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2005/04/08
リーダーなら、人の心を変えなさい。

リーダーなら、人の心を変えなさい。

人の心は変わりにくい。しかし、人生の多くの局面で、人の心を変
えたいと思うことはよくある。たとえば同僚の仕事の仕方を変えた
いとき、また自分に対する偏見を払拭したいと考えるときなど、そ
うした機会はいくらでもある。
人の心を変えるのを職業としている人もいる。セラピスト、教師、
営業マンや宣伝マンがそうだ。また、国家指導者や経営者など、指
導者と呼ばれる人は、任務を遂行するために、いつも人の心を変え
る必要に迫られている。


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■■       ビジネス選書&サマリー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 29,600部>━
■■リーダーなら、人の心を変えなさい。
■■ハワード・ガードナー (著)/ランダムハウス講談社
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■■  選書サマリー

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生き方を左右するような心の変化はどのように起きるのでしょう?
心のあり方を考える1冊です。

【1】

人の心は変わりにくい。しかし、人生の多くの局面で、人の心を変
えたいと思うことはよくある。たとえば同僚の仕事の仕方を変えた
いとき、また自分に対する偏見を払拭したいと考えるときなど、そ
うした機会はいくらでもある。

人の心を変えるのを職業としている人もいる。セラピスト、教師、
営業マンや宣伝マンがそうだ。また、国家指導者や経営者など、指
導者と呼ばれる人は、任務を遂行するために、いつも人の心を変え
る必要に迫られている。

この、人の心の変化という現象を、単なる現象としてとらえるだけ
でなく、意図的に起こすことはできないだろうか。

人の心を変えるためには、まず人が心を変えるときに、心の中で何
が起きているのかを知ることが必要になる。

【2】

心の変化に重要な役割を果たすのは7の要素だ。まず「理性」があ
げられる。とくに「自分は知的だ」と考えている人の心を変えるに
は、理性に働きかけることが大きな意味をもつ。

たとえば「自分の部屋をどう模様替えするか」を決断しなければな
らないとき、理性的な人なら、賛成する人と反対する人、両方の意
見を記した一覧表があると決断しやすいと考えるはずだ。

また、「リサーチ」も大切だ。議論を補足する関連データだ。形式
ばったものある必要はない。心の変化を起こすなら何でもいいのだ。
部屋の改装の例で言えば、改装に必要な経費や、友人の意見などが
事前に入手できれば決断し易いはずだ。

相手と「共鳴」を起こすことも大切だ。共鳴とは、理性でなく、感
情に訴えるものだ。人は、相手と共通点を見だしたり、相手を信頼
できると感じたり、相手を尊敬したりすると「もうこれ以上考える
必要はない」と考えるようになるのだ。

さらに「くりかえし・言い換え」も大切だ。相手の心に変化を起こ
すほどの説得力を持つには、同じことを、いろいろと異なった方法
で表現することが、ぜひとも必要になる。

【3】

さらに「リソースと報酬」があると、心の変化が起こりやすくなる。
たとえば部屋の模様替えに二の足を踏んでいる人でも、著名なアー
チストがただでやってくれるとなれば、話は別だろう。

「現実世界のできごと」が、心の変化に影響を及ぼすことも多い。
戦争や災害、テロ攻撃、経済不況がきっかけで、これまでの考え方
を大きく変えることは少なくない。

肯定的な例では、平和と繁栄の時代、医療の普及による病気治療と
長寿の実現、穏健な指導者や団体や政党の優勢などが、人の考えや
行動を変えることがある。

以上、6つの要素をあげたが、これまであげた要素はどれも心の変
化を促す要素だ。しかし、変化を楽にする要素ばかりではない。変
化を妨げる要素もあるのだ。それが「抵抗」だ。

たとえば、年をとると、心を変化させることはだんだんむずかしく
なる。心を変えるなら、人生の早い時期のほうが容易だ。

理由は、年とともに私たちの内面に、変化に抵抗する強力な見方や、
観点が育つからだ。心の変化を理解しようとするなら、必ずさまざ
まな抵抗があることを知っておかなくてはならない。

【4】

心が変化した人、しなかった人の例をひとつひとつ見ていくと、こ
れまであげてきた(1)理性(2)リサーチ(3)共鳴(4)表示
の再叙述(5)リソースと報酬(6)現実社会のできごと(7)抵
抗の各要素が、複雑にからみあって影響していることがわかる。

具体的には、(1)から(6)の6つの要素が調和して働き(7)
の抵抗が比較的弱ければ、心は変化しやすいのだ。逆に抵抗が強く
てほかの6要素がひとつの方向を向かないと、心は変化しにくい。

一人の個人であっても、国家という大きな単位であっても、ここで
あげた7つの要素が人の心に働きかけるときにはじめて、人は心を
変化させるのだ。

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■■ 選書コメント  
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本書は、米国の心理学者である著者が「人の心の変化」のしくみを
科学的に解明し、それをビジネスに応用しようとした画期的な試み
をまとめた書籍です。

ビジネスの世界というと、とかく数字や理論が重要視されがちです。
しかし、すべてのビジネスが人の心に働きかけて結果を出す行為で
ある以上、本当に大事な要素はむしろ感情といえます。

数字や理論は、むしろ感情を裏付けるために、後からついてくるこ
とが多いのです。経営者も、結局は直感や感情で決める、というこ
とが多いのです。それに後から理屈をつけているのです。

マーケティングの世界でも、消費者にメッセージを伝えるなら、理
屈や理論でなく、感情、つまり心に訴えたほうがずっと有効だとい
うことが、ずいぶん前から常識になっています。

しかし、人の心を変えることは難しいのも事実です。相手のまちが
いを指摘することはカンタンですが、相手の「キライ」という気持
ちを変えることは、ほとんど不可能に思えます。

本書は、その難しい「心の変化」に挑戦することをテーマにしてい
ます。理論はかなり難解ですし、言葉も、訳書ということもあって、
かなりとっつきにくいものになっています。

ただ、冒頭の理論以降は、大半が事例です。その事例を用いて冒頭
の理論を確認していくという作りになっています。だから、理解し
やすいはずです。

組織の中で人の心を変えるという難しい命題に挑む経営者や幹部、
管理職の方はもちろん、消費者とダイレクトに接するマーケティン
グや営業関連の人など、ビジネスの現場で人の心に関わっている、
すべてのビジネスパーソンに、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
〒101-0052
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