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2007/08/24
オタクで女の子な国のモノづくり

オタクで女の子な国のモノづくり

ユニークな製品を、なぜ世界中で日本のメーカーだけが作れたのでしょうか?
その秘密は日本が世界に誇る「オタク的な文化」「女の子的な文化」にあるというのが、気鋭のコンサルタントで、若者文化を深く愛する著者の答えです。
そして、今後、日本のモノづくりと経済を完全復活させるには「萌え」や「ギャル系」のパワーを生かした製品開発を進めるしかないと、豊富な実例を挙げて明快に指摘します。


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■■       ビジネス選書&サマリー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数55,358部>━
■今週の選書
■オタクで女の子な国のモノづくり
■川口盛之助/講談社
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★本書の詳細、お買い求めは、→ http://tinyurl.com/2ho2ve

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■■選書サマリー  
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オタクの才能を物づくりに生かすことが、日本再生のカギ

【1】

平成の大不況を脱しつつある昨今、日本企業の悩みは「どのように
仕事を進めるのか」という「HOW論」から、「今後、何を手がけ
るべきか」という「What論」に移行しつつある。

では、日本と日本企業は、これから何を作っていけばいいのか。ま
ずは「己をよく知ること」から始めるべきだ。

そこで、日本と日本人に関して「強み」と「弱み」、「機会」と「脅
威」という4つの視点から考えると、「オタクカルチャー」や「ギ
ャルファッション」といった現象が気になる要素として出てくる。

こういった現象に眉をひそめるのではなく、オタク的でギャル的な
日本の文化の良いところを、社会や経済のためにどう生かすかを考
えてみることを提唱したい。

【2】

日本が世界で生き残り、勝ち残っていくためには、オタク性やギャ
ル性といったユニークな価値観が武器になる。

日本人にとってはあまりにも普通のことなので、その凄さを認識で
きないが、私たちが何気なく使っているさまざまな製品は、世界的
な価値観で見るとユニークさにあふれている。

「ポケモン」や「セーラームーン」といったデジタルコンテンツは、
世界のちびっ子たちに熱狂的に受け入れられている。

これからは、これらを生み出してきた土壌から「製品」が生み出さ
れ、独自のセンスをテンコ盛りにした「商品」となって、世界には
ばたく時代がやってくる。

平成不況期は、すべて失敗の時期だったように思われている。だが、
日本人が本来持っていた「モノづくりのための美的センス」が、少
しずつ発酵・熟成し、陽の目を見るのを待っていた時期ともいえる。

【3】

たとえば、日本の最新のトイレは、いたれりつくせりの機能で、世
界に誇れるものだ。まず、トイレに入ると、便器のふたが自動的に
開く。

次に腰をかけると、便座がほどよく温まっている。実は、あのマド
ンナが感動したアイテムがこの温かい便座なのだ。

用を足している間には、用を足す音を隠すために、擬音が発生する。
また、漂い出す臭いを残さないように、脱臭装置も働く。自宅用ト
イレには、「遅延型オートオフの換気扇」も普及しつつある。

用が終わると、シャワーで洗浄が可能である。水を流す際には、大
小のレバーで流し分けることができる。最新型の便器は、人が便座
に座っていた時間を計り、排水の大小を推測して流し分ける。

手を洗う場合も、手をかざすだけで蛇口がそれを検知し、液体石鹸
と水が自動で出てくる。洗ったあとの水切りもジェットエアーで済
ませることができる。

私たちが普通に利用しているトイレの中には、いろいろと「日本人
ならでは」の創意工夫が潜んでいるのだ。

【4】

こうしたユニークな製品ができた背景には、まず、日本人の「便利
であることに対する要求の高さ」がある。用を足す際、やらねばな
らないことは、何から何まで自動化しようとしているのだ。

また、ふたの自動開閉など衛生観念のハイレベルさ、シャワートイ
レなど心地よさ、擬音発生装置など恥じらい気質、脱臭装置など他
人への配慮、大小レバーなど地球環境への配慮なども装備している。

こうして見ると、日本のトイレの機能は「用を足す」という本来の
基本要件には、まるで関係ない機能ばかりだ。日本のトイレは、能
天気なほどに贅沢な機能を装備しているのだ。

この爛熟とも言える贅沢さこそが、日本の真骨頂であり、日本の製
品に備わる強力な武器だ。それを追求してきたのが、日本人のオタ
ク的心性なのだ。

この分野で、日本は他の追随を許すことはない。日本の産業界は、
こうした日本の武器を活かすことで、今後世界に圧倒的な存在感を
示すことができるのだ。

★本書の詳細、お買い求めは、→ http://tinyurl.com/2ho2ve

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■■選書コメント  
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本書は、日本で開発された製品などを通して、日本の「強さ」をさ
ぐる、ユニークな日本論です。特に、オタク的・ギャル的感性こそ、
日本人の特性であり、世界に誇れる「強さ」としています。

そして、その感性を活かしてモノづくりを進めることに、日本の方
向性を見出し、世界で生き残り、勝ち残るための活路を見出すこと
を提言します。

著者は、企業の研究開発など技術経営のコンサルティングを生業と
する方です。このようにお堅い商売の著者が「萌え」「?タン」と
言った事例を取り上げ、まじめに分析するところがユニークです。

本書の魅力は、まず事例が豊富なところです。写真もふんだんに盛
り込まれていますので、サブカルチャーに不案内な方でも、十分つ
いていくことができます。

また、事例がユニークで、雑学の本のように楽しめます。バイクや
スクーターのフェースデザインが歌舞伎の隈取りのようなのは、視
認性を高めるためだそうです。

また、ロボット「ASIMO」の開発にあたってホンダは、人間の
形をしたマシンが歩き回ることに対するキリスト教文化圏の人々の
気持ちを心配し、ローマ法王庁にお伺いを立てたそうです。

こうした、雑学的なエピソードが盛りだくさんで、楽しく読み進め
ることが出来ます。もちろん、著者はコンサルタントですから、論
拠のしっかりしたビジネス書としてまとめ上げられています。

技術者やマーケティング担当者はもちろん、日本の未来を展望した
い方、オタク文化をビジネスに活かしたい方、さらに雑学を仕入れ
たい方まで、ビジネスパーソンに広くお薦めしたい一冊です。

★本書の詳細、お買い求めは、→ http://tinyurl.com/2ho2ve

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■■耽読日記 Vol.19
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■ビジネス書をこよなく愛する藤井が、徒然に書きます。
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●「はじめに」にエッセンスが詰まっている

書店で、手にする本が決まったら、実際にその本を手にしてみて、
自分の目で中身をチェックします。とはいえ、書店の店頭で頭から
読み始めるわけにはいきません。

そこで、本のブラウジングをします。まず「はじめに」の部分をチェッ
クします。本によっては「プロローグ」とか、「序章」とかいう表
現になっているかも知れません。

いずれにしても「目次」の前など、一番最初に書かれている短めの
文章をサッと呼んでみるのです。この部分は、とても大切な箇所で
す。

著者の書籍にかける想いや、書籍のエッセンスが詰まっていて、本
の中身を知る重要な手がかりになるからです。著者の、読者に向け
たラブレターと考えて良いでしょう。

まず「この本は誰に向けて書いたのか」、すなわち対象読者を確認
します。良書は、この対象読者の設定が明確です。たとえば「経済
を学び始めたばかりの人に」とか「投資に興味がある人に」などと
いう具合です。

具体的に明示していなくても、良書なら対象読者を特定できるはず
です。文脈の中で「これこそ私のために書かれた本だ」「これは違う
な」と感じさせてくれるものです。

反対にダメ本は、このあたりがあいまいだったり、不十分だったり
で不明確です。書いている著者本人が、読者をイメージせずに書き
進めている可能性があります。

また「誰にでも役立つ」「参考になる」といった八方美人のような
ことを言っている本もお薦めできません。売る気ばかりが先行して
いる本で、やはり読者のことを考えていないからです。

対象読者が確認できたら、つぎに著者がこの本を、どういう意図で
書いたのか、すなわち執筆目的を調べます。多くの著者は「はじめ
に」の中で、自分が本を書いた経緯や目的を明言します。

著者が、執筆した目的と、あなたが読書をしたいと考える理由が、
ばっちり合致しているようなら、その本は迷わず買いです。

さらに親切な著者なら、この「はじめに」の部分に、章ごとのエッ
センスを2?3行づつ載せてくれています。たとえば「第1章には、
この本を書くにいたった経緯と問題提起が書かれています。第2章
には・・・」という具合です。

このエッセンスを見て、自分の読書目的と合致しているなら、読め
ばいいと思います。また、冒頭にエッセンスを打ち出す著者は、読
者の視点に立てる人であり、サービス精神旺盛な人である証拠です。

そのような本は、書籍の内容全般がわかりやすく書かれているもの
です。有力な購入動機にして良いと思います。

(つづく?)

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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