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2007/02/23
お金より名誉のモチベーション論

お金より名誉のモチベーション論

本書は、人は「お金」よりも、むしろ「承認」や「名誉」によって
動機づけられるという前提に立ち、 職場などの組織で、どうすれば
人を動機づけることができるのかを研究した本です。

特に、日本の特殊事情を前提に考察しているところがユニークです。
日本では、認めてもらうことを熱望していても、口に出しにくいと
いう土壌があります。

「出る杭は打つ」「奥ゆかしさを美徳とする」といった日本で、露
骨に褒められたり、認められたりするのは迷惑です。周囲から叩か
れたり、仲間はずれにされたりするからです。

そうした日本の社会の特殊性の中でも、働く人に承認や名誉を与え
て巨大なパワーを引き出し、しっかりと業績を上げていくための具
体的な方法を満載しています。

サラリーマンは「お金で動く」ものだと誤解されがちです。その象
徴が成果主義です。しかし、それが間違いだったことは、成果主義
の多くが見直しや撤回を余儀なくさていることを見れば明らかです。

もちろん、お金でなく「褒める、認める」ことでやる気に引き出す
方法も以前からありました。しかし「褒めて動かそう」という意図
が見透かされると、これも機能しなくなります。本書は、この点も
考慮した、人を動機づける方法を説明しています。


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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数51,337部>━
■今週の選書
■お金より名誉のモチベーション論
■太田肇/東洋経済新報社
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★本書の詳細、お買い求めは、→ http://tinyurl.com/2srb6u
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■■選書サマリー  
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ほめることが難しい日本で、効果的にほめるには?

【1】

サラリーマンは、給料をもらうために働いていると言われている。
だが、現在のわが国のような先進国で、本当に「お金のため」に働
いている人がどれだけいるだろうか。

彼らを動機づけているのは、お金よりもむしろ「社会的に評価され
たい(評価されるようにしてやりたい)」「有名になりたい」「認
められたい」という承認欲求だ。

それに気づかず「人はお金で動くものだ」と信じこんでいると、彼
らの行動が理解できない。それどころか、企業の人事管理や、国の
政策、各種の制度改革まで誤った方向に舵を切ることになる。

最近話題になっている「格差」の問題も、お金よりもむしろ「名誉
の格差」の問題だ。たとえば、大都市と地方では教育環境や就ける
仕事に差があるが、それが個人の社会的地位の差を生んでいる。

【2】

教育に対する親の姿勢や、経済力によって学歴に差がつけば、それ
が人格的評価を左右してしまう。いったん差がつくと、逆転は困難
だ。経済的格差は、人格的評価の違いから派生したものだからだ。

「勝ち組」「負け組」という言葉にしても、経済面よりも、年齢や
既婚か独身か、子どもの有無など、社会的な面が基準になっている。
みんなが意識するのは、むしろ「名誉の優劣」のほうなのだ。

逆転困難な「名誉の格差」をつけられ「負け組」のレッテルを貼ら
れた人は、同時に誇りや自尊心、自信、挑戦する勇気まで失う。そ
れが、姿勢や生き方までを後ろ向きにし、将来への自己投資や研鑽、
自分の子どもの教育にまで悪影響を及ぼす。

数字に現われた所得や給料の格差だけを縮めようとしても、本質的
な解決にはならないし、所得や給与の格差もさらに広がっていくは
ずだ。

それどころか「名誉の格差」が固定化すれば、「階層」どころか「階
級」にまで発展してしまう。日本が世界に誇るべき階級のない社会
が、早晩崩壊するかもしれないのだ。

【3】

このように、名誉や承認は人間にとって極めて重要だ。よきにつけ
悪しきにつけ、それらの欲求が大変な力で人を動かしているからだ。

ところが、外国人は「日本人は、本当に認められたいのかどうかわ
からない」と言う。自己表現や自己顕示をしないし、褒められても
嬉しそうにしないからだ。そのくせ、誰かが注目されると、すぐ嫉
妬したり、いじめたりする。

理由は、日本では大きな成果をあげたり、卓越した実力を示したり、
積極的に認めたりするよりも、義理を果たしたり、周りとの調和を
保ったりすることで、消極的に認められる場合が多いからだ。ここ
では、前者を〈表の承認〉、後者を〈裏の承認〉と呼ぶことにする。

〈裏の承認〉重視の社会では、互いに突出することを戒め、序列を
守りながら奥ゆかしく承認されようとする。このような風土は画一
性と調和を重んじる農業社会や大量生産の工業化社会に適していた。

だが、本当の「個性尊重」「創造性発揮」が求められるポスト工業
化社会、情報化社会、知識社会では、このような承認の仕方は個人
にとっても組織・社会にとっても大きな障害になる。

【4】

〈裏の承認〉に偏った風土は、時代の要請に合わなくなったのだ。
にもかかわらず、モラルや規律の向上といった名のもと〈裏の承認〉
はますます厳しさを増しているようだ。

何百年も受け継がれた日本的風土はそう簡単に変わらない。それは、
日本の社会や組織の構造と深くかかわっているからだ。

だとしたら、風土を変えようとするのでなく、日本的な風土の中で、
〈表の承認〉が得られるように工夫するほうが現実的だ。承認のし
方が変えれば、実質的に風土を変えるのと同じことになるからだ。

日本ならではの認め方、認められ方を知るべきだ。そうすれば、日
本の組織でも、個人が個性と能力を思う存分に発揮して、生き生き
と働くことができるようになるはずだ。

★本書の詳細、お買い求めは、→ http://tinyurl.com/2srb6u

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■■選書コメント  
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本書は、人は「お金」よりも、むしろ「承認」や「名誉」によって
動機づけられるという前提に立ち、 職場などの組織で、どうすれば
人を動機づけることができるのかを研究した本です。

特に、日本の特殊事情を前提に考察しているところがユニークです。
日本では、認めてもらうことを熱望していても、口に出しにくいと
いう土壌があります。

「出る杭は打つ」「奥ゆかしさを美徳とする」といった日本で、露
骨に褒められたり、認められたりするのは迷惑です。周囲から叩か
れたり、仲間はずれにされたりするからです。

そうした日本の社会の特殊性の中でも、働く人に承認や名誉を与え
て巨大なパワーを引き出し、しっかりと業績を上げていくための具
体的な方法を満載しています。

サラリーマンは「お金で動く」ものだと誤解されがちです。その象
徴が成果主義です。しかし、それが間違いだったことは、成果主義
の多くが見直しや撤回を余儀なくさていることを見れば明らかです。

もちろん、お金でなく「褒める、認める」ことでやる気に引き出す
方法も以前からありました。しかし「褒めて動かそう」という意図
が見透かされると、これも機能しなくなります。本書は、この点も
考慮した、人を動機づける方法を説明しています。

内容は、研究に基づており、実務書というより学術書に近いもので
す。ただし、語り口はソフトで分かり易く、身近な事例やエピソー
ドも豊富ですから、あっという間に読めるはずです。

経営者や管理職、人事担当者など、人を動機づけて動かす仕事に就
いている人はもちろん、子どものやる気を引き出すことに頭を痛め
る親御さん、仕事のやりがいを模索している方にもお薦めです。

★本書の詳細、お買い求めは、→ http://tinyurl.com/2srb6u

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発行元:藤井事務所 責任者:藤井孝一 
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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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