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2005/08/12
私の財産告白

私の財産告白

私は慶応2年、埼玉県に生まれた。11歳のときに父を失い、百姓や
米つきをしながら苦学した。
19歳で東京山林学校に入学したが、第一期試験で落第。悲観した私
は古井戸に身を投げ、自殺を図った。だが、結局死にきれず、思い
なおして猛勉強することを自分に課した。
その結果、二学期続けて最優等となり、銀時計を賞与されるまでに
なった。この体験のおかげで「落第するほど愚鈍な生まれつきでも、
努力次第で何事も成し遂げられる」という自信を得るようになった。


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■■       ビジネス選書&サマリー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 41,704部>━
■私の財産告白
■本多 静六 (著)
■実業之日本社
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■■ 選書サマリー

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時代や世代を超えて脚光を浴びつつある古典的名著が、オリジナル
の形で復刊。

【1】

私は慶応2年、埼玉県に生まれた。11歳のときに父を失い、百姓や
米つきをしながら苦学した。

19歳で東京山林学校に入学したが、第一期試験で落第。悲観した私
は古井戸に身を投げ、自殺を図った。だが、結局死にきれず、思い
なおして猛勉強することを自分に課した。

その結果、二学期続けて最優等となり、銀時計を賞与されるまでに
なった。この体験のおかげで「落第するほど愚鈍な生まれつきでも、
努力次第で何事も成し遂げられる」という自信を得るようになった。

働学併進が趣味となった私は、進んで極端な耐乏苦学を行った。そ
の甲斐あって、25歳で日本とドイツ両方の大学を卒業。東京帝大の
助教授になる。

助教授になったとき、以下のような人生計画を打ち立てた。
 40歳まで・・・勤倹貯蓄。生活安定の基礎を築く 
 60歳まで・・・専心究学 
 70歳まで・・・お礼奉公 
 70歳から・・・山紫水明の温泉郷で晴耕雨読の楽居 

【2】

私の貯金の利息は、40歳で俸給以上の額となった。そこで、次に万
巻の書を読み、万里の道をいくという宿願を実行した。洋行19回、
足跡を6大陸に残し、370冊以上の著書を公にした。

東京府市、内務、文部、農林、鉄道などの嘱託顧問のほか、日比谷
公園、明治神宮などの設計改良を担当。関東大震災後は、復興院参
与など数々の会の会長、副会長も兼ねた。

渋沢栄一氏など実業家の顧問としても、秩父セメントをはじめ、多
くの開拓植林事業、各地水力発電所の風景破壊問題を解決した。

定年後は、財産のほとんどすべてを社会事業に喜捨した。「人並み
はずれた大財産や名誉はかえって有害無益だ」と悟ったからだ。土
地、家屋、株券で100万円ほど残し、読書三昧の生活を続けた。

【3】

このように私が財を成し、人生の目的を果たすことができたのは、
ドイツ留学での恩師・ブレンタノ博士からこんな忠告を得たからだ。

「おまえはよく勉強するが、貧乏生活を続けてはならない。でなけ
れば、金のために心にもない屈従を強いられるようになる。そうな
れば学者の権威も何もあったものではない」

「財産を作りなさい。それには勤倹貯蓄するしかない。貯金がある
程度の額になったら、幹線鉄道、土地、山林など有利な事業に投資
しなさい」

これを聞いた私は、帰国後、さっそく月給4分の1の天引き貯金を
始めた。

これこそが「本多式貯金法」と呼ぶべきものだ。詳述すると「あら
ゆる通常収入は入ったときに天引き、4分の1を貯金してしまう。
さらに臨時収入は全部貯金してしまう」というものだ。

【4】

次年度に入った貯金利子は通常収入とし、4分の1を残す。苦しい
上にもさらに苦しい方法を求めたのだから、初めの頃はお話になら
ぬ苦しさだった。月末になると、おかずはごま塩のみという生活が
続く。子どもは泣き顔をするし、私も辛かった。

だが、貧乏は人生の意義や事物の価値認識を深めてくれた。堅実に
生活の向上をめざす努力と幸福とをもたらしてくれる。また、見栄
を捨てさえすれば、倹約はできるもの。自分の値打ちが銅でしかな
いのに、金メッキを塗って見せびらかそうと思わなければよいのだ。

こうして、金を貯めた私は日本鉄道株や秩父の山林を買った。株は
払い込みの2倍半で、政府買い上げとなった。貯金の一部が早くも
一財産となった。

さらにその後、日露戦争後の好景気時代がやってきた。おかげで私
は木材の思わぬ値上がりにより、買値の70倍の金額を手にすること
ができた。素寒貧が一躍、成金になったというわけだ。それもこれ
も、ほかならぬ「天引き4分の1貯金」の成果というしかない。

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■■選書コメント  
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本書は、東大教授でありながら独自の蓄財法と人生哲学で巨額の財
産を築き、しかも引退後はその大半を匿名で寄付した本多静六氏
(1866-1952)が、その成功の秘訣を告白したものです。

もともと、55年前に刊行された本ですが、先ごろ復刊されました。
さすがに当時のやり方を、現代でそのままは真似できませんが「4
分の1天引貯金」や「物と金の適時交替」など、蓄財の基本的な考
え方は、今でも十分に生きるものです。

他に、同著者による『私の生活流儀』『人生計画の立て方』がすで
に復刊されており、あわせて三部作になっています。本書はその第
一弾ですが、残りの本もぜひお読みになることをお勧めします。

ところで、『財産告白』というタイトルから、本書は蓄財法に特化
した本と誤解されそうです。しかし、読み進めると仕事観、幸福感
までを説いた、人生全般にまつわる本だということがわかります。

昨今、お金儲け関連の本が次々と刊行されますが、お金儲けの目的
にまで踏み込んだ本は多くありません。事実こうした本の愛読者に
「なぜお金を儲けたいのか」尋ねても明快な答えは返ってきません。

中には、平然と「働きたくないから」「楽したいから」という人も
います。しかし、そう答える人が、お金を手にする日は来ないと思
いますし、仮に手にしたとしても豊かにはなれないと思います。

「なぜお金を儲けるか?」本書には、その答えが書いてあります。
「本当にやりたい仕事に没頭するために」というのが本書の答えで
す。私もこれには100%共感できました。

このように、お金儲けの原理原則を知りたい人はもちろん、好きな
仕事を見つけ、とことん打ち込みたいと考えている人にも、3部ま
とめてお勧めします。
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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
〒101-0052
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