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2002/11/08
コーチング・マネジメント

コーチング・マネジメント

なぜ組織は変わらないのでしょう? 今やコーチング抜きにマネジメントは語れません。理論から応用まで、日本におけるコーチングの第一人者が語ります。


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━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数10762部>━━
=今週の選書=
■コーチング・マネジメント
■ディスカヴァー・トゥエンティワン
■伊藤守
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■■  今週のサマリー

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なぜ組織は変わらないのでしょう? 今やコーチング抜きにマネジメ
ントは語れません。理論から応用まで、日本におけるコーチングの
第一人者が語ります。

【1】

環境は急激に変化している。今、企業が求めるのは、自ら変革を起
こせる創造的、自発的人材だ。だが従来のやり方でそうした人材を
育成することは難しい。まず教育やマネジメントの変革が必要だ。

その変革には、スポーツの世界が参考になる。スポーツでは、これ
まで、コーチは技術を教える人、選手はそれを教わる人とされてき
た。だから名選手が名コーチとされてきた。

だが人はそれぞれ異なるので一方的に教えられた技術は使えない。
使い方は本人が自分で見出さねばならない。だから最近のコーチは、
教える代わりに会話をする。そして選手自身の気づきを促していく。

これはビジネスの現場も同じだ。だから会話を重ねて、相手に目標
達成に必要なスキルや知識を備えさせ、行動を促すコーチングとい
う手法が、人材育成法として注目されているのだ。

【2】

部下がうまくいかないのは、本人のやる気や人間性に問題があると
されがちだ。しかし本当の問題は普通、次のようなところにある。

・本人が、自分の能力に気づいていない
・適性がない
・知識がない
・技術がない
・意欲を高める方法を知らない

優秀な上司は、部下と会話して部下が持つ資質や才能を見つける。
またその活用方法や、必要な技術や知識を得るために「何ができる
か」について話し合う。こうして部下の自発的な行動を促す。

コーチングとは、こうした会話を作り出す戦略的なコミュニケーシ
ョンのスキルだ。コーチはこのスキルを使い、会話を広げ、会話を
促進する、いわば会話のファシリテーターだ。

【3】

人はそれぞれ違う。一つの考え方、やり方を押し付けてもだめだ。
求められているのは、話を聞くのがうまい上司だ。教えるのでなく、
引き出し考えさせ、相手を行動させる人だ。そういう上司は少ない。

人は考え方や、やり方を押し付けられても自発的に行動できないの
だ。行動するには、双方向のコミュニケーションが必要だ。だが多
くの場合、上司と部下の関係では、上司ばかりが話す。

こうして上司は、部下の状態や、行動できる動機について知る機会
を失している。また管理し過ぎると、部下の自発性を奪い、状況対
応力を低下させる。上司は任せなくてはならない。

だが放任はいけない。任せることと放任は似て非なるものだ。放任
されれば、自分の行動や仕事に対するフィードバックがなくなり成
長の機会を失う。

コーチングは管理でも放任でもない。相手に関心をもち、会話を交
わすが、必要以上の管理をしない。部下の行動を促すことに主眼を
置き、機能的、効果的に関わることである。

【4】

人は相手の話を聞いていない。皆、相槌を打ち、聞いている顔をし
ながら、実は自分が「次に何を話すか」を考えている。だが人は聞
かれないと、自分が大切にされていないと感じる。

聞かれない理由は、聞く側の誤解にある。「聞いてほしい」と言われ
た人は次のように考える。

・忠告を求められている
・話の内容の評価を求められている
・問題の解決を求められている
・同情や共感を求められている
・つまらない話でもつきあうことを求められている。

ところが「聞いてほしい」と言った人は、相手にそんなことを期待
していない。彼らは単に「聞いてほしい」のだ。

人は、話しながら「自分が何を思っていたか」を知る。内側の情報
を外に出して始めて認識できる。アイデアを生み出し、発展させる
時も孤独な思索だけでは限界がある。だから話すのだ。

【5】

コーチングには大きく分けて次の6つのスキルがある。
1.要求する
2.聞く
3.聞き分ける
4.質問する
5.受け入れる
6.目標達成プログラム

いずれも誰かが考え出した新しい技術ではない。すでに実践され、
機能しているコミュニケーションの集大成だ。だからコーチングを
「日常の会話の気の利いた技術の集大成だ」という人もいる。

しかしプロのコーチは、これを次のように戦略的に進める。
・現状の明確化
・望ましい状態の明確化
・現状と望ましい状態のギャップの理由と背景の発見
・行動計画の立案
・フォローと振り返り

人はこうしたプロセスを経てはじめて自分で考え、行動するように
なる。だから、変化する状況や、不測の事態に対応できる自立した
人材が欲しい企業の人材育成に役立つのだ。


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■■  今週のコメント  
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●今回の選書について

日本における唯一の「国際コーチ連盟マスター認定コーチ」が、理
論から実践まで体系的に記したコーチングの基本書です。コーチン
グを小手先のテクニックではなく理論から学びたい人にお勧めです。

本書に書いてあることには、いろいろと思い当たるフシがあります。

例えば「わかっていることと、行動の間には大きな溝がある」とい
う一説があります。これは、私の学生時代の家庭教師のアルバイト
を思い起こさせます。

私に家庭教師を依頼する親御さんの多くは、必ず私に「ウチの子は
やればできるんですよねー」と言っていました。そういわれると、
私は心の中で「そりゃ、やれば誰だってできるよな。やれないから
みんな苦労してるんだよな」と思っていました。

最近、同じような経験をしています。起業希望者の相談です。時々、
いつまでも起業できない人がいますが、そういう人はできない理由
ばかり述べていつまでも行動しません。

そりゃ、誰にでもできない理由の一つや二つあります。私にだって
ありました。違いは「それでもやるかどうか」です。

と言うと冷たいので、一つだけ、こうした障害を乗り越えるコツを
教えましょう。それは「できない理由を書き出してみること」です。
そうするとたいてい「どれもどうってことない」ことに気づきます。

これを書くのでなく、誰かに話すというやり方をすればさらに効果
が上がります。

実は、私に相談に来る方には、私に話すうちに「できない理由が、
どれもどうってことない」ことに気づく人がいます。その間、私は
頷きながら聞いているだけです。

人に話すことは、紙に書くより、ずっと効果があるのです。これぞ
まさにコーチングの原理です

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
〒101-0052
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