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2005/05/27
リーダーになる極意

リーダーになる極意

最近、リーダー育成を待望する声が増えてきた。今の経営トップた
ちからよく聞かれる言葉は「自分たちの世代は、過去の成功体験に
固執してしまう。次の世代に経営を託したい」というものだ。
カルロス・ゴーン、ジャック・ウェルチのような、強いリーダーの
出現が、待望されている。しかし、現実にはそのようなリーダーは
育ってきていない。それだけに「次世代リーダー育成」は、いまや
重要なテーマのひとつなのだ。


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■■       ビジネス選書&サマリー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 36,550部>━
■リーダーになる極意
■古野 庸一 (著), リクルート ワークス研究所 (編集)
■PHP研究所
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■■  選書サマリー

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いかにしてリーダーは育つのか?リクルート ワークス研究所が、名
経営者の歩みから、その極意を大分析します。

【1】

最近、リーダー育成を待望する声が増えてきた。今の経営トップた
ちからよく聞かれる言葉は「自分たちの世代は、過去の成功体験に
固執してしまう。次の世代に経営を託したい」というものだ。

カルロス・ゴーン、ジャック・ウェルチのような、強いリーダーの
出現が、待望されている。しかし、現実にはそのようなリーダーは
育ってきていない。それだけに「次世代リーダー育成」は、いまや
重要なテーマのひとつなのだ。

次世代リーダー候補が不足している要因のひとつとして、人材育成
力の衰えがある。人の成長を促進させる仕事経験が、これまでより
貧困になってきているのだ。

【2】

現在の経営トップは、だいたい50代後半から60代。1960年代から
1970年代に入社したグループだ。このころは、高度成長まっさかり
で企業も拡大しており、実力以上の仕事を任されることが多かった。

若年が大きな経営判断を任されるような場合もあった。ところが今
の40代は、実質的な仕事ができる年代に差し掛かったとたん、バブ
ル崩壊を迎えている。

前の世代のような経験をしないまま、次世代リーダー候補の年齢と
なった。30代の人々はもっと悲惨だ。バブル期の大量採用組が上に
つかえていて、以前なら20代がやっていた仕事に追い回されている。

こででは、大きな経営判断を下すチャンスも、部下のマネジメント
をする機会もどうしても乏しくなってしまう。こうした世代の育成
が今や人事上の最重要課題と言える。

【3】

アメリカでは、かなり昔からリーダーシップ研究がおこなわれてき
た。価値観が多様な環境では、チームワークをつくるのに、困難を
ともなうからだ。

ロサンゼルスの近くでおこなわれたあるリーダーシップ研修で、ア
ウトドア体験を取り入れたこんな授業がある。アスレチック施設に
備えられた高さ15メートルの柱から命綱をつけ飛び降りるのだ。

その命綱は、研修で6ケ月間をともに過ごしたチームメイトが持っ
ている。しかし参加したアメリカ人は、チームメイトがちゃんと命
綱を持っているかどうか何度も確かめなければ気がすまなかった。

彼らは、友人を信頼できないのだ。こうしたお国柄だからこそ、ア
メリカでは、学者の数、論文の数、専門書の数どれをとってもリー
ダーシップ研究が日本より数百倍も進んでいるのだ。

リクルートワークス研究所では、ほかにボーイング、GEなど、リ
ーダー育成に熱心な米国企業を取材した。これらの企業は、いずれ
もNPOのリーダー研究・教育機関「CCL」のメソッドを利用し、
リーダー育成プログラムを構築していた。

そこで、われわれは同機関の調査を日本でも展開することにした。
そのなかで10年以上にわたって継続してきたのが「一皮むけた」調
査だ。「リーダーたちは、修羅場経験のなかで成長してきた」とい
う暗黙の事実を、科学的に分析しようとする試みだ。

【4】

「一皮むけた」体験とは、大きくジャンプした経験のことだ。それ
をくぐる前と後では、人間のスケール、視点、視野、自信、ものの
とらえ方、発想法において、大きな違いが出てくる。

調査の結果、リーダーたちのこうした経験からは、次の7つの発見
を得ることができた。
1・アイデンティティの塗り替えに柔軟
2・自己変革もいとわない姿勢
3・修羅場でも逃げないで現実を直視
4・大学時代に学習した知性、教養をずっと活用
5・自分なりのビジョンを描き、実践
6・海外での経験が人格形成に連動
7・高潔さを己に課する姿勢 

ただし、経営トップと事業部長以上の経営幹部とでは、育成の方法
が違ってくることに留意しなくてはならない。リーダー育成と経営
者育成はごっちゃにされる傾向があるが、経営者になるには、一皮
向けた体験だけでは足りないことに気をつけるべきなのだ。

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■■ 選書コメント  
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本書は、日本ではあまり取り組まれてこなかったリーダーシップ研
究の本です。リクルートワークス研究所が、日本の代表的な経営者
18名のインタビューをもとに、リーダーシップの原則を追求します。

インタビューの本と言えば、最近は雑誌に掲載したインタビューの
2次利用を目的にした本もたくさん出回っています。しかし、本書
はそういう本ではありません。インタビューを紹介しつつも、著者
が総括し、普遍的な原理原則を探っています。

ところで、リーダーシップ研究は、米国ではとても盛んです。それ
なのに、なぜか日本ではあまりなされて来ませんでした。なぜでし
ょう?組織を構成する人員の多様性の違いだと思います。

米国は、移民が多く人種も多様です。生涯同じ会社に勤める発想が
ないために、前職のキャリアもバラバラです。組織が価値観の多様
な人たちで構成されていて、とりまとめにより強いリーダーシップ
が必要なのです。

一方、日本の組織は生まれも育ちも働き方も、似た人たちで構成さ
れています。だから、米国ほど、リーダーシップの必要性が認識さ
れてこなかったのです。

しかし、近年の雇用形態の多様化に伴い、日本の会社組織も、かつ
てほど均質でなくなりました。リーダーには、これまで以上に強い
リーダーシップが求められます。本書のような書籍が生まれる背景
もここにあります。

もちろん、本書に登場するのは大企業の経営者ばかりですが、経営
者だけがリーダーシップを身につければいいものではありません。
人が集まれば、必ずそこにリーダーが求められるからです。

リーダーになりたいと思っている人、そして次世代のリーダーを育
てる仕事をしている人にとって、本書は必読の一冊と言えます。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
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