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2002/01/14
キャピタルフライト 円が日本を見棄てる 

キャピタルフライト 円が日本を見棄てる 

果たして低迷する日本に出口はあるのか? やがて日本からのキャピタル・フライト(資本逃避)が堰を切ったように始まる‥。次に来る未曾有の経済危機に警鐘を鳴らす。


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 今週のキャピタルフライト=日本投売りというコワーイお話、いかがでし
 たか?

 著者は、日本という国は、危機が起きるまで何もせず、何か起きたときに
 は大騒ぎする国だと指摘しています。

 確かに米テロ時の対応、狂牛病の対応を見るにつけ「日本に危機に対する
 戦略があるのだろうか」と首を傾げざるを得ない局面は多々あります。

 きっと著者の言うように日本売りが始まっても、国は大した対策が採れな
 いでしょう。結局痛みは国民がすべて負うことになるでしょう。

 また常々「お上が何とかしてくれるだろう」と安心し、自らは何も考えよ
 うとしない、われわれ国民の側にも責任があります。

 同じことが私の本業、コンサルティングの現場でもよく起きます。不況対
 策を声高に叫ぶだけの会社は、長引く不況に耐えかね倒産しました。

 勝ち残ってきた会社は、国家の無策を嘆きつつも自己防衛して来た会社で
 す。ある焼肉屋は、他社が狂牛病の風説被害を嘆く間、自らは焼き鳥屋に
 転身、たくましく勝ち残っています。これはその例です。

 これは個人でも同じです。まずお上意識を捨て、自分の資産をヘッジする
 ことです。また自分の能力を高めフローを増やすことです。国を非難する
 のは、それからでも遅くはありません。

 【1】

 自国経済の実態が通貨価値に見合わなくなり、資本が海外に脱出する。
 それがキャピタルフライト(通貨危機)である。

 これは古今東西、多くの国で幾度も起こってきた珍しくもない現象だ。
 その結果、尋常でない物価高を引き起こし、庶民の生活水準を引下げる。

 財政赤字の膨張が続けば、通貨の堕落=インフレの危険性が高まる。そ
 れがきっかけでキャピタルフライトが始まる可能性は高い。

 他にも、日本国債の格下げ、大銀行の破綻、日本の政治力に対する失望
 感などがキャピタルフライトの引き金になりうる。

 キャピタルフライトがおきれば、国債市場は暴落し、長期金利は跳ね上
 がる。為替レートは1ドル=200円を突破するかもしれない。

 【2】

 景気浮揚のために日銀は十分すぎるお金を供給してきた。しかしこれは
 ほとんど効果がない。それは銀行が仕入れたお金を貸し出さないからだ。

 今の日本経済は、不良債権というゴミの詰まった水道管なのだ。そこに
 どれだけ水(カネ)を流しても、水 は流れてこない。当たり前の話だ。

 本来、不良債権処理は一部の業種の個別の企業の問題だ。しかし現在は中
 小企業を潰すことと同義と考えられている。その結果が先送りだ。

 だが、ゴミを取り除かずに水を流せばどうなるか。水道管が破裂するだろ
 う。そのひとつの形態がキャピタルフライトなのだ。

 【3】

 不良債権に苦しむ銀行を救おうととられてきた低金利政策のおかげで、
 日本の銀行の業務利益は、実はバブル期と大して変わっていない。

 その裏側でしわ寄せを食っているのは、預金者であり、機関投資家だ。
 だが彼らは異常なゼロ金利政策を当たり前のことと考えているようだ。

 一方、銀行は貸出を増やさずに、そのお金で国債を買っている。しかし
 これまでも何度も経験してきたように国債の価格は暴落することがある。

 国債の価格が一割落ちると銀行は8兆円の損失を被る計算だ。しかも現在
 価格は空前の最高値圏にある。いつ何時下落してもおかしくない状況だ。

 【4】

 「日本には1400兆円の個人資産があるから国債はまだ発行できる」という
 人がいる。これは「国民の資産を取り上げれば借金を返せる」といってい
 るのと同じ失礼な話だ。

 この発言が許されるのは、国家は破綻しないと思われているからだ。いざと
 なったらお上が何とかしてくれるという「お上意識」が国民にもあるのだ。

 だが国家が破綻しないというのはウソだ。それはアルゼンチンやトルコを見
 れば明白だ。「日本だけは違う」と思いこみ、みんなが国債を買っている。

 不良債権が片付かないのでデフレになる。それを中和しようと財政・金融政
 策がお金を注ぎ込む。そのお金で国債を買うので辛うじて暴落が起きない。

 このバランスが崩れると国債価格は暴落し、金利が跳ね上がり、円安が進行
 する。そうなれば"悪性インフレ"と"キャピタルフライト"が起こる。

 【5】

 キャピタルフライトが起きれば戦後日本の社会構造が根底から崩れるだ
 ろう。つまり"小数の成功者"と"大勢の犠牲者"に分かれるのだ。

 前者は"資産のリスクをヘッジした人"後者は"高金利と高物価に悩む
 人"だ。現に90年代に経済を回復させたアメリカでも所得格差は格段に
 広がった。

 インフレになれば預貯金は価値を失う。しかし株や外貨で持っていれば
 そのリスクはある程度回避できる。資産のリスクヘッジを検討すべきだ。

 あとは仕事で成功し、キャッシュフロー(所得)を増やすことだ。キャ
 ピタルフライトが起きたとき頼れるのは自分だ。それがリスク極小化の
 唯一の道なのだ。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
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