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2004/10/01
マッキンゼー流図解の技術

マッキンゼー流図解の技術

プレゼンテーションに必要なことは、よく調査をおこない、話の流
れを整理することだが、さらに要点をよりわかりやすく伝えるため
には、図表を用いるのが一番だ。
図表、すなわち「チャート」はビジネスパーソンにとって、きわめ
て重要な言語形態のひとつだ。考えが練られ、優れた設計がなされ
たチャートを活用すれば、言いたいことはすばやく明確に伝わる。


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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 25,370部>━
=今週の選書=
■マッキンゼー流図解の技術
■ジーン ゼラズニー
■東洋経済新報社
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■■  選書サマリー

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米国で20年前に刊行されたロングセラーです。図解技術の決定版が
ついに日本上陸です。

【1】

プレゼンテーションに必要なことは、よく調査をおこない、話の流
れを整理することだが、さらに要点をよりわかりやすく伝えるため
には、図表を用いるのが一番だ。

図表、すなわち「チャート」はビジネスパーソンにとって、きわめ
て重要な言語形態のひとつだ。考えが練られ、優れた設計がなされ
たチャートを活用すれば、言いたいことはすばやく明確に伝わる。

だが、十分に練られておらず、間違った設計のもとに作成されれば、
明確に伝わるどころか混乱や誤解を招きかねない。たとえばこんな
ケースに、心当たりのある人は少なくないのではないだろうか・・・。

第3火曜日の午前9時。運営委員会の月次ミーティングで、プレゼ
ンテーションの役目を受けたのは、出世頭のフランクだった。「こ
れから当業界と当社の業績の概要を簡潔に説明いたします」

「そのために分析結果を見た目にわかりやすく表すための資料をい
くつかご用意しました。横の見出しに11項目の業績測定基準が並ん
でいます。当社はその中で優れた成績を上げております」

【2】

フランクが準備した資料は、小さな字でびっしりと入力されたデー
タだ。あなたは思わず目をこするだろう。「もしかしたら自分はか
なり視力が衰えたのではないか・・・」

次の資料は「当社の売上推移」と題された6つの円グラフだ。1996
年?2001年のそれぞれの市場占有率が示されている。フランクはさ
らに続ける。

「1996年以来、当社の売上は顕著な伸びを示しております。1998
年には落ち込んだこともありましたが、それはみなさまもご存知の
通り、ストライキの影響でした」

自分は何か見落としているのではないだろうか。売上が顕著に伸び
たといっているが、ずらりと並んだ円グラフは、主要商品の市場占
有率の伸びを表しているぞ・・・。

「主要な競合4社と比較すると、当社の投資回収率は第一位でござ
います」。目の前のグラフは、「投資回収率の企業ごとの比較(2001
年)」というものだ。

【3】

折れ線グラフで競合4社と自社の回収率データが表されている。何
が1位だって?どの会社が?折れ線グラフは、投資回収率の変動を
表しているのかと思ったよ。

聞き手であるあなたは、すでに我慢の限界を超えている。フランク
がプレゼンテーションにチャートを活用しようと考えたのは間違い
ではなかった。しかし、やり方はまずかった。

彼は明らかにプレゼンテーションを損なうような、理解しにくいチ
ャートを作成してしまったのだ。それでは、具体的にどんな点が間
違っていたのだろうか。

第一に挙げられるのは「APK症候群」に陥っていることだ。AP
KとはAnxious Parade of Knowledge(知識の欲張りな羅列)。詳
細な事情を説明しようと、聞き手の読み取り能力を超える内容を、
チャートに詰め込んでしまうことだ。

【4】

プレゼンテーションに用いるチャートには、報告書のそれより、少
なくとも4倍は大きい文字を使用しなくてはならない。また、チャ
ートフォームの選定も重要だ。

売上増を表したいなら折れ線グラフを、競合他社と投資回収率を比
較したいなら横棒グラフを用いるべきだ。どんなチャートを活用す
るにせよ、話し手と聞き手両方の役に立つものを選ぶべきだ。

ビジネス・プレゼンテーションしかり、レポートしかり。このほか
管理情報システム、コンピューターグラフィックス、年次報告書、
雑誌、新聞に至るまで、すべて同じことが言える。

そのうえで正しく工程を踏み、コンセプト・ビジュアルやビジュア
ル・メタファーを活用する。そしてスクリーン上でのプレゼンテー
ション用にチャートを設計する。

プレゼンテーションを極めるには、まずチャートという言語に堪能
になるべきだ。そのために、まずはチャート関連のボキャブラリー
を増やし、実践演習をしてみるところから始めてみるべきだ。

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■■ 選書コメント  
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今週は、プレゼンに欠かせないビジュアルの作成技法の書籍を紹介
しました。原著者は、マッキンゼーのビジュアル化の責任者という
ことで、"マッキンゼー流"というのはそこに由来しています。

ビジュアルの良いところは、文字に比べて情報をひとつかみにしや
すいところです。だから複雑な事柄の理解を助けます。しかし、こ
れをいざ自分が作ることには、苦手意識を持つ人も多いと思います。

会社である程度のポジションにいる人なら、自らプレゼンの資料を
作ることもないでしょうから「自分にはもはやあまり関係ない」と
考えるかもしれません。

しかし、役職を問わず、仕事のできる人は、ちょっとした打ち合わ
せの板書でも、サラサラっと図解してわかりやすく説明してくれる
ものです。もはやビジネスの世界で、メッセージを図解する技術は、
誰にとっても避けては通れないスキルなのです。

最近は、パソコンの進展で、表現方法も多彩になりました。エクセ
ルなどのソフトを使えば、本書で紹介したグラフなどは瞬時に完成
してしまいます。だからこそ、正しく使いこなすスキル身につける
必要性を感じます。

たとえば皆さんの職場にも、日がな一日、会社でグラフの線を太く
したり、色をつけたりすることに時間の大半を消費している人はい
ないでしょうか?こういう人は、使いこなし方を間違っています。

また、苦労して図解しても、できが悪いとプレゼンはかえって難解
になります。理解を助けるはずのビジュアルがわかりにくく、会議
がビジュアルの解説で終わってしまったなどということもあります。

本書には、練習問題もたくさん用意されています。図解という、極
めて限られたスキルに特化した書籍ですが、ワークブックのように
使い倒すと、すぐに成果が現れると思います。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
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