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2004/12/17
成功ルールが変わる!―「カラオケ資本主義」を越えて
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今日ほど個人主義が色濃い時代はない。1517年、マルティン・ルタ
ーがウィッテンベルク教会の扉に95か条を掲げ、「個人」にキリス
ト教の光を当てたときからおよそ500年が経過した。
わたしたちは再び、第二の改革期ともいうべき時期に遭遇している。
米国に本社を置く、巨大多国籍企業のスカンジナビア支社に、本社
から一通のメールが届いた。
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■■ ビジネス選書＆サマリー
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＝今週の選書＝
■成功ルールが変わる!―「カラオケ資本主義」を越えて
■ヨーナス リッデルストラレ、シェル・A. ノードストレム
■ＰＨＰ研究所
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■■ 選書サマリー
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もはや成功の方程式はない。ビジネスを主導するのは個人のルール
破りだ。ビジネスマンよ、総決起だ！異色のベストセラーの邦訳。
【１】
今日ほど個人主義が色濃い時代はない。1517年、マルティン・ルタ
ーがウィッテンベルク教会の扉に95か条を掲げ、「個人」にキリス
ト教の光を当てたときからおよそ500年が経過した。
わたしたちは再び、第二の改革期ともいうべき時期に遭遇している。
米国に本社を置く、巨大多国籍企業のスカンジナビア支社に、本社
から一通のメールが届いた。
その内容は、あるＶＩＰのために、特別しつらえのホテルの一室を
用意しろ、というものだった。先方の要求は、白い壁紙、白いバラ、
白いユリ、白いテーブルクロスにカーテン、白いキャンドル、ソフ
ァと、とすべて白づくめの部屋を用意することだった。ＶＩＰの名
は、ジェニファー・ロペスという。
【２】
極端にいえば、個人主義とは、どんなわがままですら正当化してし
まうものなのだ。ジェニファー・ロペスのようなわがままを言うの
は、彼女だけではない。
たとえば、フォルクスワーゲンの最高級車「フェートン」は、座席
ごとに温度を設定できるようになっている。近く実施されるであろ
う「個別医療」は、遺伝子によって決定される薬物反応に基づき、
カスタマイズ化された治療をほどこすことになるだろう。
われわれは偶然性という宿命から解放された。もはや人には、何で
も知り、どこへでも行き、何をしてもいい自由が与えられている。
植毛してもいいし、カールした赤毛にしてもいい。
どんな会社に勤めるのも本人の自由だし、性別を変えるのも自由だ。
われわれは、いわば巨大な国際都市のカラオケボックスの中にいる
と言えるのだ。
そこには、1598の曲が揃えられ、1966のライフスタイルが用意され
ている。もしも権力を発揮すれば、かつて想像もできなかったほど、
多様な自己実現が可能となるのだ。
【３】
もちろん問題はある。カラオケボックスの歌は誰もが自由に歌える
わけではない。どんな曲でも選ぶことができるのは、輝かしいスタ
ーだけだ。必要なのは「カネ」だ。
マイケル・ブルームバーグは、ニューヨークの市長になるために、
自分のポケットから一票につき92ドルを支払ったという。世界最大
にして、もっとも民主主義的な都市の市長になるには、6900万ドル
を支払えばよい、ということだ。
カラオケボックスのなかでは、有名人がルールを作り、資本がすべ
てを支配する。もちろん必要なものはカネ以外にもある。適当な「ス
キル」だ。
われわれの人生は、能力または能力の欠如によって決定されるよう
になってしまった。トップアスリート、歌手、ダンサー、芸術家、
シェフなど、能力はさまざまな形となってあらわれる。
そのためには知識、技能に投資することが必要だ。高卒と大卒の平
均週給の差は、ここ20年の間に、28パーセントから43パーセント
に広がった。知識を持った者は、どこへでも行き、いろいろなこと
を知り、なんでもすることができる。
「エリートは世界を股にかけて活躍するが、一般人は狭い地域にと
どまる」とは、世界的に有名な社会学者 マニュエル・カステルの
言葉だ。今や教育がないことは、経済的な死を意味するのだ。
【４】
カネと知識を持っているだけでは、成功は得られない。カラオケボ
ックスの中で、他人のコピーを歌うか、自分のオリジナルの曲を歌
うかは、本人の選択によるものだ。
多くの人が自分自身であることを放棄して人の真似をしているが、
革新者は模倣をしないものだ。模倣はラクだし、短期的には楽に成
功をつかむ方法ではある。しかし長期的な成功には結びつかない。
カラオケ資本主義の世界では、成功とはカラオケボックスに入るこ
とではない。過去のルールや他人に惑わされることなく、自分自身
の個性を実現することなのだ。
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■■ 選書コメント
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本書は、異色のベストセラー『ファンキービジネス』の続編です。
前作は全世界に衝撃を与え、25万部を超えるベストセラーとなりま
した。私も前作から大きな影響を受けました。
続編の本書は、原題を「Karaoke Capitalism（カラオケ資本主義）」
と言います。カラオケボックスで誰かの成功体験のモノマネして喜
ぶような模倣は、止めよと訴えます。
マスコミの情報を丸飲みしたり、聞きかじったビジネス用語を使っ
たりして、わかったフリをしているだけでは、現在起こりつつある
激変を乗り越えることはできません。
必要なのは、自分の頭で物事の本質を見極め、自分流の解決策を見
つけることです。まずは従来のルールを破ることです。これこそが、
革新的な創造をもたらす源泉なのです。
書籍を読む目的は、いろいろあると思います。読むことで元気にな
りたいということもあれば、知識を得たい、考え方を習得するため
の材料が得たい、考えるヒントが得たいなど、いろいろです。
本書は、自分の頭であれこれ考えるための"たたき台"として読む
のに最適な本です。少なくとも、答えを求めて読むべき本ではあり
ません。
世の中の様々な変化について、広く、客観的に紹介していますが、
「ではどうすればいいのか」に対する答えは、どこにも見あたりま
せん。それは、自分の頭で考えてみてください。
本をたたき台に自分の頭を駆使して、いろいろと発想を広げてみた
いと考える人、頭の中で思考のスパーリングをしたいと考える人に
とって、本書は最高のパートナーになると思います。お正月休みに
いかがでしょうか？
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