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2005/08/05
会社はだれのものか

会社はだれのものか

2005年の3月から4月にかけて、ライブドアとフジテレビによる、
ニッポン放送をめぐる買収合戦があった。
この買収合戦によって、「いったい会社はだれのものなのか」とい
う、会社に関する本質的な問題提起が、多くの人びとが日常的に接
するメディアにおいてもなされるようになった。


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■■       ビジネス選書&サマリー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 41,325部>━
■会社はだれのものか
■岩井克人
■平凡社
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■■ 選書サマリー

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会社はだれのもの?「株主主権論」が「グローバル標準」なの?

【1】

2005年の3月から4月にかけて、ライブドアとフジテレビによる、
ニッポン放送をめぐる買収合戦があった。

この買収合戦によって、「いったい会社はだれのものなのか」とい
う、会社に関する本質的な問題提起が、多くの人びとが日常的に接
するメディアにおいてもなされるようになった。

「会社はだれのものか」という問いに対して答えるためには「会社
とは何か」という、さらに基本的な問いから出発するべきだ。

基本的には、会社とは「法人企業」の別名だ。「会社」とは、単な
る「企業」ではない。「法人企業」、つまり「法人化された企業」
のことだ。

この「法人企業」という言葉のうちの「企業」という言葉は、利益
を求める経済活動という意味だ。一方「法人」とは「本来ヒトでは
ないモノなのに、法律上、ヒトとして扱われているモノ」のことだ。

【2】

法人企業である会社は、法人化されていない、単なる企業とどこが
違うのか?

たとえば、私が八百屋の主人だとする。その私が、お腹がすいたと
き、自分の八百屋の店先にあるリンゴを手にとって食べたとする。
そのとき、私には何のお咎めもない。なぜなら、八百屋という企業
は、すべてその主人のものだからだ。

今度は私が、上場をしている某デパートの株主であったとする。自
分が株式を持っているデパートの中に入り、地下売り場で売ってい
るリンゴをかじったとしたら、どうなるか?

私は窃盗罪で捕まってしまう。それは、会社資産の法律上の所有者
は、株主ではないからだ。その法律上の所有者は、法人、つまり法
律上ヒトとして考えられている会社であるのだ。

【3】

株式市場とは、会社のなかに据えつけられた会社資産とは独立に、
モノとしての会社を売り買いする市場のことだ。これによって、法
人である会社の法律的な構造が明らかになったと思う。

街角の八百屋は、ひじように単純な構造をしている。八百屋の主人
が八百屋の資産であるリンゴやナシや自転車や軽トラックを直接に
所有している。それはいわば平屋建ての建物だ。

これに対して、会社は、2階建ての構造を持っている。まず、2階
部分では、株主が会社をモノとして所有している。具体的には株式
を所有しているわけだ。

そして1階部分では、その株主に所有されている会社が、こんどは
ヒトとして会社資産を所有している。すなわち、会社とは2重の所
有関係の組み合わせによって成立している組織なのだ。

【4】

このように会社の基本的な構造を把握すると、会社という存在に関
する多くの疑問がおのずと明らかになってくるはずだ。

たとえば、一昔前には、アメリカ型の会社がよいのか日本型の会社
がよいのか、あるいは会社は株主のものでしかないという株主主権
論はグローバル標準なのか、株主の役割を軽視する日本型経営は資
本主義ではないのではないのかが、といった大論争があった。

この論争は、会社の基本的な構造さえ理解すれば、何が問題になっ
ているのか、理解できるようになる。

会社の2階の部分のみに注目すると、株主がモノとして会社を所有
しているだけに見える。すなわち、アメリカ型の会社というのは、
この2階部分を強調した会社のあり方であるのだ。

逆に、1階部分に注目すると、会社のヒトとしての役割が際だって
見える。会社の持つヒトの面を強調するのが日本型会社のあり方だ。

会社は株主のものでしかないという株主主権論は、本来2階建ての
構造をしている会社という仕組みの2階の部分しか見ていない、法
律上の誤りなのだ。
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■■選書コメント  
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本書は、2003年2月に発売されたベストセラーで、小林秀雄賞を受
賞した『会社はこれからどうなるのか』(平凡社)の続編です。

多くのビジネスパーソンにとって、会社の本質がなんだろうが、会
社が誰のものだろうが、あまり興味がないかも知れません。そんな
ことは知らなくても、働く上で大した問題にならないからです。

しかし、自分の仕事の舞台が会社である以上、その本質を知ってお
くことは有意義なことです。仕事もぐっと面白くなるはずです。

また、会社に関連する話題は、昨今、特にライブドアの一件から、
すっかりお茶の間レベルの話題になりました。来年には会社法も改
正され、今後も会社がらみの話題はマスコミを賑わせそうです。

こうしたニュースを、雑誌やテレビでリアルタイムに仕入れること
は大切ですが、本当に大事なことは、報道された事実に対する自分
なりの見解を、しっかりと持つことだと思います。

ところが情報源をメディアの報道だけを頼っていると、知識が断片
的、付け焼き刃的になりがちで、自分の見解どころではありません。
そこで一度、関連する書籍を読んでおくことをお勧めします。

とは言え、今さらねじり鉢巻きで専門書を読破する気にはならない
と思います。であれば本書のような書籍を一読するのが良いでしょ
う。

本書は、大学の教授が書いたハードカバーで、200ページというボ
リュームですから、手ごわい印象ですが、中身はすべて語り口調で、
後半はインタビューですから、あっという間に読めるはずです。

経営者はもちろん、会社に勤めるビジネスパーソンで会社の本質に
ついて自分なりの見解を持ちたい人、その他、企業買収、コーポレ
ート・ガバナンスなどに関心のある人にお勧めです。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
〒101-0052
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Tel.(03)6273-7950
Fax.(03)6273-7951

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