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2004/10/22
ハーバードからの贈り物

ハーバードからの贈り物

鏡を見て欲しい。そしてまっすぐ自分を見つめて欲しい。あなたを
じっと見つめ返す人は、今から1年後、10後、30年後になってから
も同じ人間だ。
もちろん、あなたはそれまでに多くの面で成長し、変化し、経験を
重ね、白髪も増えるだろう。持てる能力の幅も広がるはずだ。事業
部のトップやCEOになるかもしれない。


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■■       ビジネス選書&サマリー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 26,870部>━
=今週の選書=
■ハーバードからの贈り物
■デイジー・ウェイドマン
■ランダムハウス講談社
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■■  選書サマリー

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ハーバード・ビジネススクールの教授たちが、最後の講義の数分間
に贈る最良のアドバイスを、あなたにもおすそ分けします。

【1】

鏡を見て欲しい。そしてまっすぐ自分を見つめて欲しい。あなたを
じっと見つめ返す人は、今から1年後、10後、30年後になってから
も同じ人間だ。

もちろん、あなたはそれまでに多くの面で成長し、変化し、経験を
重ね、白髪も増えるだろう。持てる能力の幅も広がるはずだ。事業
部のトップやCEOになるかもしれない。

だが、それが一瞬にしてすべてを変えるわけではない。いくら偉く
なっても、あなたが組織のトップに上りつめても、それだけであな
たが人間として変わってしまうわけではないのだ。

ところが、周囲は間違いなく変わる。偉くなったとたんに、あなた
は以前とは全く違う扱いを受ける。昇格後にうまくやる秘訣は、そ
うした扱いの変化と、それが自分に与える影響を自覚することだ。

【2】

私は、人生で初めて管理職に就いた時、事業部の実態を把握しよう
と、自分が担当する事業部の実態を調べた。すると300キロしか離
れていない2つの都市にそれぞれ営業所があることに気づいた。

これには何か理由があるのだろうと考え、責任者を呼んで聞いてみ
た。2週間後、その責任者からの告示が張り出されていた。なんと
問題の事業所の一方を閉鎖し、営業マンを解雇したというのだ。

私は、あわてて秘書を通して事情を聞いた。すると責任者は私の命
令でしたというのだ!私の質問は、責任者には命令ととれたのだ。
そのとき、私は自分がまったく新しいゲームを参加していること、
そして自分がそのルールをまだ理解していないことを悟った。

ビジネスのスキルは身につけていても、役職に就くルールについて
は、何も準備していなかったのだ。自分自身は以前のままでも、ボ
スになれば扱いが全く変わることは、誰も教えてくれなかった。

【3】

管理職、特に役員にでもなれば、世界は一変する。会社ではあなた
中心に組織が作られ、豪華なオフィスや社用車、ファーストクラス
などの豪華な特権が与えられる。あなたの周りには、あなたの仕事
がスムーズに運ぶために手を尽くす人がずらりと控えるはずだ。

それだけではない。社員はあなたが質問すれば、それを命令と解釈
し、あなたが意見を言えば反発も質問もせず、必ず賛成するように
なる。部下はあなたの反応におびえ、悪い情報があれば、全力を挙
げてそれを隠すようにするはずだ。

こうした状況は快適だが、仕事にはマイナスだ。会社で起きている
真実から遠ざけられる。言われたことを鵜呑みにするうちに、能力
も落ちる。これがいずれ大きな問題を引き起こさないとも限らない。

【4】

私はこうした職場での待遇にいい気にならないよう、自分なりに工
夫した。まず家族の言うことに耳を傾けた。妻は私が組織のトップ
に立っても、ゴミ出しをするごくふつうの男だと言うことを、いつ
も思い出させてくれた。

週末に子供と雪かきをすれば、自分で自分に酔うことなどできない。
特に思春期の子供は、親をマヌケで恥ずかしい存在だと思っている。
あなたの天狗のようにのびた鼻をへし折ってくれるはずだ。

最前線で働く人たちと接する機会も作った。現場を歩き回るのだ。
ただし相手に威圧感を与えないように、いつも上着を脱いでシャツ
の袖をまくり、少し崩した格好をするようにした。

昼食はできるだけ役員とは座らないようにし、従業員のテーブルに
混ざるようにした。私が座れば誰もが緊張するので、座を和ませる
ために、自分をコケにした冗談を自分から切り出した。

このようなテクニックを自分のものにして、日常的に用いれば、色々
な問題が自分に集まるようになる。また自分に対する批判も耳に入
りやすくなる。中には、わざとらしいものもあるし、計算が隠され
ていて抵抗もあるだろう。だが、そのうちサマになるはずだ。

あなたは大学を出たばかりかも知れないし、すでに管理職や役員に
なっているかも知れない。だが、人生のどの時点においても、常に
真のリーダーになるべく、資質を身につける練習と鍛錬を重ねてお
いて欲しい。

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■■ 選書コメント  
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ハーバード・ビジネススクールでは、教授たちが最後の授業の数分
間に、自らのエピソードをまじえて、最良のアドバイスを学生たち
に贈る伝統があるそうです。

本書は、著者が自らハーバードの学生として、こうした伝統の中で、
教授たちから贈られたアドバイスうち、選りすぐりの15人の話を1
冊の書籍にまとめたものです。

最初はエリート向けの、鼻につく話ばかりかと思って、期待せずに
読み始めました。しかし、実際にはそんなことは全然ありませんで
した。どれも誰にでも役立つ、いい話ばかりでした。

本書を読んで、世界最高の教育を受けたうえに、こんなにすばらし
いアドバイスを定期的に聴くことができるハーバードの出身者は、
心底うらやましいと思いました。

ハーバードなど持ち出さなくても、学生のころ学校の教師から贈ら
れたアドバイスや一言が、生涯忘れないという人は少なくないので
はないでしょうか?

肝心の授業の内容は、何一つ覚えていないのに、教師のふとした一
言が、のちに自分の人生を変えてしまうということはよくあるもの
です。教育の力とは、本来そういうところにあるのだと思います。

もちろん、教育の現場は、学校だけではありません。読者の中には、
職場では上司として、家庭では親として、すでに人を教育する立場
にある人も多いはずです。

自分の発した言葉が、善きにつけ、悪しきにつけ、相手にとって一
生忘れられない一言になる可能性があります。それが相手にとって
いい意味で忘れられない一言になるように、気を付けたいものです。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
〒101-0052
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Tel.(03)6273-7950
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