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2008/11/14
クレイジーパワー 社会起業家――新たな市場を切り拓く人々
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クレイジーな力が社会を変える！「常識のある人は、自分を世間に合わせようとする。非常識な人は、世間を自分に合わせようとする。ゆえに非常識な人がいなければ、この世に進歩はありえない」
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■■ ビジネス選書＆サマリー
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━＜読者数65,730部＞━
■今週の選書
■クレイジーパワー 社会起業家――新たな市場を切り拓く人々
■ジョン・エルキントン／英治出版
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■■選書サマリー
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クレイジーな力が社会を変える！
【１】
「常識のある人は、自分を世間に合わせようとする。非常識な人は、
世間を自分に合わせようとする。ゆえに非常識な人がいなければ、
この世に進歩はありえない」
これは劇作家のジョージ・バーナード・ショーの言葉だ。この言葉
に従えば、本書に登場する社会・環境起業家は「非常識」な人間ば
かりだ。
貧しい人々に小額無担保融資を行うバングラデシュの銀行「グラミ
ン銀行」の創設者で、低所得者向け小規模金融システムのマイクロ
ファイナンスの第一人者が、ムハマド・ユヌスだ。
彼は、2006年にノーベル平和賞受賞たが、数年前、自分を含めた社
会起業家のことを「70％クレイジー」だと言った。実際、他の起業
家の多くも、友人や家族にさえ「クレイジー」呼ばわりされている。
クレイジーとは有能の裏返しだ。彼らは、解決困難なソリューショ
ンを模索し、見つけてくる。普通の人ならリスクの大きさに怖気づ
く状況の中で、将来の市場を発掘、開拓していくのだ。
【２】
今、世界は数々の歴史的な問題に直面している。表面化した対立や
テロ攻撃、貧困と飢餓。最も深刻な問題は気候変動だ。これらの問
題も、適切な方法で立ち向かえば、解決策が見つかるはずだ。
この解決策から、計りしれない規模の市場機会が創造されるはずだ。
つまり、私たちの未来は、社会起業家の掲げる非常識なアイデアや
ビジネスモデルが世に広まるか否かにかかっているのだ。
世界には40億人の低所得消費者がいる。実に半数以上だ。彼らは、
経済ピラミッドの底辺に生きている。この市場規模は、決して小さ
くない。アジアや中南米、アフリカなど合計約５兆ドルにも達する。
だから今、市場経済型のアプローチを使って「彼らのニーズに適切
に応え、彼らの生産性と所得を向上させ、地上経済に参加する力を
持たせる」方法を探る研究が次々に進められているのだ。
【３】
ビジネス、金融、政治のリーダーたちは、この潮流を、どのように
活かしていけば、価値を創造することができるのだろうか。ここで、
３つの答えが浮かぶ。
第１は、多くの文献が提唱するように、新しいビジネスモデルを実
験することだ。第２は、一流の実業家が昔から言うように「しない」
「できない」ではなく「できる」の精神で臨むことだ。
そして、第３に「できる」「解決方法を見つけてやる」の精神を持
ち、現実的な解決策の開発に力を注いでいる起業家を探し出し、彼
らと協力することだ。
この３番目こそ、今世紀に入って以来、私たち著者２人が実践して
いることだ。我々は、世界の傑出した社会・環境企業家を発掘、研
究し、そのネットワークづくりを進め、彼らを支援しているのだ。
【４】
企業は、影響力のある社会・環境起業家を血眼で探している。理由
は、マーケット情報を得るため、自社の人材の維持・開発に役立て
るため、そして、彼らと協力していることをアピールしたいからだ。
こうした流れに反対する意見もある。社会・環境起業家の多くは、
失敗するからだ。難しいことに挑戦しているのだから、失敗を繰り
返すのは当然だ。
しかし、彼らの活動は、産業、市場、あるいは資本主義構造の進化
において、新たな局面が生まれる予兆だ。イノベーターの経験から
教訓を得る企業は、21世紀のまだ満たされぬ巨大市場に新たなニー
ズを見出すことができるはずだ。
彼らは、今後数十年の間に、大きなチャンスの見込める分野で早期
の市場調査を行っているのだ。従来の市場では、とても対応できな
かったような重大な問題に、今取り組んでいるのだ。
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■■選書コメント
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本書は、最近よく耳にする「社会起業家」について、一冊丸ごと語
りつくした本です。「社会起業家」がどんな人で、彼らのビジネス
がどのようなものか詳しく解説してくれます。
社会起業家とは「ソーシャル・アントレプレナー」の日本語訳です。
わかりやすく言うと「社会の様々な問題を、起業家的な精神で解決
する人」のことです。
もちろん、一般的な起業家も社会の問題を解決しています。違いは、
一般的な起業家が利潤の追求を目的にしているのに対し、社会起業
家は、問題解決そのものを最優先課題にしていることです。
また、起業家的に社会問題の解決に取り組んでさえいれば、組織に
属していても「社会起業家」です。実際、企業や公的機関などの組
織に属している「社会起業家」もたくさんいます。
そんな、新しい起業スタイル「社会起業」について、世界中の実例
やインタビューを紹介しながら、彼らのビジネスモデル、資金調達、
市場、リーダーシップなどを分析、考察するのが本書です。
世界は今、紛争、テロ攻撃、貧困、飢餓、伝染病、気候変動など、
様々な問題を抱えています。それを解決する試みは、あまりにもリ
スクが高く、採算だけでは取り組めません。
それでも、持ち前の起業家精神で問題解決に果敢に取り組む、非常
識な起業家がいます。そんな人たちと、どんな風に付き合えばいい
のか、本書は答えてくれます。
分厚い本ですから読み応えはあります。ただ、事例や対話が豊富で
すから、すらすら読むことができます。
次の時代の起業スタイルを模索したい方、組織に勤めながら、活躍
の場を探している方はもちろん、世界の潮流を知っておきたいと考
えるすべての人にお勧めです。
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