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2008/06/13
１の力を10倍にする アライアンス仕事術

アライアンスで仕事も人生も劇的に変わる。「アライアンス」とは、同盟とか連合を表す言葉だ。違う立場の人や団体がグループを組んで協力し合うことから、ビジネスではよく「企業同士の提携やＭ＆Ａ」といったニュアンスで使われている。では、個人が同盟や連合を組むにはどうしたらいいのか。たとえば、あなたの会社がエコに無関心な会社だとしても、社内の、エコに関心の高い人を集めれば、同盟関係が作れる。

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■１の力を10倍にする アライアンス仕事術
■平野敦士カール／ゴマブックス
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アライアンスで仕事も人生も劇的に変わる

【１】

「アライアンス」とは、同盟とか連合を表す言葉だ。違う立場の人
や団体がグループを組んで協力し合うことから、ビジネスではよく
「企業同士の提携やＭ＆Ａ」といったニュアンスで使われている。

では、個人が同盟や連合を組むにはどうしたらいいのか。たとえば、
あなたの会社がエコに無関心な会社だとしても、社内の、エコに関
心の高い人を集めれば、同盟関係が作れる。

そうやって、多くの人数を巻き込んで、会社のトップ層に「収益だ
けでなく、社会的に尊敬される会社になるべきだ」と申し立てれば、
一人でわめくより、大きな発言力を持つことができるはずだ。

このように、アライアンスとは「一人では不可能なこと」を「他人
を巻き込んで実現すること」だ。

同盟関係を結んだ相手と、互いに「ＷＩＮ-ＷＩＮ」の関係を発展さ
せながら、関わるすべての人を成長させていくこと、それが「アラ
イアンス仕事術」の本質なのだ。

【２】

アライアンス仕事術なら、わずかな能力しか持っていない人でも、
大きな成功を手にすることが可能になる。

私自身「おサイフケータイ」で成功できたのは、アライアンスの力
を最大限に使ったからだ。このアイデアは、もともとＮＴＴドコモ
に入社して以来、ずっとやりたいと思っていたものだ。

しかし、社内で提案しても「実現不可能だ」という声が多く、なか
なかうまくいかなかった。いかんせん大きな組織だし、通信会社の
出身者ばかりで、金融のことには興味がなかったのだ。

そこで、知人のアナリストやボストンコンサルティングのコンサル
タントたちに声をかけた。すると、すぐにアイデアに賛同してもら
えた。おかげで社内でも前向きな検討が行われることになった。

しかし、数人の同盟者を担ぎ出すだけでは、実現は望めない。もっ
と多くの人を巻き込み、大きなアライアンスを作っていくことが必
要だと考えた。

そこで、今度はおサイフケータイが活用できる場所を開拓するため、
コンビニなどを運営する企業とのアライアンスに着手した。Edyの
運営会社ビットワレットと協力し、一社一社、小売業者を訪問した。

【３】

当初、私は小売店に置かれたクレジットカード端末をおサイフケー
タイ対応機種に変えれば普及すると考えていた。ところが、誤算だ
った。カード会社から、ことごとく断られたのだ。

我々は途方に暮れた。そこで、担ぎ出したのが前職の興銀で後輩だ
った楽天の三木谷社長や、三井住友銀行の西川善文頭取（当時）だ。
やがて、プロジェクトは大勢の力で本格的な始動を始めた。

一人の弱い力で実現できないことも、同じ方向性を向いている人を
巻き込めばできる。アライアンスが大きくなるほど、業界に精通し
た人たちが加わり、よりすぐれたプロジェクトへと進化する。

必要なことは「私はこれがしたい」「私にはこれができる」という
ことを積極的にアピールすることだ。すると、ちょっとした思い付
きが何百億円もの利益を上げる強大なプロジェクトになりえるのだ。

【４】

もうひとつ大事なのは「プラットフォーム型」のビジネスモデルを
作ることだ。たとえば、大きなネットショップの枠を作る。郊外に
大きなショッピングセンターを作り、テナントを呼ぶなどだ。

場を提供し、基本的にはユーザーや顧客のためのアイデアを、自然
発展に任せるのだ。それは、競争原理によって広がるものではなく、
もっとワクワク、育っていく性質のものだ。

こうしたアライアンスを広げていく中で、主役は常に自分自身だ。
そのことを忘れてはならない。

アライアンス仕事術を実践すれば、成長し、刺激を受け、より面白
いビジョンが描けるようになるはずだ。そして、今の自分が想像も
できないような形の成功を手にできるようになるはずだ。

まず、自分の意識を変えるとだ。そして、勇気を持って行動するこ
とだ。これがアライアンスの第一歩につながるのだ。

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■■選書コメント　　
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本書は、ドコモの「iモード」の立ち上から「おサイフケーターイ」
の開発・普及、ヒットを実現させ「ミスターおサイフケータイ」の
異名をとる著者が、経験を元に仕事術を語る本です。

社内・外の人間、情報やノウハウ、会社を組み合わせ、何倍もの利
益や価値を生み出す仕事術を「アライアンス仕事術」と名付け、そ
の極意を紹介します。

著者は、周囲の力を組み合わせることで「ＷＩＮ―ＷＩＮ」の関係
を実現するだけでなく、１＋１が、３にも、４にも、10にも100に
もなると言います。具体的にどうするのかを詳細に語ります。

どんなに優秀な人でも、一人の人間にできることなど、たかが知れ
ています。まして、相手が巨大な企業であれば、互角に戦おうとし
ても、とても勝ち目はありません。

まずは、その事実を受け入れ、肩の力を抜くところから始めます。
そして、孤軍奮闘するのをやめ、積極的に助けを求めます。そのほ
うが、自分も周りもハッピーになれると著者は言います。

実際、著者はアライアンス仕事術で、世界初の事業を成し遂げ、さ
らにはベンチャー投資で、わずか4年の間に100億円以上の利益を
あげました。結果的に年収も新人時代の10倍以上になったそうです。

本書は、そんな著者の実体験に基づき、アライアンスの大切さを説
き、その極意を解説します。一般に、その手の本は著者の武勇伝に
終始しがちですが、本書は再現性あるノウハウに高められています。

何か大きな仕事を成し遂げたいと考える方、成功の喜びをみんなで
分かち合いたいと考える方、成功する仕事の進め方を学びたい方な
ど、ビジネスパーソン全般に強くお勧めします。

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