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2004/08/20
夢とビジョン」を語る技術

夢とビジョン」を語る技術

未来への夢、ビジョンが色あせつつある。生きるため、戦後の日本
人はがむしゃらに働いてきた。その結果、国は豊かになった。だが
殺人事件や幼児虐待は急増している。
自殺者も年間三万人超のまま推移している。未来への不安。現在へ
の失望感。未来を考え、挑み、自ら作ることから、多くの日本人が
顔をそむけている状態だ。


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■■       ビジネス選書&サマリー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 23,970部>━
=今週の選書=
■「夢とビジョン」を語る技術
■野口 吉昭 (著)
■かんき出版
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■■  選書サマリー

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「いっしょに仕事がしたい」と思われる人は「したいこと」に満ち
ています。夢とビジョンを語る力とは?

【1】

未来への夢、ビジョンが色あせつつある。生きるため、戦後の日本
人はがむしゃらに働いてきた。その結果、国は豊かになった。だが
殺人事件や幼児虐待は急増している。

自殺者も年間三万人超のまま推移している。未来への不安。現在へ
の失望感。未来を考え、挑み、自ら作ることから、多くの日本人が
顔をそむけている状態だ。

日本の高校生の「就きたい職業」トップは公務員。中学生の場合は、
2位にフリーターがランクインしている。中国では会社経営者や管
理者が、アメリカでは弁護士や医者がそれぞれトップに挙げられて
いるというのに、なんと悲しい話ではないか。

【2】

日本人は、過去からの「遺伝子」だけではなく、未来への継続性を
持つ、あらたな創造的「未伝子」を生み出さなくてはならない。

夢を見る力、ビジョンを語る力、描く力をひとりひとりが持たなけ
ればならない。日々の目標や半期のノルマにこだわるだけでなく、
社会人、地球人、人間としての視点を忘れてはいけない。「ひとり
の人間」という立場から、ものの考え方、見方を確立していこう。

「一緒に仕事したい」と部下に思わせる上司は、ずばり「生かされ
ている」人間だ。たとえば、こんな体験をしたことはないだろうか?
「やりたかったプロジェクトのリーダーに、たまたま就くことがで
きた」「ほしかった顧客からの受注を獲得することができた」。

チャンスは必ずしもつかみとるものではなく、与えられることもあ
る。人はみな、生かされている存在だ。その事実に気づいたとき、
前を向き、未来を感じ取ることができる。より高い視点で自分やそ
の周囲、社会を捉えることが可能になるのだ。

【3】

自分の力でリーダーの座を勝ち取った、と考えている人にマネジメ
ントはできない。リーダーだけではない。部下もまた、現場から上
司をうまくリードする技量が必要だ。つまりマネジメントとは、仲
間とビジョンを共有するための大切な技術といえる。

そこで身につけたいのが「超我」の発想。「自分はなんらかのミッ
ションを果たすべき存在だ」「何か大きな力によって導かれ、意思
決定をしている」と思える人には、自然に道が拓ける。

さらに、ちょっとした言葉にも、誰かを導くだけの深みが出てくる
というものだ。「活かされている」という意識はその人に謙虚さや
パワーをもたらす。

極端な話が「幽体離脱」だ。臨死体験した人はよく「死んでいる自
分を病室の上から静観していた」という話をする。マネジメントに
も、ちょうど似たような客観性が必要だ。

つまり、部下と自分、上司と自分、顧客と自分を、現場よりも高い
視点で観なくてはならない、ということ。戦略思想に富むしたたか
な人間は資産を生むが、「我」を超える人材は、豊かな価値を生む。

【4】

たとえばフォードの創始者、ヘンリー・フォードもそのひとりだ。
フォードは「安くて品質のよい車を作れば、買う人も増える。道路
も長くなり、そこを走る車も増えるだろう。

そうなれば、部品メーカーや素材メーカー、土木工事会社などが生
まれ、人々は職と賃金を得ることができる」と信じた。この思想が
大量生産を具現化し、近代マーケティングをも誕生させたのだ。

渋沢栄一も同じタイプだ。あるとき、彼は三菱財閥の創始者、岩崎
弥太郎と議論をした。岩崎は「資本を集中させ、企業を系列化しな
ければ多くの価値は生まれない」と述べた。

これに対し、渋沢は「価値観の異なった人間が、異なった資本やア
プローチで起業することが大切。自分はいろいろな人材が独立して
展開する会社を作りたい」と主張したという。

夢とビジョンを他人に語り、マネジメントするためには、我欲を超
えた発想が不可欠なのだ。

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■■ 選書コメント  
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本書は、企業にとっても、個人にとっても、非常に大事な言葉であ
りながら、同時にとても理解しにくい「ビジョン」や「ミッション」
などの言葉を、わかりやすく解説しその描き方を具体的に指南する
本です。

特に「ミッション」は、「理念、存在理由」とかいう字義だけを聞
かされても「どうもピンとこない」という人が多いようです。当然、
自分や、自社のミッションを考えたことがある人も多くありません。

それは、起業を志す人でも同じです。私は仕事柄多くの起業希望者
に会います。彼らに「あなたは何のために起業するのですか?」と
問うても、その答えはたいてい「金持ちになりたい」「尊敬された
い」「会社が不安だ」という、利己的な回答が大半です。

ミッションが不明確なのは、大企業も同じです。企業はミッション
をよく「企業理念」として表現しています。しかし、実際はほとん
ど単なるお題目で、あまり機能していないのがふつうです。

しかし事業を成功させるためには、ミッションは絶対に必要です。
これはきれい事でも、精神論でもありません。存在理由のない会社
は、必ず淘汰されからです。昨今話題の金融機関の統廃合も原因の
本質を突き詰めれば、存在理由がなくなったことに行きあたります。

個人も、自分の存在理由を考えることは、とても重要です。もちろ
ん個人の場合、存在理由が明確でないからといって、何ものかに淘
汰されるわけではありません。

しかし、働くこと、ひいては生きることに関して、本当の充足感を
得るには「世の中のお役に立てている」という実感を持てるように
なることが、絶対に必要だと思います。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
〒101-0052
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