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2006/10/20
若者はなぜ3年で辞めるのか?年功序列が奪う日本の未来

若者はなぜ3年で辞めるのか?年功序列が奪う日本の未来

「マイホームのローン支払いがきつい。海外旅行や新車は、40歳を
過ぎて給料が上がるまでおあずけだ」同窓会で、大手企業に勤める
友人がそう言っていた。
この考えは、毎年給料が上がっていくことを前提にしている。だが、
彼の会社ほか多くの会社が定期昇給を廃止、30代後半で基本給は頭
打ちになる。管理職ポストにつくしか、年収アップは望めないのだ。


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上司を食わせるためにクタクタに働いても、一生下働きかも・・・

【1】

「マイホームのローン支払いがきつい。海外旅行や新車は、40歳を
過ぎて給料が上がるまでおあずけだ」同窓会で、大手企業に勤める
友人がそう言っていた。

この考えは、毎年給料が上がっていくことを前提にしている。だが、
彼の会社ほか多くの会社が定期昇給を廃止、30代後半で基本給は頭
打ちになる。管理職ポストにつくしか、年収アップは望めないのだ。

「年功序列は終わった」と言われて久しいのに、依然としてかなり
の人が、自分たちの周囲にはそれが存在していると思い込んでいる。
30代以上の社会人なら、単に昔の気分が抜けていないだけともとれ
るが、同じ思い込みが学生の間にも見られる。

彼らと話すと「○○の会社は30歳でいくら貰えますか?40歳なら、
いくらですか?」というような質問がよく出てくる。しかし、今や、
給与が年次で横並びで決まる時代ではないので、こちらとしては、
この質問には答えようがないのだ。

【2】

ネット上では、就職をひかえた学生たちが、そういった"格"の議
論に、むしろわれわれの学生時代以上に熱中している。彼らを見て
いると、まるでターミナル駅に集まった乗客のようだ。

彼らは「この列車はずいぶんきれいで席も広い」「いやいや、あっ
ちのほうが見栄えがいい」と値踏みしている。勝ち負けの差がより
鮮明な格差社会の到来で、学生も自分が入社する企業のグレードに
敏感になっているのだ。

だが、肝心のレールについての議論はすっぽり抜けている。まるで、
一等席に座りさえすれば、終点まで運んでもらえるのが当然だと言
わんばかりだ。

実際には、どんなに見てくれのいい列車に乗っても、少し走っただ
けで放り出されるかもしれない。ところが「しっかりした企業に入
れば、必ずゴールにたどり着ける」と誤解して、入社する企業の格
を重要視しているのだ。

反面、企業の核などよりも、もっと大切な「自分は何をしたいのか」
「目指すゴールは何か」という議論をする人は、あまりいない。

【3】

どうやらわれわれ日本人は、無意識のうちに固定観念を植えつけら
れてしまったようだ。その正体が何か、突き詰めると思った以上に
根が深い。

皆に「その固定観念を捨てろ」とは言わないが、少なくとも未来あ
る若者は、一度その正体を自分の目で見きわめるべきだ。なぜなら、
往々にして固定観念は、各自の置かれた現状との間に埋めきれない
ギャップを生むからだ。

もし、自分の信じる価値観が、実は、とうの昔に崩壊していたとし
たら、自分の人生そのものが、価値のない虚しいもので終わってし
まう。自分の夢を実現するはずが、誰かに奉仕するだけの人生で終
わってしまうかもしれないのだ。

多くの若者は、この「固定観念と現実とのギャップ」の存在にうす
うす気づいている。彼らと話すと、たとえどんなに優良企業で働い
ている人も、必ず現状に対する閉塞感を口にする。

【4】

若者がよく口にする「仕事に興味がわかない」「将来のキャリアビ
ジョンがまったく見えない」「将来出世する確証が得られない限り、
子どもが作れない」など、いずれも一種の閉塞感を現している。

上昇し続ける新卒離職率、ニートやフリーターの急増、一向に改善
しない年金未納率などは、いずれも若者の閉塞感が具体化したもの
だ。望むと望まないとにかかわらず、時代は流れ、ギャップは日増
しに大きくなっている。

この問題を個人で解決するのは難しいが、閉塞感の正体は認識して
おくべきだ。そうすることで、少なくとも自分が人生地図のなかで
どの位置にいるのかが、おぼろげながら理解できるはずだ。

そうすれば「次にどこに向かうべきか」について、方向だけでも見
えてくるに違いない。

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■■選書コメント  
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本書は、『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』(光文社ペーパ
ーバックス) で成果主義の弊害を指摘、大ベストセラーになった著
者による新刊です。

今回は、若者の雇用問題に焦点をあて、そこから日本の産業界や、
社会にはびこる問題に切り込んでいきます。

若いサラリーマンは、かつて無いほど閉塞感に見舞われています。
新卒者は3年で3割辞め、30代社員は、その多くが心の病を抱える
そうです。

上場企業の9割の会社で成果主義が取り入れられ、年功序列は崩壊
したと言われていますから「やる気と才能さえあれば、若くても活
躍できる時代になった」と考えてしまいがちです。

しかし、状況はむしろ逆で、残業・休日出勤しても報われず、一生
下働きで、将来も給料も上がらない可能性すらあるのが実態です。
その問題の核心に、若者の視点から切り込むのが本書です。

世間では、格差が問題視されていますが、多くが世代を十把一絡げ
にした議論です。たとえば、富裕層と生活補助を受ける層の割合が
それぞれ増えたことを取り上げ「格差が進んだ」と騒ぎます。

しかし、問題は世代間の格差に潜んでいます。年功序列に守られ、
最後は退職金をもらい、一生年金を受給する世代と、将来の出世・
昇給の見込みもないまま下積みをさせられる世代との格差です。

前者が「ヨコの格差」なら、後者はいわば「タテの格差」です。本
書は、この「タテの格差」の正体を見事に暴きます。

若いという理由で、つまらない仕事を低賃金でやらされていると嘆
く若者、将来に漠然とした不安を抱く中堅社員、若者がすぐに辞め
てしまうと悩む管理職や人事担当者にも一読いただきたい一冊です。

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発行元:藤井事務所 責任者:藤井孝一 
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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
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