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2004/11/05
考える技術

考える技術

私たちは、仕事の中で、あるいは社会生活の中で、ありとあらゆる
問題に直面する。ほとんどの人は、その問題を解決するために何を
どう考えればいいのかについて、その方法を知らないように見える。
そしてろくに考えもせずに、たんなる「思いつき」を解決策と称し
ている。驚くべきことに、そんな思いつきが、仕事や経営の現場で
も問題解決策として、平気でまかり通っている。


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■■       ビジネス選書&サマリー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 26,170部>━
=今週の選書=
■考える技術
■大前研一
■講談社
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■■  選書サマリー

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新しいビジネスに必須の思考法と、その思考回路を身につけるため
のノウハウを伝授します。

【1】

私たちは、仕事の中で、あるいは社会生活の中で、ありとあらゆる
問題に直面する。ほとんどの人は、その問題を解決するために何を
どう考えればいいのかについて、その方法を知らないように見える。

そしてろくに考えもせずに、たんなる「思いつき」を解決策と称し
ている。驚くべきことに、そんな思いつきが、仕事や経営の現場で
も問題解決策として、平気でまかり通っている。

本来、問題解決をするためには、問題がどこにあるのかを分析して
原因を解明し、それを解消しなければならない。それは論理的に考
えれば簡単に導き出せるものだ。

だが、日本の経営者の多くははこうした思考回路を持たない。自分
の立場や派閥の利益といった、問題解決の上では何の役にも立たな
いことを核にした思考がまかり通っているケースが珍しくないのだ。

【2】

問題解決のための思考プロセスとは、業界のデータや自社のデータ
を分析することから始まる。分析した結果をもとに仮説を出すのだ。

ここで仮説が出ると、日本のほとんどの経営者やビジネスマンは、
それを結論だと思い込んでしまい「結論を得た」と安心してしまう。
そしてその仮説を裏付ける証拠収集や、本当の結論に至るまでの論
理的思考を怠ってしまう。

仮説でしかないことを「結論」として示し「この問題を解決するこ
とは非常に難しい」というものを「提言」だと勘違いしている人間
がいる。だが何の解決にもならないものは、提言とはよべない。そ
んなことを言っても、時間と労力の無駄にしかならないからだ。

本来、解決策のない問題など存在しないのだ。本当に重要なのは「仮
説」ではなく、問題を解決するための「結論」を導き出すことなの
だ。

最初の仮説が解決策にならなければ、さらにデータを分析して、別
の仮説を立てればいいだけだ。これを繰り返し、問題の真の解決策
になる「結論」にたどり着くまで思考を続けるのだ。

【3】

解決策になる結論を導き出すために最も大切なことが「その問題の
原因は何か」を明確にすることだ。ところが、ほとんどの経営者や
ビジネスマンは、問題として見えている現象にばかり目がいってし
まう。だから原因の解決に至らないのだ。

現象はあくまでも現象にすぎず、原因ではない。この当たり前のこ
とがなかなか理解できないのだ。

だが原因になっている部分を直さないかぎり、問題の解決は決して
望めない。問題解決のために大切なのは「さまざまな現象の中で、
本当の原因は何か」を考えることだ。現象を数え上げるだけで思考
を停止してはならないのだ。

さらに最悪なのは、すべての現象を個別に改善しようと考えること
だ。原因を明確にせずに現象を改善しようとすると、かえって業績
が落ち込む。こうして負のスパイラルに陥ってしまうのだ。

【4】

経営コンサルタントの仕事とは、企業が自分ではどうしても解決で
きない問題に対して解決策を見つけ、提案としてクライアントに示
すことだ。

そのために情報を収集、分析し「こうではないか」という仮説を立
て、仮説を裏付けるためにフィールドインタビューを行ったり、実
験を試みたりする。

仮説が裏付けられるまで、とことん必要なインタビューや実験を行
い、仮説が間違いないものであることを実証する。これが問題の解
決策を導き出す科学的なアプローチと言える。

こうしたアプローチを経るからこそ、合理的で間違いのない結論が
導かれるのだ。真の論理的思考とは、本来こういうものだ。このプ
ロセスこそが、あるゆる問題解決において必要なのだ。

このように問題解決力とは、仮説を裏付けるために労を惜しまない
行動力と、その仮説が絶対に正しいと結論づけられるまで、徹底的
に考え続ける思考力のことなのだ。

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■■ 選書コメント  
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本書は、これからのビジネスパーソンに求められる重要なスキル、
論理思考の方法を詳しく解説した本です。とくに著者大前氏の思考
プロセスを詳しく紹介している点が大いに参考になります。

時代が激変し、ビジネスの世界で過去の成功体験は役立たなくなり
ました。まして日本人お得意の「なぁなぁ」とか「気合い」とかは
すっかり通用しなくなっています。

そこで頼りになるのが論理性です。論理は人を説得し、動かす際に
大きな力を発揮します。ビジネスの基本は人ですから、仕事を論理
的に進めれば、仕事の成果を著しく高めることができるのです。

もちろん、論理的に仕事を進めようとする人はたくさんいます。会
議などでも統計資料を美しい資料にまとめ、パワーポイントを駆使
して、一見論理的に進むプレゼンもよく目にします。

しかしプレゼンや資料のすばらしさが、論理性を保証するわけでは
ありません。むしろPCの技術が向上して、見てくれでごまかしや
すくなった分、論旨が曖昧なプレゼンも大手を振っています。

そのためプレゼン準備の時間の大半を、罫線の太さやグラフの色を
いじくることに費やす人もいます。しかし高給をとって昼間から図
画工作をしてはいけません。むしろ時間は論旨固めに割くべきです。

この論理思考、うまくいかないのは方法を知らないからです。日本
人の多くは思考法を学ぶ機会が少ないのです。だから一度、きちん
と学ぶべきです。未知の分野だけに、少し学ぶだけで成果がでます。

学ぶためには社会人向けのビジネススクールに行くのもいいでしょ
うが、時間とお金の制約もあります。そこで本書のような書籍を一
読してみることをお勧めします。本で学んだことを、日常の仕事に
活かしてみれば、すぐに力がつくはずです。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
〒101-0052
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Tel.(03)6273-7950
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