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2004/10/29
スリッパの法則

スリッパの法則

新卒で野村投資顧問に就職して13年間。中小株専門のファンドマネ
ージャーという仕事を通して、3000件を超える企業を訪問し、調査
をし、投資を行ってきた。
そのうち、会社を見分ける上で重要な「法則」に気づくようになっ
た。それが「スリッパの法則」をはじめとするさまざまなサインだ。


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■■       ビジネス選書&サマリー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 26,100部>━
=今週の選書=
■スリッパの法則
■藤野 英人 (著)
■PHP研究所
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■■  選書サマリー

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伝説のファンドマネージャーの著者が、会社を選びの目利き術を伝
授します。

【1】

新卒で野村投資顧問に就職して13年間。中小株専門のファンドマネ
ージャーという仕事を通して、3000件を超える企業を訪問し、調査
をし、投資を行ってきた。

そのうち、会社を見分ける上で重要な「法則」に気づくようになっ
た。それが「スリッパの法則」をはじめとするさまざまなサインだ。

もちろん、これらの法則は絶対的なものではない。会社を分析する
ことは難しく、経営学や財務諸表に精通していても、なかなかその
本質を見抜くことはできない。

とはいえ、ダメな会社は、特有のきざしを持っていることが多く、
伸びている会社は、伸びている会社なりの雰囲気をかもし出してい
るものなのだ。

会社はいわば生き物のようなものだ。成長することもあれば、衰え
て死んでしまうこともある。寿命が半年のものもあれば、100年続
く会社もある。それらを予見させるのは、データより、むしろそう
したサインだったりする。

【2】

とくに、社長の人物像にはサインが顕著にあらわれる。どんな社長
に気をつけなくてはならないのだろう。まず、人物としての魅力は
あるが、話の内容が具体性を欠いていたり、客観的でなかったり、
他人の言うことに耳を傾ける素直さがない場合は要注意だ。

創業者とは、井深大氏や本田宗一郎氏の例を挙げるまでもなく、人
を魅了するキャラクターに恵まれているものだ。前向きで、強く、
魅力的でなければ、事業を起こし、人を率いることなどできない。

ただ、困ったことに自分自身をもだましてしまい、本人もだまして
いることに気づいていないことが多い。こうした魅力の裏にある欠
点を見逃してはならないのだ。

自分の過去の苦労話を延々と続ける社長も問題だ。経営者の器は目
標の高さで決まるものだ。目標が低ければ、それを達成した瞬間に
企業家としてのエンジンはストップしてしまう。

そうなれば、当然、会社も成長を止めるだろう。社長のモチベーシ
ョンの高さを測るには、本人が自分の過去をどのように受け止めて
いるかを見ればいいのだ。

【3】

あるディスカウントストアの経営者と面談したときのことだ。彼は
私に、起業に至った経緯を長々と語り始めた。それによると事の起
こりは父親の死だったという。

30歳になっても定職を持たず、ぶらぶらしていた彼に「二つだけ言
っておきたいことがある。早起きして、税金を払いなさい」と言い
残したそうだ。

社長は早起きを始めたが、やることがないからと牛乳配達をするよ
うになる。そして牛乳店の店主が始めた健康食品の仕事を引き受け
ることとなる。

ところが、その店主が死んでしまい、彼がその仕事を引き継ぐことに
なった・・・。まるで「わらしべ長者」の世界だ。どこまでが本当で、
どこからがウソなのかまるでわからない。

案の定、その会社はまもなく倒産してしまった。これは一例だが、
これまでの経緯を語る際、それが自慢話に終始してしまう社長は、
要注意だ。

【4】

経営者が自伝をプレゼントしてくれるような場合は要注意だ。自伝
とは、自分自身の行為に対する評価であり、結論とも言えるものだ
からだ。もちろん、有名人で数多くの本が出版されている場合や、
多芸な社長で、自分の趣味に関する執筆本をくれる場合は別だ。

もちろん、経営者の生い立ちについて知ることは重要だ。学歴や人
種などで差別を受け、大きなコンプレックスを抱いている人は往々
にしてすさまじいエネルギーを持つからだ。

しかし、テレビで自宅やコレクションを公開し、自慢している社長
には投資しないほうがいい。成金趣味を見せつける行為は愚劣さの
証明だからだ。本当の金持ちはそんな番組には出たりしないものだ。

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■■ 選書コメント  
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かつて2、600億円を運用して「カリスマ・ファンドマネージャー」
と呼ばれた著者は、のべ3000社を超える企業を訪問し、調査した結
果に基づいて投資をしていたそうです。

その過程で「投資して儲かる会社と儲からない会社」の違いや兆し
が一定の法則を持つことに気づいたそうです。その法則を書籍にま
とめたのが本書です。

なかでもタイトルにもなった「スリッパに履きかえる会社は伸びな
い」という法則は、かつて朝日新聞の天声人語にも取り上げられ、
大反響を巻き起こしました。

もちろん社員がスリッパに履きかえるからといって、即、のびない
会社というワケではないでしょう。でもそういう会社は、経営者の
目が行き届いていない可能性が高く、だから投資の対象から外した
ほうがいいというわけです。

本書は、このように伸びる会社と、伸びない会社を瞬時に見分ける
尺度を紹介する本です。現代のように情報が氾濫し、世の中が複雑
になると、人は自分の頭で判断することを放棄します。

そして、より簡単に判定できるリトマス試験紙のような方法を求め
ます。たとえば、血液型で人間を4つにタイプ分けすることも盛ん
ですが、これも複雑な人間関係を単純化しようとする工夫です。

人間と同じくらい、会社も複雑になりました。「今さら聞けないが、
球団を買うほど勢いのある会社が、何をやっている会社か、さっぱ
りわからない」という人は、実は結構いるのではないでしょうか。

そんな複雑な世の中で、投資やビジネスをしなければならない人た
ちの「できるだけ簡単に会社を見分けるモノサシが欲しい」という
願いが、本書が売れる背景にあるのだと思います。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
〒101-0052
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