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2007/08/31
ゲームニクスとは何か―日本発、世界基準のものづくり法則

ゲームニクスとは何か―日本発、世界基準のものづくり法則

なぜ、僕らはニンテンドーにハマってしまうのでしょう?
銀行のATMや電車の券売機などを利用するとき「使いづらいなぁ」
「わかりにくいなぁ」と思ったことはないだろうか。携帯電話のマ
ニュアルを見て、あまりの厚さにげんなりした記憶はないだろうか。
最近、ウエブや家電製品はどんどん複雑化している。たしかに生活
は便利になる一方だ。だが、どれもが使いやすいとはいえないし、
機能のすべてを使いこなしているとは思えない。


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■今週の選書
■ゲームニクスとは何か―日本発、世界基準のものづくり法則
■サイトウ アキヒロ /幻冬舎
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なぜ、僕らはニンテンドーにハマってしまうのでしょう?

【1】

銀行のATMや電車の券売機などを利用するとき「使いづらいなぁ」
「わかりにくいなぁ」と思ったことはないだろうか。携帯電話のマ
ニュアルを見て、あまりの厚さにげんなりした記憶はないだろうか。

最近、ウエブや家電製品はどんどん複雑化している。たしかに生活
は便利になる一方だ。だが、どれもが使いやすいとはいえないし、
機能のすべてを使いこなしているとは思えない。

つまり、使い勝手が機能に追いついていないのだ。なぜ、そんなこ
とが起こるのかというと、それはテクノロジー競争によって新商品
がどんどん開発されているからだ。

「とにかく新機能を追加すればいい」という発想で機器やシステム
が発達してきたからだ。テレビのリモコンを見れば一目瞭然だ。か
つてはなかったボタンが山ほどついていている。

【2】

テレビゲームをしている子どもたちは、ゲーム機とゲームソフトを
与えられると、すぐにそのゲームを始める。説明書を読むことはほ
とんどない。そんなものはなくても、あっというまにのめりこむ。

これらのゲームは、基本的にはどれも同じ機械とコントローラーを
使っている。このコントローラーキーは実に単純で、数個のボタン
と上下左右のキーがあるだけだ。

たったこれだけのキーの操作で、登場人物が走ったり、ジャンプし
たり、飛んだり泳いだりする。話したり、探したり、何か開けたり、
選択したりといった複雑な行為もする。

日本のテレビゲームは、世界的なヒットとなり、日本を代表するコ
ンテンツ産業に成長した。それは、日本のゲームが説明書なしです
ぐ遊べ、のめりこんでしまうノウハウが盛り込まれているからだ。

【3】

ゲーム制作には、プレイヤーを熱中させ、さらに先に進みたくなる
工夫が求められる。つまりヒットするゲームには、次の2つの視点
が不可欠なのだ。

まず「理屈抜きで、直感的、本能的に操作ができる技術」だ。そし
て「人を夢中にして飽きさせない工夫」だ。私は、この二つを柱に
「ゲームニクス理論」を体系立てることにした。

実は、この理論は、ありとあらゆることに応用できる。ヒットして
いるゲームや、人を惹きつけるゲームからは「ゲーム」という枠を
越え、人を夢中にさせる普遍的な理屈を導きだすことができるのだ。

とくに、テクノロジー優先で進んできた企業や、画一的な団体には、
このゲームニクス理論が大いに役に立つ。たとえば、家電業界がそ
の代表と言える。

【4】

日本は「電子立国」といわれ、テクノロジー優先の技術開発に力を
入れてきた。テレビを例にとれば、より鮮明に、大型に、薄型に、
と、技術重視で進化してきたのだ。

だが、ハード的な技術進歩は、ほぼ限界まで来た。今後は、価格競
争に入っていくはずだ。そうなるとアジア諸国には太刀打ちできず、
日本の企業は存続が危うくなってしまう。

最近は、テレビをインターネットにつなげるなど、ソフトのデジタ
ル化を進めることで、多機能や多様なライフスタイルを提案できる
ようになってきた。

そこで問題になるのが、操作性だ。ここで、ゲーム業界が培ってき
た、分かりやすさや、使いやすさ、熱中させるノウハウが、生きて
くるのだ。

このゲームニクス理論は、家電やウエブなど、テクノロジー的の分
野だけでなく、教育やリハビリのような分野でも、利用度が高い。

操作性は、目に見えない分野だから、そこにお金をかけようという
発想が、これまではあまりなかったのだ。

だが、これからは「使いやすさ」の時代だ。ゲーム業界の特殊性を
他業界、他分野に応用するべきだ。そうすれば、日本の明るい未来
が大きく開けるにちがいない。

★本書の詳細、お買い求めは、→ http://tinyurl.com/25rsgo

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■■選書コメント  
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本書は、テレビゲームという、国民にすっかり浸透した技術を通し
て、様々な製品、メディア、サービスを開発する際のキモや、ヒッ
トの秘密を探る本です。

著者は、20年以上、任天堂などのゲームに携わったゲームクリエイ
ターです。その著者が、ゲームに仕込まれた人を夢中にさせる仕組
みを「ゲームニクス理論」として体系化し、解説してくれます。

今後、あらゆる分野で製品開発をする際のベースになりそうな考え
方です。日本の産業界の方向性を探るヒントにもなる、要注目の一
冊です。

私は、最近までテレビゲームをほとんどやりませんでした。むしろ、
時間のムダと考えていました。ところが、この年になって、DSや
Wiiを買い、しかも結構ハマってます。なぜでしょう?

本書には、その秘密が詳しく書いてあります。買ってしまった理由
は「脳トレ」「英語漬け」など、勉強の要素が盛り込まれたからで
す。「勉強になるなら」と、自分に対する口実を見つけたのです。

しかし、ハマってしまったのには、別の理由があります。詳しくは
本文に譲りますが、簡単に言えば「シンプル」、かつ「リズム」「褒
める」など「はまる」しかけが随所に仕掛けられていたからです。

これを種明かしし、分かり易く解説するのが本書です。理解すれば、
ゲーム以外のあらゆる分野で、ヒットするものとしないものの見極
めができるようになるはずです。

使い勝手の大切さを説く著者だけに、本書も読者の視点が十分に考
慮されています。内容は分かり易く、しかも楽しみながら読むこと
ができ、ゲームのようにハマってしまいます。

製品開発の技術者やマーケティング担当者はもちろん、ヒット商品
のヒットの秘密が知りたい人、図らずも大人になってゲームにはま
り「なぜだ!」と戸惑う?私のような人にもお薦めします。

★本書の詳細、お買い求めは、→ http://tinyurl.com/25rsgo

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■■耽読日記 Vol.20
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■ビジネス書をこよなく愛する藤井が、徒然に書きます。
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●目次は、著者の頭の中身を書きだしたもの

「はじめに」は、本の内容の判別に便利です。すでに読者の中にも、
書籍の選定の参考にしている人が少なくないはずです。

しかし、そこに目を付けて、悪用する書き手もいます。本を売らん
がために、この「はじめに」を本の宣伝スペースさながらにセール
ストークを散りばめる著書がいるのです。

このような本は、買ってもらうことが唯一の目的になっているケー
スが少なくありません。または、本全体が著者のビジネスの宣伝に
なっている場合もあります。注意が必要です。

そこで、さらに中身を見ていく必要があります。ここで、ぜひ役立
てたいのが「目次」です。目次は、本の全体を俯瞰するのにピッタ
リだからです。

目次には、ふつう各章の「タイトル」、そして「見出し」が書いて
あります。これに目を通せば、本の論旨と構成、おおまかな内容が
大体分かります。しかも目を通すのに必要な時間は1分くらいです。

目次が、全体を俯瞰する上で優れているのには理由があります。目
次は、著書に関する、著書の頭の中のロードマップ、地図になって
いるからです。 

意外かも知れませんが、著書を書くとき、著者が最初に手がけるの
が目次です。何か書きたいテーマ、アイデアが浮かんだとき、最初
に、全体の構成をA4の紙、二枚くらいに箇条書きしてみます。

もちろん、あくまでもたたき台です。書籍になる際には、できあがっ
た原稿を見て修正されていきますから、この段階ではあくまでも「目
次案」です。

出版社の編集担当者との打合せも、最初はこの目次案をたたき台に
行われます。編集会議に提出される企画書にも、目次案が添付され
ています。著者は、その目次を元に原稿を書き進めるのです。

著者にとって、目次は地図のようなものです。数百ページにも渡る
原稿を、何日かにわたって書くのです。目次がなければ、書いてい
るうちに訳がわからなくなり、道に迷ってしまいます。

そんな時、ちゃんとゴールに導いてくれるのが、この目次です。い
わば、執筆作業とは、目次を骨組みに、そのまわりに原稿で肉付け
をしていくような作業なのです。

このようなに、著者の頭の中の骨格、フレームワークを書きだした
ものが目次ですから、全体をシンプルに、しかしながら雄弁に語っ
てくれます。読み手としては、使わない手はないでしょう。

(つづく?)

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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