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2011/03/30
「新・ぶら下がり社員」症候群
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若いのに、ぶら下がり
最近「30歳前後の社員の元気がない」「昇進するのを嫌がっている」と悩む企業が増えている。リーマンショックを受け、100年に1度といわれる大不況に突入した頃からだ。能力もあり、もっと輝ける人が「自分には無理」とすべてを諦めている。「人の上に立つ」「仕事にやりがいを求める」「会社を変える」といったことを、はじめから「不可能」と投げ出している...
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■■ ビジネス選書&サマリー
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数56,369部>━
■今週の選書
■「新・ぶら下がり社員」症候群
■吉田実/東洋経済新報社
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■■選書サマリー
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若いのに、ぶら下がり
【1】
最近「30歳前後の社員の元気がない」「昇進するのを嫌がっている」
と悩む企業が増えている。リーマンショックを受け、100年に1度
といわれる大不況に突入した頃からだ。
能力もあり、もっと輝ける人が「自分には無理」とすべてを諦めて
いる。「人の上に立つ」「仕事にやりがいを求める」「会社を変え
る」といったことを、はじめから「不可能」と投げ出している。
そうした、くすぶっている30歳前後の社員を「新・ぶらさがり社員」
と名づける。「ぶら下がり」というと、給料をもらいながら、会社
で新聞を読んでいる、いわゆる「窓際族」が思い浮かぶ。
しかし「新・ぶら下がり社員」は、与えられた仕事は一応こなす。
勤務態度も真面目だ。だから、問題が表には出てこない。だが、放
置すると、静かに企業を蝕み、気づいた時には手遅れになる。
【2】
いつの時代にもぶら下がり社員はいた。会社に来てもまじめに仕事
をせず、ぐうたら過ごし、遊びには熱心で、5時になるとさっさと
遊びに行く『釣りバカ日誌』のハマちゃんのようなタイプだ。
こういうタイプは、定年退職間近の社員で、しかも少数派だった。
しかし、新・ぶら下がり社員は、若くて、おとなしくて、まじめな
ので、上司にとっては扱いやすい。そこが落とし穴だ。
彼らの特徴は、たとえば、仕事は70%主義だ。与えられた仕事はき
ちんとこなすが、人から言われない限り動かない。あくまで受け身
なのだ。
また、現状維持を望み、昇進を目指さない。仕事が増え、責任が重
くなるからだ。今の職場に満足していないが転職はしない。そもそ
も求人が少ないし、仮に転職できても待遇は悪くなるからだ。
さらに、プライベート優先だ。残業や休日出勤は嫌がり、きっぱり
断る。商社に勤務しながら、海外への転勤を断る人もいるという。
仕事に熱意を注がない分、プライベートに入れ込むのだ。
【3】
新・ぶら下がり社員が頑張れないのは「諦め感」に支配されている
からだ。彼らのあきらめとは「自分」「組織」「未来」の三つに対
するあきらめだ。
まず、頑張ったところで高が知れているという行き止まり感だ。自
己評価が低く、やらないことを正当化する言い訳ばかり考える。行
動せず終わり、そんな自分に嫌気がさし、ますます燻っていく。
自分の所属する会社や、部署に対する失望感もある。過去に上司に
問題提起したり働きかけたが、結局、何も変わらなかった。そんな
現状に失望し、希望や期待を失っているのだ。
さらに、未来へのあきらめだ。不況が好転する兆しはないし、少子
高齢化で年金さえ受取れそうにない。かといって、世の中に働きか
けるパワーさえない。ただ、流されるように生きている。
【4】
そんな上昇志向のない新・ぶら下がり社員は、企業の足かせだ。や
る気70%で働く社員ばかりの会社に未来はない。代わりに新入社員
やベテラン社員の負担が増えれば、社内の雰囲気は悪くなる。
また、いずれ「管理職をやる人間がいない」「現場で判断できる人
間がいない」などの弊害が起きてくる。さらに、やる気のなさは、
若い世代、上の世代にまで伝染病のように蔓延してしまう。
何より、ぶら下がる心は、本人を蝕む。30代で心の病になる人が増
えているのがその表れだ。向上心を失った人は、その後の人生にさ
え満足できなくなるはずだ。
だから、いち早く、腫瘍ともいうべき、新・ぶら下がり社員を発見
し、治療をするべきだ。きっと社内に活気が戻り、企業が生き残る
きっかけになるはずだ。
幸い、新・ぶら下がり社員は、くすぶっている自分自身を自覚し、
そんな自分を変えたいと心の底では思っている。まわりがサポート
すれば、勇気が生まれるはずだ。
人のやる気を引き出すことは難しいが、不可能ではない。これがで
きれば、社内に活気が戻り、企業が成長するきっかけになるはずだ。
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■■選書コメント
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本書は、昨今の30歳前後を中心に「仕事は頑張らないが、会社も辞
めない」という人が増えている点を指摘、これが会社にとって、今
後、致命的になることに警鐘を鳴らします。
確かに、最近の社員の多くは「素直でまじめ」「言われたことをそ
つなくこなす」点で、一見、デキる社員風です。ただ「自分が背負
って立つ、動かす」という気概に欠けているかもしれません。
かといって、自分の可能性を切り開くために、新天地を求めて転職、
起業するわけでもありません。可もなく、不可もない仕事を淡々と
こなし「仕事は生活の方便」とばかりに会社に居座り続けます。
そんな、やる気も、向上心もないような人に居座られたら、会社は
たまったものではありません。そんな「ぶら下がり」をよみがえら
せる方法を本書は教えてくれます。
本書では、単なる問題点の指摘でなく、紙面の多くはその改善策に
あてられています。その具体的な改善策の内容は、ミッションの明
確化や自己承認の向上など、極めてまともな正攻法です。
これらは、当たり前といえば当たり前ですが、実行することはなか
なか困難です。それを実践するあの手、この手が、事例を交えてい
ろいろと具体的な紹介されている点が魅力です。
さらに「ぶら下がり社員」を作るNGフレーズと奮い立たせるお勧
めのフレーズが、一章を割いて紹介されています。NGフレーズは、
職場で普通に耳にするものばかりで、ぎくりとするかもしれません。
新・ぶら下がり世代に悩む経営者からマネージャクラスはもちろん、
適齢期の30歳前後、そしてその予備軍である新人や20代社員など、
あらゆる世代のビジネスパーソンにお薦めです。
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