HOME > ビジネス選書&サマリー > 無料版・バックナンバー > コトラー新・マーケティング原論

ビジネス選書&サマリー

無料版・バックナンバー

解除ご登録

ビジネス選書&サマリーのバックナンバーをご覧いただけます。


f

2002/08/30
コトラー新・マーケティング原論

コトラー新・マーケティング原論

今週は、マーケティングの神様フィリップ・コトラー待望の最新作。今マーケットで起きていることの本質と、マーケティングのあるべき姿を簡潔な文章と、明快な論旨でまとめています。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■
■■        ビジネス選書&サマリー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数10040部>━━
=今週の選書=
■コトラー新・マーケティング原論
■フィリップ・コトラー他
■翔泳社
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■
■■           今週のサマリー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今週は、マーケティングの神様フィリップ・コトラー待望の最新作。今マーケ
ットで起きていることの本質と、マーケティングのあるべき姿を簡潔な文章と、
明快な論旨でまとめています。

【1】

インターネット、テクノロジー、グローバリゼーションが結びついてニューエ
コノミーが生まれた。

従来のオールドエコノミーは、製造業をマネジメントしてきた。標準化、繰り
返し作業、規模の経済、効率、命令型の経営などを重視する。

ニューエコノミーは、情報産業のマネジメントの上に成立つ。文書、データ、
音声はどこへでも瞬時に送信でき「効率性」と「正確性」が高まった。

おかげで企業が顧客とコミュニケーションをとったり、取引を行ったりする能
力は飛躍的に高まった。

こうして多くの企業がデジタル化を急ぎ、コストを抑えながら市場により広く
浸透しようとしている。

【2】

今はニューエコノミーとオールドエコノミーが並存している時代だ。企業はこ
れまで有用だったスキルや能力を維持しつつ、新しい発想や能力を吸収しなけ
ればならない。

そして次の3つを目指さなくてはならない。

1)顧客ニーズを最も利便性の高い方法で満たす。顧客が最小の時間とエネル
ギーで、製品やサービスを探し、注文し、受け取れるようにする。

2)発想の重点を「製品ポートフォーリオ」から「顧客ポートフォーリオ」へ
移す。

3)マーケティング戦略を企業戦略の中で築き、マーケティング部門が他部門へ
の影響を強めるようにする。

【3】

もはや製品を作って売るという発想ではダメだ。自動車メーカーはまず工場な
ど生産能力を築くことから始める。100万台生産できる工場を作れば100万台
製造する。

作ったものは売ろうとする。だが売れない。結局ディーラに眠る。マーケッタ
ーは、これを販売促進費やリベートなどのお金を使い、無理やり売ろうとする。
こうして顧客は2万ドルの車に2000ドルの販売促進コストを払わされている。

これからは顧客を基点に事業を設計しなければならない。顧客に関する知識を
収集し、十分な能力を身につけ、カスタマイズされた製品、サービス、プログ
ラム、メッセージを提供しなければならない。

それはこれまでとは全く反対のプロセスをとる。すなわち以下のとおりである。

顧客→流通チャネル→製品・サービス→資産投入

【4】

これからは「顧客のニーズを感じ取り、それに応える」という発想でマーケテ
ィグを推進すべきだ。発想の基点はあくまでも顧客の要望である。

今は顧客が企業に「必要な製品を説明するので作ってほしい」とリクエストす
る時代である。そして価格、受取り方法、広告を受け取るかどうかまで決める。

企業はより大きな顧客の満足を引き出すために、サプライヤー、流通企業、社
員、地域コミュニティとの協力関係を求める必要がある。

そのために電子ネットワークを介して相互に作用しあい、ダイナミックで包括
的なマーケティングを展開する必要がある。マーケティングの使命は、それに
沿った製品、サービス、顧客経験を生み出すことである。

【5】

激しい変化と競争の中で、顧客に向けて価値を探求、創造、提供するには

・顧客
・事業パートナー
・社員
・地域コミュニティ

など"関係資本への投資"が必要だ。

これは、カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)をさらに推
し進めた、ホール・リレーション・マネジメントというべきものだ。

企業と顧客との関係だけでなく、全当事者との関係をマネジメントすることで
顧客シェアと顧客ロイヤルティを高め、顧客生涯価値を最大限に引き出すのだ。

こうした全体的なマーケティングこそ、企業がこれからも高品質の製品、サー
ビスをスピーディに提供するために必要なのだ。

▼本書の詳細・買いたい人は、以下をご覧ください。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4798102768/tachiyomi-22

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■
■■          今週のコメント

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本書は、マーケティングの神様といわれるコトラー教授が「デジタル時代のマ
ーケティング」のあり方を提言した点で記念すべき一冊と言えます。

インターネット、テクノロジー、グローバリゼーションが結びついて生まれた
デジタルエコノミーが伝統的マーケティングを変えようとしています。

そこで生まれたのがホリスティック・マーケティングという、全く新しいマー
ケティングのコンセプトです。

顧客の欲求を満たすために、顧客との関係を管理するだけでよかった時代は終
わり、今後はあらゆる当事者との関係をマネジメントする必要があります。

例えば昼食の価格。極限まで安くなりました。でもさらに「安く済ませたい」
というニーズがあれば、それをいち早く満たす企業が勝ちます。

ですが、もはや自社のコスト削減だけでどうにかなるレベルではありません。
そこで仕入れ元を世界中に求め、物流会社にも努力してもらいます。

こうしてお客さんに満足してもらうために、一連の企業が自社の強みを活かし
つつ、あたかも一つの企業のように行動します。

そしてこれをコントロールするマーケティングが求められるのです。それがで
きない企業は、淘汰されるか、他のお客さんを狙うしかありません。

ビジネスの本質が「顧客に価値を提供することで対価をいただく」ものである
以上、やむをえないことです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ツイートする FACEBOOK いいね! このエントリーをはてなブックマークに追加

主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
〒101-0052
東京都千代田区神田小川町3-10 新駿河台ビル4F
Tel.(03)6273-7950
Fax.(03)6273-7951

企業情報はこちら

著者の方へ

広告掲載についてはこちら

TOP