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2004/11/26
がなり流!
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1995年12月にソフト・オン・デマンドという会社を作り、2001年
度の売上は60億円、経常利益は10億円くらいだった。自分の年俸
は１億4400万円だった。
この会社は、俺がいなくなったら成立しない。半分以上は自分の金
だ。「でも１億ちょっとで許してやる」と社員にも言って自分の取
り分を決めている。
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■■ ビジネス選書＆サマリー
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＝今週の選書＝
■がなり流!
■高橋 がなり
■青春出版社
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■■ 選書サマリー
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無駄や遠回りの大切さ。かなり強引な、がなり流・成功の軌跡です。
【１】
1995年12月にソフト・オン・デマンドという会社を作り、2001年
度の売上は60億円、経常利益は10億円くらいだった。自分の年俸
は１億4400万円だった。
この会社は、俺がいなくなったら成立しない。半分以上は自分の金
だ。「でも１億ちょっとで許してやる」と社員にも言って自分の取
り分を決めている。
専門学校を卒業して、佐川急便のドライバーとなった後、番組制作
会社に転職して年商50億円のタレントショップも経営した。一時は
それなりの収入もあったが、会社を２つ潰した。ゴルフ用品の販売
会社とコンサートビデオの企画会社だ。
そんな紆余曲折のあった自分が、今なぜ成功しているのか。一番大
きなポイントは「空き地」を狙ったことだと思う。空き地とは、Ａ
Ｖの世界だ。
【２】
ＡＶは、レンタル用とセル用とに分けられる。レンタルビデオのメ
ーカーになるためには、まずビデオ倫理協会に加盟しなくてはなら
ない。その際、同業２社の推薦が必要になる。
要するに、先発組が縄張りを主張しているわけだ。無駄に首根っこ
を押さえつけられるのが嫌だったので、最初からレンタルには見向
きもしなかった。
ところが、セルビデオのほうはまったくの空き地状態だった。もち
ろん10数年前からやっている人間もいたが、商材もお客もナメて適
当にやっていた。
ＴＶの世界にいた人間から見れば、そこはちっぽけな上、見た目も、
日当たりも悪い。だからこそ、ここで真剣にやれば儲かる。大穴を
当てられると確信したのだ。
【３】
最初に作ったのは全部で５タイトルだ。ちなみに1000万円だった。
さらに問屋を通さずに直接、小売店に売った。卸値は1200円。販売
価格は5000円だった。
小売店主からは、ビデオの世界はレンタルが中心なので、価格を下
げると安物に見られてしまうと言われた。そこを何とか5000円でお
願いした。現在は2980円を実現している。
これらの作品は、何とタイトル合計で15万本売れた。１タイトル
1000本でヒットと言われていたから前代未聞の大ヒットだ。新規参
入者がうまくいったのは、業界のぬるま湯を引っ掻き回したからだ。
何年もの間、この業界は放っておかれていた風呂のようだった。湯
は冷め切っていたが、風邪を引かない程度にはぬくぬくしていたの
で、みんななるべく冷めないようにじっと入っていた。そこに我々
がズカズカ入っていって、お湯をひっかき回ったのだ。みんな大い
に迷惑したはずだ。
【４】
いきなり15万本ものビデオが売れたおかげで、会社には純粋な利益
として5000万円が入ってきた。そこで社員たちに「大金をつぎ込ん
で、大勝ちしよう」と提案した。
「5000万円を地道に使えば１年くらいはもつ。だが余裕をかまして
いたら怠け者になってしまう。それではいけない。チャレンジする
べきだ。結果的に失敗をしても、それはそれで意味のある買い物に
なるはずだ」。
そこでサファリパークを借りきり、クレーンを６台動かし、ヘリも
飛ばした作品を作った。制作費は、5000万円だ。ところが、今度は
たった1000本しか売れなかった。
この作品では、金だけでなく、大切な小売店の信用まで失ってしま
った。しかし、びびらなかった。そしてほかの制作会社に頭を下げ
て頭金だけ払い、残りは後払いさせてもらう約束を取り付けた。
こうして作り上げた作品の制作費は2500万円。７タイトルを作り上
げ15万本を売った。これ以来、売上は右肩上がりに伸びている。
今後も安定は望まない。いつも勝負していつもドキドキしていたい。
自分には自信があるからだ。一度でも勝利を体感した人間は「俺は
他のやつらとは格が違う」と本気で思いながら生きていけるはずだ。
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■■ 選書コメント
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本書は毎回、著者の高橋がなり氏が若者に向けて熱いエールを送る
月刊「ビッグ・トゥモロウ」の連載「マネーの大穴」というコーナ
ーを21回分まとめたものです。
高橋がなり氏については「マネーの虎」などのテレビ番組ほか、様々
なメディアで見かけますが「一体、何をやっている人？」と思って
いる人も多いようです。
答えはソフト・オン・デマンド社というＡＶ制作会社の社長です。
この会社は、年商84億円を稼ぎ、業界で始めて四季報にも掲載され
た会社です。
本書は、いきなり「ライターさんが書いた」と暴露しています。毎
回２時間のインタビューをライターが書き起こすそうです。実際、
そういう本は多いのですが、ぼかしてあるのが普通です。
著者が書いていると信じて読んでいる読者からすれば、拍子抜けす
る話ですがインタビューのほうがいいこともあります。まず人はペ
ンを取ると気の利いたことばかりを書きがちです。
その点インタビューは、インタビュアーの力量次第で、相手の本音
が出やすくなります。本書も、本人が言うとおり、がなり氏のエネ
ルギーが、びしびし伝わってくる感じがします。
第一、油ののった人ほど忙しく、著書を書く暇などありません。し
かし読者は、油ののった人の話を、油ののっているときにこそ聞き
たいのです。だから、こういう手法が確立したのです。
書籍には、いろいろな役割がありますが、一つは読者を元気にする
ことだと思います。私はそういう本を「栄養ドリンク」のような本
と呼んでいます。
自分にカツを入れたいとき、体に栄養ドリンクを補給したら、頭と
心には本書のような本をお勧めします。
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