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2005/04/29
ブランド・ストレッチ 6つのステップで高めるブランド価値

ブランド・ストレッチ 6つのステップで高めるブランド価値

強いブランドの構築は、企業にとって重要な課題だが、ブランドの
構築に成功したら、つぎにそのブランドをほかの事業にも展開する
ことを検討してみるきだ。
これを「ブランド・ストレッチ」という。築いたブランドを有効に
活用し、そこから生まれるあたらしいビジネスチャンスをつかみ、
さらにブランド力を強めていくことが必要だ。既存のブランドから、
優秀な子孫を生み出すのだ。


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■■       ビジネス選書&サマリー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 32,600部>━
■ブランド・ストレッチ 6つのステップで高めるブランド価値
■デビッド・テイラー(著)
■グロービス・マネジメント・インスティテュート(訳)英治出版
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■■  選書サマリー

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自社のブランドをどう活用すればいいか...現代を代表するマーケテ
ィング戦略家50人に選出された著者が、実践的方法論を提示します。

【1】

強いブランドの構築は、企業にとって重要な課題だが、ブランドの
構築に成功したら、つぎにそのブランドをほかの事業にも展開する
ことを検討してみるきだ。

これを「ブランド・ストレッチ」という。築いたブランドを有効に
活用し、そこから生まれるあたらしいビジネスチャンスをつかみ、
さらにブランド力を強めていくことが必要だ。既存のブランドから、
優秀な子孫を生み出すのだ。

たとえば、エルメスやクリスチャン・ディオールは、洋服やバッグ、
アクセサリー、香水など、さまざまな分野に展開し、そのブランド
価値をフルに活用することに成功している。

花王の「健康エコナクッキングオイル」は、体に脂肪がつきにくい
という機能が支持されて、通常の食用油の3?5倍というプレミア
ム価格ながら大ヒットした。これを、ドレッシングやマヨネーズな
どにも活かし、この分野でも成功を収めた。

【2】

「ブランド・ストレッチ」に成功することができれば、ブランドの
構築や維持に要するコストも回収することができる。たとえば、プ
ロクター・アンド・ギャンブルは、歯磨き粉「クレスト」のブラン
ド拡張に成功し、利益は2桁成長、株価は14%上昇した。

CEOのアラン・ラフリー氏は「わが社では、かつて新しいことを
するたびに、カテゴリーやブランドを新設していた。これをすでに
確立したブランドを用いるやり方に変えた結果だ」と述べている。

だが、残念なことにブランド・ストレッチは失敗に終わることも多
い。飲料メーカーのディアジオは、アルコール飲料「キャプテン・
モルガン・ゴールド」のブランドをうまく拡張できず、株価は下落、
決算では2800万ドルの評価損を計上した。

ブランド・ストレッチに失敗するのは、「自己中心ストレッチ」に
おちいるからである場合が多い。この症状に陥ると、企業は消費者
に対する価値提供でなく、社内ニーズを目的にするようになる。

【3】

ブランド・ストレッチには、6つのステップがある。

ステップ1...「コアの強化」を行う。コアとなる強いブランドや製
品を持つことが何にもまして重要だ。同時に、ブランド・ストレッ
チがコアブランドに及ぼすリスクについても検討するべきだ。

ステップ2...「ビジョン」について見直す。自社ブランドに対し、
明確かつ野心的で、将来志向のビジョンを開発すれば、不適切なブ
ランド拡張を防ぎ、イノベーションを進めることができる。

ステップ3...ブランド拡張案を生み出す、実用的な「アイデア」を
考える。市場マップと消費者ニーズから事業機会を発見する方法も
ある。また、ほかのカテゴリーからアイデアを拝借する手法もある。

ステップ4...「絞込み」をする。複数のブランド拡張案のうち、ど
れを採用するかを検討するのだ。低価格の航空会社などを展開する
イージーグループは、ブランドを絞り込まず、やみくもにブランド
拡張をした結果、1億ドル以上の赤字を出してしまった。

【4】

ステップ5...絞込みをおこなったら、それが実現できるかを検討す
る。顧客に一定の品質が保証できない分野に参入すれば、ブランド
拡張が失敗するばかりか、ブランドそのものに傷をつけてしまう。

ステップ6...最後におこなうのが「ブランド・アーキテクチャー」
だ。これは、社内や消費者を混乱させないように、それぞれのブラ
ンドの意味を明らかにして、整理し、体系図を作ることだ。

たとえば、ブロックのレゴは、一時期、幼児向けの「デュプロ」や
少女向けの「レゴ・スカラ」、ハリーポッターのようなキャラクタ
ーものを扱う一方、洋服や時計まで販売していた。

結果、消費者は混乱し、社員はブランドの目的や方向性を見失って
いた。いまでは製品ラインを4つの切り口に整理した結果、レゴ・
ブランドは、成長軌道に戻りつつある。

ブランド拡張の成功率は50%といわれる。ここで紹介した方法を、
信念をもって実行すれば、成功確率は確実に上昇する。無鉄砲なブ
ランド展開をしないよう配慮を怠らず、チャンスをとらえてほしい。

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■■ 選書コメント  
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本書は、自社のブランド資産を活用する方法について、現代を代表
するマーケティング戦略家デビッド・テイラーが、実践的な方法論
を提示した書籍です。

強いブランドの構築は、どの会社でも重要課題として位置づけられ
てきました。だからこそブランドに関連する書籍はたくさん売られ
てきたのです。

しかし、ひとたび構築したブランドの活用法については、あまり話
題にならないようです。あとは各社の創意工夫に任されているとい
った感じです。

本来、ブランドは活用するために構築されます。にもかかわらず、
それを活用しないのですから、もったいない話です。しかし、無理
もない側面もあります。なぜならブランドを活用してさまざまな分
野に進出しても、全く売れず、一年も経たないうちに店頭から姿を
消す製品はあとを経たないからです。

こうなると、ブランド資産を活かすつもりが、築いたブランドイメ
ージを傷つけてしまうことになります。だからこそブランドの活用
には、慎重にならざるを得ないのです。

こうした失敗を回避しつつ、ブランド資産を活用する方法について、
本書は詳しく語ります。本書のやり方に従えば、ブランドの乱用に
走らずに、成功率を上げることができるはずです。

特に、具体的な事例を多数交えて説明していますので、理解が深ま
ります。登場する企業は、日本企業というワケにはいきませんが、
それでもブロックのレゴ、石けんのダヴ、レコード・航空会社のバ
ージンなど、多くは日本でもおなじみのグローバルブランドです。

経営者、マーケティング担当者やマーケティング会社の方などマー
ケティングがらみの仕事に従事する人はもちろん、ブランドに少し
でも興味のある方なら、一読してみることをお勧めします。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
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Fax.(03)6273-7951

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