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2006/09/15
下流社会マーケティング

下流社会マーケティング

「中流」の社会が崩れ、若い世代を中心に「下流」が増えている。
2004年に私たちがおこなった「昭和4世代欲求比較調査」では、「上」
「中の上」「中の中」「中の下」「下」の5段階で、自分の生活水準
をランク付けしてもらった。
その結果、1971年?1975年生まれの団塊ジュニア世代男性のうち、
48%もの人が「中の下」または「下」と回答した。これらの人々を
下流と考えると、じつに半分近くが下流に該当することになる。


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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数51,433部>━
■今週の選書
■下流社会マーケティング
■三浦展 /日本実業出版社
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『下流社会』の著者による階層化時代のマーケティング

【1】

「中流」の社会が崩れ、若い世代を中心に「下流」が増えている。
2004年に私たちがおこなった「昭和4世代欲求比較調査」では、「上」
「中の上」「中の中」「中の下」「下」の5段階で、自分の生活水準
をランク付けしてもらった。

その結果、1971年?1975年生まれの団塊ジュニア世代男性のうち、
48%もの人が「中の下」または「下」と回答した。これらの人々を
下流と考えると、じつに半分近くが下流に該当することになる。

内閣府の調査や電通総研、日経新聞の調査を見ても、同じ結果が現
れている。しかも、時系列データでは、これらの数は確実に増えて
いる。

ちなみに、私が使った「下流」と言う言葉は、単に所得が低い人を
指すのではない。コミュニケーション能力や生活する能力が低く、
働く意欲、学習意欲、消費意欲も低い人々をこう呼ぶ。総じて、人
生への意欲が低い人たちのことだ。

【2】

今、日本では、人口が減少し、少子高齢化が進んでいる。つまり、
モノを買ってくれる人の数が減るだけでなく、お金に余裕がない人
の割合も増えている。

こうした厳しい状況の中で、企業が勝ち残っていくためには、新し
い「マーケティング力」を鍛えなおす必要がある。

そもそも中流が日本で増えたのは、国が「55年体制」を敷いたから
だ。1955年といえば、高度経済成長が始まった年だ。日本のGNP
が第二次世界大戦が始まった1941年当時の水準に戻り「もはや戦後
ではない」という経済白書の言葉が有名になった。

当時、国が目指したのは、単なる国富の拡大ではなかった。その富
を国民にあまねく平等に分配しようとしたのだ。同じ現象がアメリ
カでは1940年?1950年代に実現している。

どちらの国も、大量生産、大量消費の力で、ブルーカラーでも家と
車が買える時代を作っていった。

【3】

今の日本では、「55年体制」が崩壊し、かわりに「2005年体制」が
始まった。中流化のトレンドは終わり、階層化という新しいトレン
ドが始まりつつあるのだ。

ベビーブームも世帯数の増加もない。夫婦二人に子ども二人という
「標準家庭」も減る。これはどういうことかといえば、消費力の大
きい世帯が減るということだ。

1955年当時の標準家庭は、電化製品も車も家も持っていなかった。
しかし、彼らはその後、生活に必要なあらゆるものを次々に購入し
ていった。これに続く団塊世代も、80年代以降の消費を支えた。

ところが、その子どもである団塊ジュニア世代は新婚当初から、必
要なものを持っている。買い替え需要はあまりない。したがって、
今後は高度経済成長期以降、ずっと続いてきた標準世帯をターゲッ
トとするマーケティングは通用しないのだ。

【4】

では、ファミリー世帯減少時代には、どんな戦略をとるべきなのか?
答えはズバリ「シングル」を狙うことだ。かつてテレビや電話、車
は一家に一台あるものだった。

だが、今後は家電も車も外食も「ひとり消費」を想定すべきだ。ま
た、中流ではなく「上」を狙うべきだ。売上を伸ばしたければ、上
流に高額商品を売ることを考えるのだ。

もちろん、実際には中流も対象にしなければ、売上確保は難しい。
だが、贅沢を好まない昭和ヒトケタ世代と違い、今の時代の人々は
中流も下流も、上流が買う高級品を欲しがるようになった。

たとえば、高級腕時計のロレックスやオメガは下流の人々も持って
いる。興味深いことに、この現象は下流向けにモノを売った場合も
同じことが言える。

たとえば、100円ショップやユニクロは下流向けだが、中流も上流も
利用する。日本企業は中流に向けてモノを売るのがうまいとされて
きたが、これからは「上、または下を狙って、中も取り込む」こと
だ。これが、格差社会の新しいマーケティング戦略なのだ。

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■■選書コメント  
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本書は、あのベストセラー、『下流社会』の著者、マーケティング・
アナリストの三浦展氏が、階層化時代にあって、企業はどのような
マーケティングを展開したらよいのかについて、解説した本です。

前作は、どちらかというと、現代社会を分析した社会論でしたが、
本作では対処法まで提示していて、いわば『下流社会』の実践編と
位置づけていいと思います。

現代は、階層化が進み、従来「標準」とされたファミリー層は減少、
かつ高齢化しつつあります。こうした難しい時代にあっても、企業
は、売上と利益を確保しなければなりません。

そのためには、一体どうしたらよいのか、本書には、その答えが示
してあります。

『下流社会』で、物を売るにはどうすればいいのかを考えるのが本
書ですが、「上流・下流」といった階層だけなく、団塊世代、新人
類世代、団塊ジュニア世代など、世代ごとのマーケティングについ
ても、きちんと解説してくれています。

具体的な事例も複数掲載されていますし、アンケート結果や人口な
どの統計データは、著者が実際に講演などで使っているものだそう
で、比較的新しいものが豊富に載っています。

というわけで、マーケティングのコンパクトな入門書になっていま
す。もちろん、大学のマーケティングの教科書のように堅苦しいも
のでなく、誰もが読み物としてスラスラ読める内容です。

マーケティング関連の仕事をしている方や、これから目指したい方、
まずは身近なところから、気軽にマーケティングを学びたいと考え
ている方にお勧めしたい一冊です。

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発行元:藤井事務所 責任者:藤井孝一 
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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
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