線が維持できることを知っているのだ。

代わりに潜在顧客と見込んだ会社には2から3人のチームを送り込
みその会社に数ヶ月、時にはもう少し長く留まりあらゆることを調
べる。

「その会社がどのようにビジネスを進めているか」「システムはどう
動き、どう動いていないのか」「人々は何に心を砕いているか」と言
ったことを徹底敵に調べるのだ。

こうした情報に基づいて顧客の特色や経済状態に合わせてカスタマ
イズした製品やサービスを開発する。そして契約を得られると今度
は膨大な時間をかけて自社製品を顧客のシステムに統合する。

【4】

このプロセスではファクトセットの売上げはほとんどなく、コスト
は膨れ上がる。例えば売上げ3000ドルに対して経費が1万ドルと
いう膨大な赤字ということもある。

しかし3、4ヶ月経つとファクトセットの製品は顧客の日常業務に
溶け込み、彼らの開発したソフトウェアはデバックされ、スムーズ
に機能するようになる。

ここまで来れば、ファクトセット社もスタッフをフルタイムで3人
投入する必要はなくなる。1人がパートタイムで十分にサービスを
維持できる状態になる。

さらに彼らのデータが優れ、またカスタマイズされたサービスよさ
が社員に認識されるようになると、ファクトセット社はますます有
利になる。毎月のコストを減らしながら売上げは増えていく。

以上このモデルでは、顧客について知るべきことをすべて知るため
に時間とエネルギーを投じ、知識を顧客のソリューション開発に活
かす。短期の損失に目をつぶり、長期の利益を実現するのだ。

【5】

他にもいろいろある。例えば製品ピラミッド利益モデルでは、マテ
ル社のバービー人形が代表的だ。彼らは他社が追随しないように10
ドルのバービー人形を売る。こうして他社の参入を封じ込める。

だがここで利益は上がらない。そこで100ドル、200ドルのバービ
ー人形も売る。バービー人形で育った世代の中には、精巧で手の
込んだものなら買ってもいいと思っている。

こうなると、バービー人形は、ただのおもちゃでなくコレクターズ
アイテムになる。

このコンセプトでは、バービーは単なる製品ではなくシステムの一
部になる。ピラミッドの最下層には防火壁が、最上層には強力な利
益製造マシーンが配備された一つの優れたシステムなのだ。

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■■  選書コメント  
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本書は、大企業の戦略企画部門で働く若者スティーブが、老賢人チ
ャオからビジネスで利益が発生する仕組み=「利益モデル」を教わ
る物語です。

ということで、以前に紹介したザ・ゴールのシリーズを想像された
かもしれません。しかしストーリーそのものはザ・ゴールのように
エキサイティングではなく、淡々とすすみます。先生と教え子の問
答集といったところです。

ただ問答形式なので、内容に関する理解は容易になります。高度で
難解な内容ですが、飽きずにスラスラと読み進めることができます。

一つ一つの利益モデルは、どれもユニークで参考になります。これ
が23個集めてあるのですから圧巻です。

今や利益の追求は経営者だけでなく社員全員が関心を寄せて取り組
むべき任務です。というわけで本書はあらゆる層のビジネスマンが
読んでためにしていただける内容だと思います。

また本書のタイトル「ザ・プロフィット」ということで単なる利益
に関する本を想定するかもしれません。しかし正確には利益を生み
出す仕組みすなわちビジネス・モデルをいろいろと紹介した本です。

むしろ焦点が当たっているのは「仕組み」のほうです。私の仕事の
一つは「いかに起業家のアイデアを儲かる仕組みにまで高めるのか」
について頭をひねることですから、本書はいつも手元において置き
たい参考書のひとつになりそうです。

儲けを出す仕組みといえば「儲けのカラクリ」(三笠書房)という本
が大変売れています。この本は各業界の既存のビジネスモデルをい
くつも紹介したものですが、こうした本も発想の宝庫になりえます。


「ザ・ゴール」

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478420408/tachiyomi-22

「儲けのカラクリ」(三笠書房)

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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