HOME > ビジネス選書&サマリー > 無料版・バックナンバー > 成功のルールは変わった!VCから見たベンチャービジネスの真実

ビジネス選書&サマリー

無料版・バックナンバー

解除ご登録

ビジネス選書&サマリーのバックナンバーをご覧いただけます。


f

2005/07/01
成功のルールは変わった!VCから見たベンチャービジネスの真実

成功のルールは変わった!VCから見たベンチャービジネスの真実

2000年にネットバブルが崩壊したとき、第4次ベンチャーブームは
終わったと言われた。しかし、今、本格的なベンチャーの時代が到
来しつつある。
ベンチャー企業時代の隆盛は、これまでのような一時的なブームで
はなく、時代の大きなトレンドになるはずだ。それにしたがって、
成功ルールも大きく変わりつつある。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■
■■       ビジネス選書&サマリー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 38,837部>━
■成功のルールは変わった!VCから見たベンチャービジネスの真実
■中村 明 (著)、 米倉 誠一郎 (著)
■企業家ネットワーク
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■
■■ 選書サマリー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

大企業信仰ではもう生き残れない!これからはベンチャーの時代!

【1】

2000年にネットバブルが崩壊したとき、第4次ベンチャーブームは
終わったと言われた。しかし、今、本格的なベンチャーの時代が到
来しつつある。

ベンチャー企業時代の隆盛は、これまでのような一時的なブームで
はなく、時代の大きなトレンドになるはずだ。それにしたがって、
成功ルールも大きく変わりつつある。

かつては、よい大学を卒業し、大企業に入って出世競争に勝ち残り、
定年になったら退職金をもらって引退するという成功モデルが一般
的な成功ルールとして定着していた。

だが、今やその前提となる社会構造は大きく変化している。象徴的
な例が上場企業の減少だ。2000年以降、株式市場から消える上場企
業の数は40社、50社と増え、2004年にはなんと84社が消えたのだ。

上場企業であっても安泰ではない状況は、もはや景気の問題ではな
い。日本企業は成熟したのだ。経済全体の規模かつてのように拡大
することはあるまい。

【2】

一方で、グローバリゼーションは進み、続々と外資系ライバル企業
が参入してきている。このような状況下では、本当の競争力がなけ
れば、生き残ることはできない。

それは、企業だけでなく、そこで働く個人も同じだ。大企業に就職
したとしても、これまでのような処遇が得られるとは限らないし、
それどころか、定年までいられる保証すらないのだ。

銀行では、かつて上場企業ほど融資の稟議は簡単だったが、今は逆
で、むしろ上場企業のほうが、稟議が通りにくい。天下りできる役
人も減り、既得権が通用しない世の中になっている。

学歴もまた、役に立たなくなっている。UFJキャピタルの投資先
で、過去3年間にIPO(新規株式上場)した会社98社の社長のう
ち、多かったのは早稲田大学(8人)と慶応大学(7人)だった。

しかし、そのほかは、東京大学、日本大学、駒澤大学など、じつに
多岐にわたっていた。名門大学を出ても、必ずしもビジネス界のニ
ューウェーブに乗れるわけではないということだ。

【3】

では、新しい成功のルールとは何なのか。市場の大きさが変わらな
い以上、同質な競争を続けていても、消耗するだけだ。これまでと
は、まったく違ったやり方で戦うべきなのだ。

たとえば、オンラインの個人取引で大手を凌駕する松井証券、リサ
イクルビジネスのブックオフ、千円カット理容のキュービーネット
がよい例だ。この戦いに勝つ決め手は、個々人の「多様性」なのだ。

日本は大きな構造転換期を迎えている。それは、この2年間におけ
る新規上場企業と破綻の実態によく現れている。

新規上場企業の4割は介護や人材派遣、携帯電話関連などのビジネ
スだ。反対に、破綻しているのは、機械や電気、小売業などだ。ニ
ュービジネスが上場し、オールドファッションが消えているのだ。

【4】

株価にも新しい流れが生まれている。2003年新規上場企業の上場後
の株価上昇率を見てみると、平均で約57パーセントも上昇している。
ところが、日経平均株価はほとんど上がっていない。ジャスダック
やマザーズの株価上昇率と比べてもこの差は歴然だ。

もはや、従来型の製造業では立ち行かない。不確実な勝負ができな
い大企業は、グローバル競争において短期的な戦略しかとれない。
結局、長期的な技術開発・研究はベンチャー企業が担い、大企業が
そうしたシーズを商品化、世界にマーケティングするという構図に
なっているのだ。

かつてのベンチャーブームは、ベンチャーのマーケットがニッチだ
ったために終焉を余儀なくされた。しかし、今度は違う。ダイエー
やカネボウなど大企業が市場から消え、ベンチャーが活躍する土俵
は、むしろ空いているのだ。

トレンドが変わりつつある今こそ、ベンチャービジネスの好機と言
える。ベンチャーが新産業の主役を目指し、社会を変革するべきと
きがやってきたのだ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■
■■選書コメント  
■■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本書は、ヒット率3割5分という驚異の成績を誇るベンチャーキャ
ピタルの雄、UFJキャピタルを率いる中村明氏と、ベンチャー企
業をこよなく愛する一橋大学教授米倉誠一郎氏が、ベンチャービジ
ネスの真実と未来について対談したものを書籍にまとめたものです。

社会構造が激変する今、受験競争を勝ち抜き、大企業に入ることは
もはや「成功への道」ではなくなりました。一方、ベンチャーの隆
盛は単なるブームでなく、時代の潮流になりつつあります。

こうした時代のうねりに翻弄されるのでなく、力強くリードしてい
くためには、各人が教育、仕事、生き方において、価値観を主体的
に転換しなければなりません。

その際のヒントを、ベンチャーを知り尽くした二人の対談の中から
探ろうとするのが本書の試みです。

各章の章末では、本書で触れられた、ベンチャー関連用語に解説が
加えられます。たとえば、IPO、MIT、デス・バレー、キャズ
ム、MOTなど、いずれも企業に勤務していると、あまり耳にしま
せんが、ベンチャーを語る上では常識的な用語です。

こうした用語が、丁寧に、わかりやすく解説されていますので、ベ
ンチャー初心者でも、本書を無理なく読み進めることができます。

さらに巻末には、両人が期待するベンチャー企業家が、十数名選ば
れ、紹介されています。この部分は、起業家名鑑として楽しむこと
もできます。

すでに起業した経営者、投資家、ベンチャーキャピタル、金融機関、
公務員や団体職員の方で、ベンチャー関連の仕事に従事されている
方はもちろん、ベンチャー経営者を志す会社勤めの方、学生の方に
も、一読をお勧めしたい一冊です。

──────────────────────────────

ツイートする FACEBOOK いいね! このエントリーをはてなブックマークに追加

主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
〒101-0052
東京都千代田区神田小川町3-10 新駿河台ビル4F
Tel.(03)6273-7950
Fax.(03)6273-7951

企業情報はこちら

著者の方へ

広告掲載についてはこちら

TOP