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2002/03/08
ビジョナリーカンパニー(2)飛躍の法則
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我々が、偉大な人や企業の話に興味を持つのは「自分もそうなりたい」 と考え「何かあやかれるヒントはないか」と思うからでしょう。
しかし、そこには同時に二つの感情が付きまといます。まず「すばらしい」と素直に受け入れる感情、そして「だからどうなんだ」という感情です。
つまり「その人はそうだろうが、自分にはあまり当てはまらない」と思ってしまうのです。
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■■ ビジネス選書&サマリー
https://www.kfujii.com/TCY02.htm
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=今週の選書=
■ビジョナリーカンパニー(2)飛躍の法則/ジェームスCコリンズ■
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■■ 今週のコメント
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我々が、偉大な人や企業の話に興味を持つのは「自分もそうなりたい」
と考え「何かあやかれるヒントはないか」と思うからでしょう。
しかし、そこには同時に二つの感情が付きまといます。まず「すばらし
い」と素直に受け入れる感情、そして「だからどうなんだ」という感情
です。
つまり「その人はそうだろうが、自分にはあまり当てはまらない」と
思ってしまうのです。
我々が本当に知りたいのは「では自分や自分の会社は、どうすればいい
んだ」という問いへの答えです。
しかし、多くの書物は、それに答えてくれません。なぜなら成功とは、
その人や企業にとってあまりにも固有なことの集積だからです。
本書はそれに挑戦しています。ごく普通の企業から偉大な企業に飛躍し
た企業が飛躍できた理由は何かを徹底的に調べ法則化するのです。
ここでいう偉大な企業とは、株式運用益が15年間市場平均以下なのに、
あるとき好転しそのまま15年間平均の3倍以上を維持し続けた企業です。
その企業を徹底的に調べ、成功要因の共通項を探り、それを法則にして
いるのです。
しかも、それはまず法則ありきで、あとからそれを裏付ける事例をかき
集めるやり方ではありません。
まずデータがあり、そこから真実をあぶりだすという、より手間とヒマ
を要する方法をとっています。
我々の親しんできたやり方とは全く逆のアプローチであるせいか、そこ
に見出される法則は、意外なものが多いようです。
今後、偉大な企業に遭遇したら、本書にある法則に照らしてください。
きっと、もうそれが特殊な幸運や偶然の積み重ねによるものとは思わ
ないでしょう。
本書にある法則が、偉大な企業が偉大たり得た普遍の法則を原因を示し
ているからです。
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■■ 今週のサマリー
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今週は、全米で100万部を超えた『ビジョナリーカンパニー』の続編です。
偉大な企業には共通してあるのに、偉大になれなかった企業には足りな
かった点とは何でしょうか?
【1】
"良い"企業はたくさんあるが"偉大な"企業に飛躍できる企業は少ない。
その"飛躍"には、何が必要なのだろうか?
まず"偉大な"企業は、飛躍の時期に優れた指導者に率いられている。彼
らは、個人としては"謙虚"だが職業人としては"意思が強い"という二
つの矛盾した性格を併せ持っている。
また、野心的なのだが、その野心は自分でなく会社に向けられている。後
継者を選ぶときも、次世代にさらに偉大な成功が収められるような人物を
選ぶ。
意外なことに、彼らは共通して成功の要因として自分の偉大さでなく"幸
運"をあげる。それは我々が抱いてきた理想のリーダー像と全く異なるも
のだ。
【2】
偉大な企業の経営者は、まず「誰を選ぶか」を決める。そのあとに「何
をすべきか」を決める。ビジョンも、戦略も、戦術も、そのあとである。
偉大な企業は、人事の決定に関して次の原則を厳格に一貫して適用して
いる。
1)適切な人材を探し続ける
2)必要なら、人を入れ替える
3)最高の人材は、最大の問題解決でなく最高の機会の追及にあてる。
また偉大な会社の経営陣は、最善の答えを探し出すために徹底的に議論
する。方針が決まれば、自分の利害を超えて、その決定を全面的に支持
する。
一方、偉大でない企業は「一人の天才を千人で支える方式」をとる。天
才的な指導者がビジョンを確立し、それを実現するための有能な兵士を
集める方式である。しかし、これは天才が退けば崩壊する仕組みだ。
【3】
偉大な企業は自分が置かれている現実の中でも、最も厳しい事実を直視する。
自社の置かれている状況を正確に把握すれば、正しい決定がくだせる。
そのためにも、上司が部下の意見、つまり真実を聞く機会が十分にある企業
文化を作り上げることが必要である。
1)答えでなく質問で指導する
2)対話と論争を行い強制はしない
3)解剖を行い強制はしない
4)入手した情報を無視できない情報に変える仕組みを作る
偉大な企業は、他の企業と同じくらい逆境ぶつかってきた。しかし対応の仕
方が異なる。真っ向から取り組んでいるのだ。その結果さらに強くなる。
その際に、重要なことは最後には必ず勝つという確信を失わないことである。
【4】
偉大な企業になるには、次の3つの点を明らかにすることが重要である。
1)自社が世界一になれる部分はどこか。
2)自社の経済的原動力になるものは何か。
3)自社が情熱を持って取り組めるものは何か。
これは、目標でも、願望でも、戦略でも意図でもない。あくまでも自社
に対する認識に基づくものである。
偉大な企業はハリネズミに似ている。単純で、冴えない動物だが、一つ
だけ、"針がある"という点を知っており、そこから決して離れない。
一方、偉大になれない企業は、狐に似ている。賢く、様々なことを知っ
ているが、一貫性がないために失敗する。
なお偉大な実績を残すには、偉大な産業で事業を行う必要はない。偉大
な企業は、どれほど悲惨な産業でも利益をあげる方法を知っている。
【5】
偉大な業績を維持するには、 頑なに"ハリネズミの針"を重視し、自ら
規律を守り、規律ある行動をとる人が集まる文化を作り上げることである。
新たな技術に関しても、自分の針に直接マッチすれば、その技術で先駆者
になろうとする。そうでなければ普通に採用するか、さもなくば無視する。
偉大な企業は、外部から見ればあるとき飛躍したように見える。しかし、
内部から見れば、生物の成長のように積み重ねの過程に感じられるものだ。
偉大さを維持することは、弾み車を回すようなものだ。始めは少し動かすだ
けでも物凄い努力が必要だが、長期間一方向に押し続けていると、やがて勢
いがつく。
偉大な企業への飛躍を導いたリーダーたちは従業員の「力の結集」などほと
んどやらないものだ。条件さえ整えば、これは自然に起きるものなのだ。
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