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2005/02/11
楽天の研究 なぜ彼らは勝ち続けるのか

楽天の研究 なぜ彼らは勝ち続けるのか

楽天の三木谷浩史社長が社員に求める「楽天らしさ」は「成功のコ
ンセプト」に端的に現れている。この「コンセプト」5か条は、全
社員が社内で携行を義務づけられている社員証の裏に記されている。

楽天グループにおける5つのコンセプトとは、


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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 28,500部>━
■楽天の研究 なぜ彼らは勝ち続けるのか
■山口敦雄/出版社:毎日新聞社
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■■  選書サマリー

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常勝企業『楽天』。彼らの強さの秘密はどこにあるのでしょうか。

【1】

楽天の三木谷浩史社長が社員に求める「楽天らしさ」は「成功のコ
ンセプト」に端的に現れている。この「コンセプト」5か条は、全
社員が社内で携行を義務づけられている社員証の裏に記されている。

楽天グループにおける5つのコンセプトとは、
 ・常に改善、常に前進
 ・Professionalismの徹底
 ・仮説→実行→検証→仕組化
 ・顧客満足の最大化
 ・スピード!! スピード!! スピード!!

である。ほかの会社でこれを見たなら、単なるお題目だと思うかも
しれない。しかし、これらのコンセプトを、お題目に終わらせず、
実践したところに楽天の成功の秘密がある。

なにより三木谷社長がその実践者だ。このコンセプトは、社員への
垂訓であると同時に、自身の成功体験によって裏打ちされた「生き
た経営哲学」なのだ。

【2】

今回のプロ野球参入までの過程を見ても、この「成功のコンセプト」
の実践が随所に見られた。たとえば、日本プロ野球組織への加盟申
請にあたって、楽天は財界の重鎮で経営諮問委員会を作った。

このやり方は「様々な手段をこらして何が何でも物事を達成する人
間」であれ、という「成功のコンセプト」の忠実な実践だ。

また、日本プロ野球組織への加盟申請からチーム名決定まで、たた
みかけるようにプロ野球チームの仕組化を進め、プロ野球の参入承
認前に「既成事実化」したこともそうだ。

これも「スピード!! スピード!! スピード!!」という「成功のコ
ンセプト」の実践だと言える。

【3】

三木谷社長の経歴を振り返ってみよう。彼は88年に一橋大学を卒業
し、日本興業銀行に入行した。最終的に独立起業を決断させたのは、
95年1月の阪神大震災で、このとき「人はいつか死ぬ。やりたいこ
とをやろう」と思ったからだ。

96年2月、三木谷社長は、貯金1000万円を資本に、コンサルティ
ング会社のクリムゾングループを設立した。仕事の内容は興銀時代
のM&Aアドバイザー業の延長だ。

97年2月には楽天の前身であるエム・ディー・エムを資本金2000
万円で設立、同年5月から「楽天市場」のサービスを開始する。開
店時にわずか13だった店舗数は、3年目に入った99年には2000
近くまでふえ、早くも「日本一」を誇れるようになる。

99年6月に社名をエム・ディー・エムから「楽天」に変更。翌年の
株式公開を発表する。この時点で三木谷社長はすでにネットベンチ
ャーの勝ち組として脚光を浴びていた。だが、まだ「ワン・オブ・
ゼム」だった。

【4】

楽天は00年4月にジャスダック上場を果たす。しかし上場直後IT
バブルが崩壊する。ネット企業がバタバタ潰れたわけではないのだ
が、一部が倒産に追い込まれたのは事実だ。

その中で、三木谷社長の楽天はどうして生き延びることができたの
か。生き延びたどころか、なぜ急成長することができたのか。

逆説的だが、その理由の大きな1つは、まさにITバブルの崩壊に
あると言える。楽天は、バブル崩壊の寸前に上場を果たし、約500
億円を市場から調達できていた。

その直後、バブル崩壊で多くの新興ネット企業は業績が悪化し、価
値が急落した。豊富な手元資金をもつ楽天は、それを原資に低迷す
るネット企業を買収する側に回ることができたのだ。

要するに、わずかな時間先行で他のネット企業を大きく引き離すこ
とができたのだ。運を味方につけたとも言える。

ちなみに楽天と同時期、バブル崩壊直前に上場した会社にライブド
アがある。彼らもまた「先行者の利益」をつかんだ会社と言える。

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■■ 選書コメント  
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本書は、来シーズンから球界新規参入するご存じ「楽天」の歴史と
将来の展望を綴った本です。創業期から現代までの歴史について、
また、次代の戦略について、コンパクトにまとめられています。現
時点で、楽天を知るにはベストの本だと思います。

構成は、第1章で楽天の歴史をダイジェストで語り、第2章?第4
章で創業期から現代の参謀たちがそれぞれの時代をインタビューで
語ります。最後は三木谷氏へのインタビューで締めくくられます。

インタビューは、書籍としては読まない人も多いようですが、本書
は面白く読めます。実は、雑誌では真っ先に読まれるのがインタビ
ューです。誰しも人間に興味があり、一番人間味がでるのがインタ
ビューだからです。

もちろん、インタビューはインタビュアーの手腕によるところが大
きいのですが、本書のインタビューは関係者の人間味をよく引き出
せており、ストーリーとしてもまとまっていると思います。

それにしても本書を読むと、楽天が有能な人材、特にサラリーマン
としてはもちろん、一人の起業家としても一時代を作れるくらい有
能な人材を次々と集めてきことがわかります。

その秘密がどこにあるのか、そのあたりを探る上でも、本書のイン
タビューは大変重要な資料です。

売上高200億円、時価総額1兆円の会社の話というと「自分とは関
係ない」と考えてしまう人もいるかも知れません、しかし、どうせ
なら、規模の大きな成功物語を読みたいものです。

起業志望者や、すでに起業した経営者はもちろん「夢をもちにくい
時代だからこそ、夢を忘れたくない」と考える人には、ぜひ読んで
いただきたい1冊です。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
〒101-0052
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