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2002/03/01
合併人事

合併人事

表立って語られることのない合併に伴う人の動きと、それにまつわる悲喜こもごもを、多数の企業への取材に基づいて描きます。
もし、皆さんが合併に直面しているなら、処方箋になること請け合いです。
でなくとも、世相を読み解く情報源になることは間違いありません。


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■■        ビジネス選書&サマリー
https://www.kfujii.com/TCY02.htm  
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【読者数8389部】━
=今週の選書=
       ■合併人事/三神 万里子、細田 浩之■

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■■          今週のコメント

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 合併が世界的に増えています。

 もともと合併は、経営多角化や、事業分野の強化、市場開拓や国際化を
 目指し、競争力をつけるために行われてきました。

 これにより、技術、人材など希少な資源や資産を最小限の手間で入手し
 たり、海外進出や多角化に備えた顧客基盤、生産手段を一気に整えたり
 することが可能です。

 しかし最近日本で多く行われている合併は、株価対策と競争の新ルール
 に立ち向かうためです。業界再編と経営の効率化を目指しています。

 そのため最近は、合併そのものだけでなく、リストラを伴うものが増え
 ています。

 なおビジネスが人の営みであり、企業が人の集合体である以上、その裏
 でさまざまな駆け引き、根回しが日夜繰り広げられます。

 例えば、合併後の自分のポスト確保、いかに自分たちのトップを新会社
 のトップにし、制度や支店を継続させるか、いかに早く逃げ出すかなどです。

 一見くだらないことのようですが、実はそのあたりが合併後の企業の命運
 を握っていたりするものです。

 しかし、合併自体は秘密裏に進められ、部外者はもちろん当事者にも進捗
 は伏せられます。そのため、こうした駆け引きは混迷を極めます。

 本書は、こうした表立って語られることのない合併に伴う人の動きと、そ
 れにまつわる悲喜こもごもを、多数の企業への取材に基づいて描きます。

 もし、皆さんが合併に直面しているなら、処方箋になること請け合いです。
 でなくとも、世相を読み解く情報源になることは間違いありません。

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■■           今週のサマリー

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 企業合併は、社員にとって人生を左右する一大事なのに、いつも秘密裏
 に行われ、情報が開示されません。

 合併現場を体験した人事コンサルタントと合併企業50社を取材した
 ジャーナリストが合併人事の実態を明らかにします。

 【1】

 ここ五年ほど日本企業の合併が増えているが、そのほとんどが失敗して
 いる。理由は、日本企業が合併に不慣れで、年功序列だからだ。

 実は欧米の企業でもうまくいかないことが多い。理由は、これまで人材
 を適正に評価してから合併することを軽視してきたからだ。

 現在日本で起きている合併の多くは、競合同士の水平合併と、それに伴
 う企業集団内の合併である。

 水平合併では、業務の重複があちこちで起きる。そのため激しいカル
 チャー衝突になる。また重複した部門は人員削減の対象になる。

 【2】

 合併では多くのことが秘密裏に進む。そのため企業内にさまざまな誤解
 や混乱が起きる。当事者はキャリアパスを見失う。

 合併ではコミュニケーションが混乱し、人はアイデンティティーを見失
 う。そうした中、自分を再定義することは非常に難しい。

 合併に乗じて人事制度が変われば、さらに変化は激しくなる。また合併
 企業のどちらの企業の誰を抜擢すべきか?人材の再評価が必要になる。

 しかし合併の際、主たる判断材料となる財務諸表は、人を人件費という
 コストとしてしか見ない。ことに日本企業の人事評価は透明性にかける。

 【3】

 合併の成功は、統合のスピードにかかっている。外資系ははじめにゴー
 ルを決め、それに間に合わせるためにどんどん外注する。

 日本支社の統合など半年程度で終ってしまうこともある。日本企業の約
 3倍のスピードで進むのである。

 ところが日本企業はゴール日をずらしても内部でやろうとする。内部の
 コンセンサスを重視するからである。時には数年を費やし業務統合する。

 だから、マスコミ発表してから交渉が難航して一年後に白紙になるとい
 うことがよくある。

 【4】

 日本企業では、会社側が業績回復に十分な努力したことを証明できるまで
 個人を指名して解雇できない。そのため倒産直前までリストラできない。

 合法的に、迅速にこれを行うには、早期希望退職制度がある。しかしこれ
 は決断の早い人順に適用され、結果、優秀な人に高いお金を払って辞めて
 もらうような制度になる。

 また日本企業は人の雇用と長期育成を重視する。そのため部署がなくて
 も無理やりポストを割り振り、時には無理やり作ってあげたりする。

 一方外資系企業は、ポストありきである。年次に関わらず適任者が選ば
 れる。一見して合理的である。

 しかし、人をコストと見る傾向がより強く、優秀だが年収の高い社員を
 辞めさせルーティンをこなす安い人材を残したりする矛盾が生じる。

 【5】

 企業が合併する際、互いの企業価値を金額という数字に変えるため、何
 でも財務諸表上のカネ、モノ、キャッシュフローで評価してしまう。

 しかし大事なことは、そこに人の価値を加えることである。内部ストレ
 スがたまれば、業績が落ち、軌道修正しようにも動きが鈍る。

 こうして悪循環のスパイラルにはまれば企業価値はどんどん落ちていく。

 合併相手を探している段階、交渉中からこれを行えば、合併の成功率は
 高まる。理想は統合を先導する幹部と役員全員にインタビューすること
 である。

 多くの企業が、合併後に動き出している。しかし今後は、合併スケジュ
 ールの早い段階から人材価値の評価が行われるようになるだろう。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
〒101-0052
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