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2005/01/07
101人の起業物語?彼らはなぜ成功したのか?

101人の起業物語?彼らはなぜ成功したのか?

起業するにあたってもっとも大切なこととは何だろう。それは、「新
しいビジネスモデルを作ること」にほかならない。成功者は、何か
しら新しいコンセプトを打ち出している。
熟考した末にひねり出したものでもいい。偶然、思いついたもので
もいい。それが新しいものでありさえすれば。あとは実行する勇気
を持つだけだ。


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■■       ビジネス選書&サマリー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 28,000部>━
■101人の起業物語?彼らはなぜ成功したのか?
■竹間 忠夫、大宮 知信/出版社:光文社
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■■  選書サマリー

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ここ数年のうちに誕生したニュービジネスを、主にIT分野に絞って
取材、その成功者の実像に迫ります。

【1】

起業するにあたってもっとも大切なこととは何だろう。それは、「新
しいビジネスモデルを作ること」にほかならない。成功者は、何か
しら新しいコンセプトを打ち出している。

熟考した末にひねり出したものでもいい。偶然、思いついたもので
もいい。それが新しいものでありさえすれば。あとは実行する勇気
を持つだけだ。

ではどうすれば斬新なコンセプトを創り出すことができるのだろう。
業界の勉強会、異業種交流会、飲み屋での雑談――。人間、どこで
ビジネスチャンスをつかむかわからない。

大切なことは「オレは起業するのだ」という意識を持って行動する
ことだ。アイデアさえあれば、成功への道は開ける。企業の論理が
優先していた時代は終わった。

【2】

これからは、消費者優先の時代が始まろうとしている。その視点に
立脚したビジネスモデルこそ、起業家に求められる第一条件だ。

これは何も奇をてらったり、受けを狙うためではなない。誰も手が
けていないビジネスを立ち上げれば、先行者利益を手にすることが
できるというきわめて現実的な理由があるからだ。

一年でも早く実用化しておけば、それだけノウハウが蓄積できる。
ライバル企業が参入してきても簡単には負けない体力ができる。だ
からこそ旧来の商売ではなく新しいビジネスモデルで勝負しなくて
はならないのだ。

たとえば信太明が立ちあげた「アウンコンサルティング」がよい例
だ。同社はサイトの検索結果表示を上位にするための、検索エンジ
ンマーケティングをおこなっている。自社のサイトが検索エンジン
の上のほうにヒットすれば、閲覧者はぐっと増える。

したがって、検索エンジンにおける表示順位は、起業にとって業績
を左右する大問題なのだ。表示順位を決めるのは、「アルゴリズム
(演算法)」で、これは検索エンジンによってそれぞれ異なる。

【3】

同社「アウンコンサルティング」ではそれぞれのアルゴリズムを分
析し、上位表示されるためのキーワードを決定する。定期的なアル
ゴリズム解析による、チューニングもおこなう。

信太はもともとリクルートの社員だったが、地方活性化の仕事がし
たいと30歳で退社、生まれ故郷の福島で起業した。そんなとき、ホ
ームページの納品先だった福島の企業から「アクセス数が減った」
というボヤキを耳にした。

そこでトライアル&エラーで手を加えるうち、徐々に表示順位を押
し上げることに成功。なおも試行錯誤を繰り返し、上位登録のノウ
ハウをつかんだ。

その後、アメリカに「検索エンジン上位登録サービス」があること
を聞きおよび、それなら日本でもビジネスにはるはず、と本格的な
事業を立ち上げた。

【4】

江幡哲也が設立した「オールアバウト」のビジネスモデルもユニー
クだ。All About Japanは、ガイドと称される、市井の専門家が、
それぞれのテーマについて知識や情報を詳しく紹介するサイト。

匿名の情報ではなく、ガイドの顔と名前を出した上で膨大な情報か
ら本当に必要と思われるものだけを選別し、わかりやすくまとめる。
同サイトにアクセスするユニークユーザーは月100万人に達する。

江幡はリクルートのIT分野で次々と新規事業を生み出してきた「立
ち上げ屋」だ。オールアバウトの構想は、彼がリクルートの経営企
画室にいたときに、すでに考えていたものだ。

その後、アメリカのアバウトドットコム社がまったく同じようなビ
ジネスを展開しているのを知るや、さっそくニューヨーク本社へ出
かけ、契約を取り付けた。

これらのビジネスモデルは厳密に言えば、自分で考え出したアイデ
アとはいえないかもしれない。しかし、大切なことはこれまでなか
ったサービス形態に目をつけた、という点。最大のポイントは1に
も2にもオリジナリティなのだ。

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■■ 選書コメント  
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本書は、起業家のインタビューを集めた書籍です。過去数年の間に
起業した起業家を、主にITの分野に絞って紹介し、成功者の実像
に迫ろうとしています。

特徴は、何と言っても、その事例の多さです。従来も起業家の事例
集はありましたが、せいぜい1冊10名、多くて20名でした。しかし
本書はタイトルにあるとおり101名の事例を集めています。

これだけ多くの経営者の体験談を目の当たりにすると、なんとも壮
観です。起業家101名分の人間ドラマが詰まっているのですから、
その迫力は、十分ご想像いただけると思います。

なぜ、1冊の書籍のためにこれだけ多くの取材が可能だったかとい
うと、実は本書、もともと旧日本工業新聞に5年間にわたって連載
されていたコラムをまとめたものだからです。

だからといって、単なる事例の列挙ではありません。著者の手によ
り章ごとにテーマを設定し、改めて分類し直されています。また章
の総括として、事例から学ぶ「生き残るベンチャーの条件」がまと
められています。

なお、登場する起業家たちが、ビックネーム過ぎないところも魅力
です。起業界のカリスマと呼ばれる、球団を買収するような人たち
の例では、読み手もギャップを感じてしまいますが、本書に登場す
る起業家の例なら「自分にもできそうだ!」と思えるはずです。

それぞれのコラムは、ビジネスモデルよりも、むしろ起業家の人間
性や哲学に焦点をあてています。実は、中小企業までは、会社=経
営者で、経営者を語れば会社のすべてが語れます。

人間性に焦点をあてている本ですから、単に起業に役立つだけでな
く、すでに成功した経営者や企業にお勤めの方まで、あらゆるビジ
ネスパーソンにお勧めの1冊です。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
〒101-0052
東京都千代田区神田小川町3-10 新駿河台ビル4F
Tel.(03)6273-7950
Fax.(03)6273-7951

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