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2005/05/06
渋谷ではたらく社長の告白

渋谷ではたらく社長の告白

21世紀を代表する会社をつくる。これは私が20歳のときに決めた
夢だ。そして、1998年、当時勤めていたインテリジェンスの宇野社
長から出資を受け、ゼロから会社を設立することにした。当時、私
は24歳だった。


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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 32,600部>━
■渋谷ではたらく社長の告白
■藤田晋/アメーバブックス
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■■  選書サマリー

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サイバーエージェント藤田晋社長の手によるノンフィクション・ド
キュメンタリーです。これまで歩いてきた道を描いた1冊。

【1】

21世紀を代表する会社をつくる。これは私が20歳のときに決めた
夢だ。そして、1998年、当時勤めていたインテリジェンスの宇野社
長から出資を受け、ゼロから会社を設立することにした。当時、私
は24歳だった。

会社のスタートは同年の4月1日。メンバーは私とインテリジェン
スに同期入社で友人の日高、学生アルバイトの石川の3人だった。

最初の事業はインターネットの営業。というのも、私の強みが営業
で、インターネット業界は営業が弱いから、営業の専門会社をつく
ればいい。ただそれだけの理由だった。

今ではIT企業などと呼ばれ、技術に詳しい会社と思われているが、
当時の私たちの技術に対する知識レベルは、お寒い限りだった。

【2】

4月下旬、会社を始めて1ヶ月も経たずして、日経新聞の取材の話
が舞い込んだ。私は常々、信頼できるメディアに露出して勢いをつ
けたいと考えていた。

というのも、インテリジェンス時代、メディアへの露出が仕事の追
い風になることが多々あったからだ。宇野社長もメディアへの露出
が増えたことで経済界で注目を集め始め、社長同士の会談で新しい
事業機会が拡がっていった。

私は万全の支度をし、日経新聞の取材を受けた。営業で培ったプレ
ゼンテーション能力で、私はまだ何もないサイバーエージェントを
存分に魅力的に語った。

そのおかげで『日経新聞』の土曜版に、デカデカとサイバーエージ
ェントの写真と記事が出た。その記事の広告効果は絶大で、提携の
話が次々に舞い込んだ。広告価値で言えば、1000万くらいだろうか。

【3】

会社を始めて4ヶ月目。7月になろうとした頃、私は「社員ゼロの
会社なんて格好悪い」と焦っていた。そこで私は奇策を思いついた。
早稲田や慶応、明治など名だたる大学の学生に片っ端から採用の広
告メールを送ることにしたのだ。

当時は個人でパソコンを持っている大学生はまだ少なく、ほとんど
の学生が大学で配布されたメールアドレスを使用していた。そのた
め、学籍番号@waseda.ac.jpのようになっていて、学籍番号を連番
にして変えてくと、メールアドレスがわかるようになっていた。

ちょうど内定の決まらない学生が焦り始めていた時期だった。私の
目論見はあたり、このメールの反響で100名以上の学生から説明会
の申し込みがあった。

そして8月。かくして、依然として社員数ゼロ、創業5月目のサイ
バーエージェントは来春入社予定の学生7名の内定者を確保したの
だった。

【4】

同じく8月のある日、私はクリック保証型のインターネット広告「サ
イバークリック」をつくることを閃いた。というのも、私は自社で
製品やサービスを持たないと意味はないと考えていたからだ。

代理業は巨大な自転車操業のようで、リスクが少ない代わりにリタ
ーンも少なく、来る日も来る日も営業し続けなければならなく、な
かなか楽にはならないのだ。

そこで、私たちはサイバークリックを先行発売し始めた。サイバー
クリックの受注は想像以上に順調だった。しかし、肝心のシステム
開発ができなかった。

そこで、私はオン・ザ・エッヂ(現・ライブドア)の堀江社長に相
談することにした。そして、社長自らにプログラムを作ってもらい、
パートナーとして売上を分けあうパターンで、この事業に絞り込ん
で会社を拡大させることにした。

続けて、サイバーエージェント&オン・ザ・エッヂの共同事業とし
て「クリックインカム」(現・メルマ)も立ち上げたのだ。

こうして両社は二人三脚で成長を遂げ、ともに上場し、お互い資金
力をつけて提携関係を解消するまでパートナーシップを続けたのだ。

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■■ 選書コメント  
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本書は、サイバーエージェント社長の藤田晋(ふじた すすむ)氏が
起業を志す前から、会社を立ち上げ、平成12年3月に上場し、現在
に至るまでの半人生を赤裸々に綴ったノンフィクションです。

(株)サイバーエージェントは、クリック保証型のインターネット
広告や、メールマガジン「メルマ!」などを事業の柱とするインタ
ーネットの広告会社です。

藤田氏のことは、タレント奥菜恵さんのご主人ということでご存じ
の方が多いかもしれません。若い経営者としては、ライブドアの堀
江氏があまりにも有名です。しかし、藤田氏は最年少で上場すると
いう快挙を成し遂げた、すごい経営者の一人でもあります。

実は、私は経営者の自叙伝は、あまり好きではありません。本人の
著書といいながら、ジャーナリストがきれい事ばかりを書いたもの
が書店にあふれているからです。

しかし、本書はそのような書籍とは一線を画す一冊です。おべんち
ゃらの類は一切ありませんでしたし、家族のこと友人のこと、失敗
談、挫折体験なども包み隠さず披露しています。読後感は爽快です。

起業家というと、六本木ヒルズ、巨万の富、アイドルとの結婚など、
華やかな側面ばかりが脚光を浴びます。それは、そのほうが、話題
性があるために、マスコミが取り上げやすいからです。

しかしその陰には、数え切れない失敗者がいます。成功した人も、
裏切り、バッシングといったことが日常茶飯事です。少なくとも、
人生を仕事に捧げる覚悟がなければつとまらない世界です。本書で
はそのあたりを体感することができます。

著者の過ごした20代は、ほとんどの人の20代とはまったく違うも
のだと思います。そんな、自分とは全く違う半生をのぞき見したい
人にも、自分の起業マインドを煽りたい人にも、お勧めの一冊です。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
〒101-0052
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