HOME > ビジネス選書&サマリー > 無料版・バックナンバー > AKB48の経済学

ビジネス選書&サマリー

無料版・バックナンバー

解除ご登録

ビジネス選書&サマリーのバックナンバーをご覧いただけます。


f

2010/12/24
AKB48の経済学

AKB48の経済学

AKB48に学ぶビジネスモデル
「AKB48」は、ご存じ秋元康氏がプロデュースした女性アイドルグループだ。2005年に結成され、メンバーの人数は48人、系列グループや研究生も合わせると、100人以上にもなる。年齢は、10代前半から20代前半までとさまざまだ。最大の特徴は、秋葉原に「AKB48劇場」という専用の劇場を持ち、いくつかのチームに分かれて、日替わりで公演を行っていることだ...


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■
■■       ビジネス選書&サマリー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数56,369部>━
■今週の選書
■AKB48の経済学
■田中秀臣/朝日新聞出版
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★本書の詳細、お買い求めは、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4023308722/tachiyomi
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆【弊社広告】大半がリピートされる優良媒体です。
https://www.bbook.jp/advertisement.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■
■■選書サマリー  
■■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

AKB48に学ぶビジネスモデル

【1】

「AKB48」は、ご存じ秋元康氏がプロデュースした女性アイド
ルグループだ。2005年に結成され、メンバーの人数は48人、系列
グループや研究生も合わせると、100人以上にもなる。

年齢は、10代前半から20代前半までとさまざまだ。最大の特徴は、
秋葉原に「AKB48劇場」という専用の劇場を持ち、いくつかの
チームに分かれて、日替わりで公演を行っていることだ。

最初は「秋葉原のアイドルおたくを狙った、ちょっとマニアックな
アイドルグループ」だった。ところが、今では国民的アイドルとま
でいわれるメジャーな存在になった。

そんなAKB48のブレークは、不況時代の若者にターゲットを絞
ったマーケティング戦略の成果だ。つまり、AKB48を知ること
で、デフレ不況下におけるビジネスヒントが発見できるのだ。

【2】

AKB48のようなアイドルの人気に限らず、流行や文化はその国
の世相を映す鏡だ。その国が、その時に置かれた経済状況を確実に
反映している。

アメリカの研究では、不況期には文化消費において人々が内省的に
なることや、大きな不況を若い時期に経験した世代は、他の世代に
比べて経済行動に慎重になることが指摘されている。

今の若い世代は、デフレにより名目所得が減り続ける時代に育った。
そのため、行動が安定志向、内向き傾向になっている。若い世代の
そうしたマインドは、必然的に若者文化にも影響を及ぼしていく。

たとえば、ネットサーフィンのような、お金のかからない趣味に没
頭することも、その表れの一つだ。こうした消費行動を理解するこ
とが、彼らにマッチしたビジネスモデルを生むことにつながるのだ。

若い世代を中心に大ブレークしたAKB48も、そのビジネスモデ
ルを分析し、その成功の背後にあるものを考えることで、日本経済
の現状や処方箋が見えてくるはずだ。

【3】

2000年代以降、音楽の世界の収益モデルには大きな変化があった。
CDやビデオの販売から、コンサートやライブを中心として売り上
げを伸ばすというやり方が主流になったのだ。

理由は、インターネット上への違法アップロードで、CDが売れな
くなったからだ。しかし、コンサートやライブなら、映像とは違う、
生の迫力に、お客様はお金を出してくれる。

そのため、現在、音楽界全体が、ライブやコンサートの入場料を値
上げしている。ところが、AKB48は専用劇場の入場料を、今も
抑えた価格にしている。

理由は、若くて収入の低い"おたく"たちをターゲットにしている
からだ。入場料を上げても、AKB48が国民的人気を保っている
今なら、劇場は満席になるはずだ。

しかし、値上げをしてしまえば、若くて収入の低い"おたく"たち
が去ってしまう。そうなれば、劇場はがら空きになり、AKB48
はやがて解散することになる。低価格戦略はそれを防ぐためなのだ。

人気が上がっても値段を抑え、古くからのファンを大切にする。そ
れにより、コアなファンをつなぎとめ、AKB48という「ビジネ
スモデル」を永続的に続けることを目指す。それが狙いなのだ。

【4】

こうしたAKB48のプロデュースは、一般のアイドルのプロデュ
ース方法とは、方向性が全く異っている。特定のアイドルの人気は、
数年しか続かないのが普通だ。

そのため、そのわずかな間に、売り出しに投じた費用を回収しなけ
ればならない。だから、アイドルには、寝る暇もないぐらい働かせ
て、赤字化しないうちに、タイミングよく引退させてきたのだ。

しかし、AKB48の目指すところは、明らかにそうした「あだ花」
路線とは一線を画している。彼女たちは、わずか数年で終わるので
なく、永続的にアイドルを続けることを目指しているのだ。

★このメルマガをアップ・グレードする・・・
ココ→ http://www.kfujii.com/tcy06.htm

★本書の詳細、お買い求めは、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4023308722/tachiyomi

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■
■■選書コメント
■■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今をときめく、AKB48がテーマです。もちろん、単なる解説本
ではありません。ビジネスモデルとしてのAKB48を分析し、ビ
ジネスのヒントを得るための本です。

著者は、経済学者の田中秀臣氏です。「リフレ派」経済学の論客で
ありながら、サブカルチャーにも造詣が深く、最後の『冬ソナ論』
などの著者があります。

AKB48というと、ユニットで売り出した点で、ひと世代前には
「モーニング娘。」、われわれ世代には「おニャン子クラブ」を彷
彿とさせます。

特に「おニャン子クラブ」は、同じ秋元康氏のプロデュースです。
AKB48も「おニャン子クラブ」の焼き直しと思われているよう
です。しかし、目指すところは大きく違うようです。

本書のように、社会現象を学術的に解明した本は、読み物としても
面白く読むことができます。流行りものを単に消費するだけでもい
いですが、一歩進んで、分析すれば、さらに楽しめます。

社会現象になるくらい流行するものには、必ずわけがあるものです。
そのワケをとことん考えてみたいものです。ただ批判したり、嘆い
たりするだけでは、思考停止と同じで、何も得られません。

何より、そうした社会現象には、仕掛け人がいるものです。その手
の内を予測してみたり、それを検証してみたりすことは、頭を鍛え
る上で大きな効果があります。

本書は、そんな訓練をする上でよい教材です。難解な経済理論はほ
とんど使わず、気軽に読み通せます。AKB48ファンはもちろん、
そういう世界と無縁の人にこそお勧めします。

──────────────────────────────
◎バックナンバー→ https://www.bbook.jp/backnumber
◎ご意見、お問い合わせ、→ info@kfujii.com
◎登録、変更、解除→ https://www.bbook.jp/mag.html 
──────────────────────────────
発行元:(株)アンテレクト 藤井孝一 (C) Copyright 1999-2010
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ツイートする FACEBOOK いいね! このエントリーをはてなブックマークに追加

主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
〒101-0052
東京都千代田区神田小川町3-10 新駿河台ビル4F
Tel.(03)6273-7950
Fax.(03)6273-7951

企業情報はこちら

著者の方へ

広告掲載についてはこちら

TOP