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2007/03/09
あなたのTシャツはどこから来たのか?

あなたのTシャツはどこから来たのか?

本書は、フロリダで買った1枚5ドル99セントのTシャツの一生を
さかのぼり、綿の生産現場から繊維工場、小売店、古着の流通など
を追って世界を旅する中で、グローバル化の問題を考察する本です。

著者は、ジョージタウン大学の国際経済学者ピエトラ・リボリ教授
です。彼女は、自分のTシャツの生い立ちを追い、自らテキサスの
綿農園から中国、最後はアフリカ大陸へと移動し、Tシャツという
素朴な商品から政治と経済の実態と、その歴史に迫ります。

たとえば、原料である綿の生産地が、米テキサス州産であることを
知り、綿作りのように単純な川上産業が、米国経済で繁栄できてい
ることから、米政府の補助金制度の影響力を突き止めます。

また、製造過程を担う中国・上海に出かけ、中国が世界の繊維・衣
料品産業に君臨できている理由が、戸籍制度の下で従順な労働者を
供給している事実に到達します。

このように、Tシャツの「一生」を追いかける旅から、政治による
保護や介入の事実を明らかにし、グローバル化を引き起こしている
のは、政治や歴史であるという結論に至ります。

先入観や常識に捕らわれず、机上の空論に終わらずに、学者自らが
たった一枚のTシャツのふるさとを訪ねて世界を旅し、新事実を突
き止めることで、本来は退屈な論文になりそうなテーマを、迫真の
経済ドキュメンタリーに仕上げています。


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■■       ビジネス選書&サマリー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数52,095部>━
■今週の選書
■あなたのTシャツはどこから来たのか?
■ピエトラ・リボリ、雨宮寛+今井章子(訳)/東洋経済新報社
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★本書の詳細、お買い求めは、→ http://tinyurl.com/3dyojc
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■■選書サマリー  
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Tシャツの一生から、グローバル問題の本質を暴きます!

【1】

1999年、ジョージタウン大学で、学生たちは大学のTシャツやその
他のライセンス商品が労働搾取によって作られているとして、大学
とアパレル納入業者に、この問題に真剣に取り組むよう求めていた。

ある1人の若い女性が群衆に向かって問いかけた。「あなたのTシ
ャツは誰が作ったものですか。食べ物も飲み物も与えられずにミシ
ンにつながれたベトナムの子供でしょうか」

「時給18セントで、1日2度しかトイレに行かせてもらえないイン
ドの若い女性でしょうか。彼女は貧乏なだけでなく、不潔で病気が
蔓延する環境で暮らしているのです。ナイキの利益のために」

私は、こうした事実を知らなかった。それを確かめてみようと、数
年間、調査のために世界中を旅して回ることにした。その結果、自
分のTシャツが誰の手で作られたのかを突き止めた。

そればかりか、Tシャツの一生をさかのぼって3つの大陸を股にか
けた何千キロにも及ぶ旅を続けたことで、政治と市場経済、グロー
バル化の新しい潮流を目の当たりにすることになったのだ。

【2】

最初は、原料である綿の生産現場を訪ねた。何と、綿は米テキサス
州で生産されていた。テキサス州は、世界のTシャツの生まれ故郷
なのだ。綿作りのように単純な川上産業が、米国で繁栄できるのは、
綿の生産・販売に対する米政府の手厚い補助金制度があるからだ。

そこで生産された綿は、中国・上海に運ばれ、糸に紡がれ、布に織
られ、Tシャツに縫い上げられる。ここでは、労働者の移動を制限
する戸籍制度の下、従順な労働者が尽きることなく供給されていた。

豊富な労働力と低い人件費によって、中国は世界の繊維・衣料品産
業として君臨している。

18世紀に産業が興って以来、繊維・衣料品生産は、こうした低賃金、
長時間労働、粗末な労働環境に耐えて働く労働者が担ってきた。
その役割を果たしているのが、中国というわけだ。

【3】

かつての女工同様、現代中国の繊維労働者もまた、搾取工場で低賃
金、長時間労働、粗末な作業環境に耐えている。

ただ、ここで注意しなければならないことがある。それは、彼女た
ちの作業環境も、そこで加えられる拘束も「農村での暮らしよりは
ずっとましだということだ。

これは大海と世紀を超えた共有してきたものだ。彼女たちは、確か
に、ひどい境遇に置かれている。だがそれをきっかけに、農村から
解放され、経済的な自由と自立を手に入れているのも事実なのだ。

昔から、貿易とグローバル化をめぐる論争は「世界市場は美徳か害
毒か」という二極論で語られている。だが、今回わかったことは、
みんなが市場原理を過大評価しすぎているということだ。

Tシャツの運命を左右していたのは、市場経済だけではなかった。
むしろ、政治であり歴史であり、企業の創意工夫だった。

私のTシャツの一生を追う旅は、豊かさをもたらすグローバル化の
可能性を示す一方で、経済発展を容赦なく破滅させてしまう各国の
権力不均衡や、不健全な政治経済も描き出しているのだ。

自分のTシャツの一生を調査したことは、図らずも現代社会におけ
る最も重要な経済事象を明らかにすることになったのだ。

【4】

同時多発テロ後、一般市民の知らないところで、Tシャツ販売と軍
事支援をセットにした奇妙な交渉がプッシュ政権とパキスタンとの
間で行われた。これは米国の繊維産業が強い権力を持つことの証だ。

一方、中国は世界第2位の経済大国として表舞台に躍り出た。おか
げで米国中の企業が中国の脅威に対処しなければならなくなってい
る。政治家も皆「中国問題」についての立場を説明しようと必死だ。

ただ、グローバル化反対の運動が「底辺への競争」のあり方を変え、
世界有数の大企業のビジネス手法も大きく変えてきたことも事実だ。
彼らのおかげで、今作られているTシャツの一生は、数年前に作ら
れたTシャツの一生よりも、ずっと良くなっているのだ。

★本書の詳細、お買い求めは、→ http://tinyurl.com/3dyojc

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■■選書コメント  
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本書は、フロリダで買った1枚5ドル99セントのTシャツの一生を
さかのぼり、綿の生産現場から繊維工場、小売店、古着の流通など
を追って世界を旅する中で、グローバル化の問題を考察する本です。

著者は、ジョージタウン大学の国際経済学者ピエトラ・リボリ教授
です。彼女は、自分のTシャツの生い立ちを追い、自らテキサスの
綿農園から中国、最後はアフリカ大陸へと移動し、Tシャツという
素朴な商品から政治と経済の実態と、その歴史に迫ります。

たとえば、原料である綿の生産地が、米テキサス州産であることを
知り、綿作りのように単純な川上産業が、米国経済で繁栄できてい
ることから、米政府の補助金制度の影響力を突き止めます。

また、製造過程を担う中国・上海に出かけ、中国が世界の繊維・衣
料品産業に君臨できている理由が、戸籍制度の下で従順な労働者を
供給している事実に到達します。

このように、Tシャツの「一生」を追いかける旅から、政治による
保護や介入の事実を明らかにし、グローバル化を引き起こしている
のは、政治や歴史であるという結論に至ります。

先入観や常識に捕らわれず、机上の空論に終わらずに、学者自らが
たった一枚のTシャツのふるさとを訪ねて世界を旅し、新事実を突
き止めることで、本来は退屈な論文になりそうなテーマを、迫真の
経済ドキュメンタリーに仕上げています。

そのため、本書はマスコミや学会など、各界から賞賛され、数々の
賞を受賞するとともに、世界11ヶ国語に翻訳されました。

グローバル化の問題に関心のある方、国際関連のビジネスに従事す
るビジネスパーソンはもちろん、教養を高める意味で、すべてビジ
ネスパーソンにお勧めします。

★本書の詳細、お買い求めは、→ http://tinyurl.com/3dyojc

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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