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2006/12/08
世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す

世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す

グローバル化は、すべての国、すべての人に未曾有の恩恵をもたら
すはずだった。しかし、グローバル化のせいで貧困が減少するどこ
ろか増大する国々をこの目で見てきた。
グローバル化をもっとうまく機能させるには、特に途上国が恩恵を
受けられるようにするには、改革すべき点が山のように存在する。
早晩、世界はこの改革に着手せざるをえなくなるだろう。


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不公平なグローバル化を阻止するノーベル賞・経済学者の提言

【1】

グローバル化は、すべての国、すべての人に未曾有の恩恵をもたら
すはずだった。しかし、グローバル化のせいで貧困が減少するどこ
ろか増大する国々をこの目で見てきた。

グローバル化をもっとうまく機能させるには、特に途上国が恩恵を
受けられるようにするには、改革すべき点が山のように存在する。
早晩、世界はこの改革に着手せざるをえなくなるだろう。

問題は、その改革を"いつ"行うかということだ。そしてもっと重
要なのが、その"いつ"が次の世界的惨事の"前か後か"というこ
とだ。

惨事が起こってしまってから場当たり的な対策を講じるのは、最善
の方法とは言えない。次の惨事が起きる前に、改革を行おうとする
ならあまり時間はない。

【2】

情報公開が進んだ市民社会なら、チェック機能が働きやすいため、
グローバル化の過程で生じる利権を監視し、産業界と金融界の横暴
を未然に防ぐことができる。

そうなれば、先進国と途上国の一般市民は、グローバル化をうまく
機能させることで、互いに利益を得られるようになるはずだ。

グローバル化の舞台では、さまざまな社会的対立が繰り広げられる。
これらの最重要課題の中には、政府の役割と市場の役割をめぐる争
いもふくまれる。

伝統主義者たちは「市場において参加者各自が私利を追求していけ
ば、神の見えざる手が働いて経済効率が高まる方向へ動いていく」
という考え方をする。

つまり、経済とはもっぱら効率性を追求するものであり、公正さの
問題は政治に託すべき事柄であるというのだ。

しかし、情報が不完全な場合、特に情報の不均衡がある場合"見え
ざる手"などというものは初めから存在しえない。政府が適切な規
制と介入を行なわなければ、経済効率の向上など望めないのだ。

【3】

これまで、グローバル化は特定の価値を押しつける手段として利用
されてきた。だが、グローバル化そのものに罪はない。適切に管理
されたグローバル化なら、途上国と先進国の双方に大きな利益をも
たらすはずなのだ。

国家と国民のグローバル化に取り組む姿勢と、管理する際に見られ
る失敗と不公正さをつぶさに観察すれば「その社会がグローバル化
に対してどんな信条を持つのか」「政府と市場の役割分担について
どんな意見をもっているか」などの点が明らかになる。

所得の不平等の縮小を軽視するエコノミストたちは「政府の格差是
正の試みはコストがかかりすぎて割に合わない」と考えがちだ。彼
らは「政府の介入がなくても市場は十分に効率的だ」と考えている。

一方、「市場は効率的に営まれないことが多い」と考え、所得の不
平等と極度の貧困に胸を痛めるエコノミストたちもいる。そういう
人たちの算定では、不平等縮小のコストはそれほど高くない。

彼らは政府の介入に対しても、深刻な懸念は抱かない。なぜなら、
世界に目を向ければ、注目すべき成功例が数多く存在するからだ。

【4】

不平等と貧困の解消に重きをおく人々は、おしなべて不平等と貧困
の根源を"運"に求めがちだ。

一方、不平等や貧困を軽視する人々は、富を勤勉さのご褒美とみな
している。彼らは「所得の再配分は、労働と貯蓄のインセンティブ
をそぎ、正当な報酬を奪うという点で非道徳的だ」と主張する。

こうした姿勢は、他の問題とも関係している。不平等を軽視して経
済効率ばかり重視する人々は、経済以外の、文化や伝統的価値感な
どを軽視しがちだ。

もし、経済面の意思決定を、彼らの手にゆだねたら、実行される経
済政策もその結果も、間違いなく彼らの政治的関心と文化的価値観
を反映したものとなるはずだ。これだけは、避けねばならない。

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■■選書コメント  
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ノーベル経済学賞受賞者で、クリントン政権下には経済諮問委員長
を務め、のちに世界銀行にも勤務したスティグリッツ氏が、グロー
バル化にかこつけたアメリカの横暴を暴きます。

すべての国、すべての人に未會有の恩恵をもたらすはずだったグロ
ーバル化ですが、もたらしたのは一握りの富める者がますます富む、
世界規模の格差でした。

著者は「その原因は、現在のグローバル化が、アメリカのエゴにゆ
がめられたものだから」と主張します。本書ではそのからくりを暴
き、すべての人に利益をもたらす、正しいシステムを提言します。

もともと数年前に発刊された「世界を不幸にしたグローバリズムの
正体」の続編にあたります。前作発刊当時は、東アジア通貨危機な
ど、まさしく世界が激動する時代でした。

そんな中、IMFが推し進めるグローバル化の欺瞞を告発した前作
は、ノーベル経済学賞受賞者であり、アメリカの経済政策の中枢に
いた人物からの提言ということで、話題騒然となり、世界的ベスト
セラーになりました。

先日の中間選挙で、ブッシュ政権は歴史的敗北を喫しました。国民
の多くがアメリカの政策を支持しなくなっているのです。そんな中
で、本書が出されたことに意義を感じます。

なお、冒頭では「日本の読者へ」と題し、著者が日本の歩むべき道
を示しています。「日本の格差も現在のグローバル化が一因だから
日本も世界と一丸となって、これを阻止すべきだ」と訴えます。

総ページ数400超、内容も平易ではありません。ただ、今読むことに
意義のある一冊だと思います。「そんじょそこらの本では満足でき
ない!」という、ビジネス読書上級者のあなたにお薦めします。

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発行元:藤井事務所 責任者:藤井孝一 
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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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