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2007/09/14
フォーカス!利益を出しつづける会社にする究極の方法

フォーカス!利益を出しつづける会社にする究極の方法

会社も、人も「フォーカス!」することが重要です。
企業が利益を出し続けるためには、一つの商品やサービス、または
マーケットに的を絞ること、すなわち「フォーカス」することが、
極めて重要だ。
ところが、多くの企業が「ライン拡大」「多角化」「シナジー(相
乗効果)」などによって成長しようとする。経営者は、市場全体が
冷え込んでも、増収増益を続けなければならない宿命にあるからだ。


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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数55,167部>━
■今週の選書
■フォーカス!利益を出しつづける会社にする究極の方法
■アル・ライズ、川上純子/海と月社
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■■選書サマリー  
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会社も、人も「フォーカス!」することが重要です。

【1】

企業が利益を出し続けるためには、一つの商品やサービス、または
マーケットに的を絞ること、すなわち「フォーカス」することが、
極めて重要だ。

ところが、多くの企業が「ライン拡大」「多角化」「シナジー(相
乗効果)」などによって成長しようとする。経営者は、市場全体が
冷え込んでも、増収増益を続けなければならない宿命にあるからだ。

しかし、これが企業のフォーカスを失わせる。IBMは年間630億ド
ルの売上を上げながら、80億ドルもの赤字を出している。GMも、
1330億ドルの収益を上げながら、23億ドルの赤字を出している。

いずれも「成長のための成長」を目指したからだ。かつて「多角化」
は経営戦略としてかなり人気があった。中でも金融事業は人気で、
多くの企業が金融に手を広げ、深刻な痛手をこうむった。

【2】

ゼロックスが良い例だ。保険会社や投資銀行などを次々に傘下に治
めた結果、巨額の負債を抱え込み、金融事業から撤退を余儀なくさ
れた。加えて、本業のコピー製造業まで損なう結果となった。

クライスラーは、自動車製造、航空機、金融、ハイテクと、4つ事
業を手がけるようになったが、後にアイアコッカは「私の最大のミ
スは多角化だった。持ち株会社のせいで、我が社は頭でっかちにな
りすぎた」と告白している。

多角化の過ちを犯すのは大企業ばかりではない。年間売り上げが
1000万ドル規模になると、中小企業の経営者は、自社が巨大化した
と感じるようになる。

そして3、4人のキーパーソンに経営責任を分散するようになる。
その結果、それぞれが自分の箱を抱え、バラバラの方向に走り出し
てしまうのだ。

【3】

「ライン拡大」も企業のフォーカスを失わせる要因のひとつだ。ド
ナルド・トランプは、銀行が資金を貸してくれる事業には、片っ端
から手を出し、自分の名前をつけた。

カジノ、ホテル、航空会社、フットボールチームまで手がけた。マ
スコミは、そんなトランプを「ブランド資産を有効活用している」
と褒め称えた。だが、結局、彼は膨大な負債を抱え込んだ。

今日のビジネスでは、勢いこそが最大の推進力だ。だが、勢いとは、
得がたく、かつ失いやすいものだ。ライン拡大は、ブランドの勢い
を確実に削ぐ行為だ。

それでも経営者は「消費者は、より多様な味、風味、種類を求めて
いる」と考えて、ライン拡大に走ってしまうのだ。

たとえば、ビール業界だ。近年、顧客一人当たりのビール消費量は、
落ち続けている。そこで、ビールメーカーは、より多くのブランド
を作り、消費者に満足してもらおうとしている。

だが、ふつうに考えれば、売れていないのだから、ブランドは減ら
すべきだ。ところが、企業はそう考えない。むしろ、売上が伸びて
いる場合に「新規ブランドは必要ない」と考える傾向にある。

【4】

たしかに、ライン拡大は短期的成功をもたらすことがある。だが、
長期的には、大抵失敗する。ブランドとは、大きな獲物を仕留める
ための狩猟許可証ではなく、カットして磨くダイヤモンドなのだ。

ひとつの会社やブランドをずっと磨き続けることこそ、フォーカス
することであり、成功の秘訣だ。フォーカスに徹するだけで、強力
な企業を育てることができるのだ。

脳外科医がいない地域で脳外科医をやれば大繁盛するのは目に見え
ている。それなのに、なぜか企業は「自分は、素晴らしい脳外科医
だから、心臓や肝臓、肺の手術もうまい」と思い込んでしまうのだ。

「自社の強力なブランドを使えば、ラインを拡大することは楽だ」
そう勘違いする。しかし、それはフォーカスを失い、下手をすると
主力のビジネスさえ、失いかねない危険な道だ。

フォーカスすることを忘れてはならない。それこそが、企業に継続
的な利益をもたらす、究極の方法なのだ。

★本書の詳細、お買い求めは、→ http://tinyurl.com/2wzbfx

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■■選書コメント  
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本書は、戦略論の本です。「ライン拡大」「多角化」「シナジー
(相乗効果)」など、従来の戦略でなく、一つの商品・サービス、
マーケットなどに的を絞ること、すなわち「フォーカス」すること
こそ、あらゆる企業にとって重要であると説きます。

元々、今から10年以上前にアメリカで刊行された本です。当時、日
本でも訳書が出されました。2005年に、原書が最新版として発刊さ
れたために、日本でも再び訳されたものです。

と言っても、古さは全く感じさせません。むしろ、多くの企業が未
だに強力なブランドと、巨額の資金に物を言わせて新規事業に着手
しては失敗し続けており、それが本書の正しさを証明しています。

いつの時代でも、企業は多角化をしたがります。なぜなら、どんな
企業も、自社の主力事業が衰退する恐怖に苛まれており、次の主力
事業を探しているからです。出資者からのプレッシャーもあります。

そのような企業の性質を考えれば、本書の提言が色あせることはな
いと思います。約400ページの紙面に、図版は一つもなく、本書の読
破には、相当骨が折れそうです。

しかし、我々日本人にも馴染みのある企業が、事例として実名で多
数登場しますので、興味深く読むことができます。それでも、時間
はかかるでしょうが、読む価値は十分ある本だと思います。

なお、本書が「フォーカスは、企業だけのものではない。個人も、
国家にとっても重要だ」と言うように、個人のブランディング、セ
ルフブランディングにも、大いに役立ちます。

経営者や幹部ほか、企業の戦略を策定する業務にたずさわる人はも
ちろん、マーケティング担当者、セルフブランディングの必要に迫
られる事業者や専門家など、ビジネスパーソンに広くお勧めします

★本書の詳細、お買い求めは、→ http://tinyurl.com/2wzbfx

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■■耽読日記 Vol.22
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■ビジネス書をこよなく愛する藤井が、徒然に書きます。
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●著者の本音がにじみ出る「あとがき」も要チェック

「目次」「はじめに」、そして本文のうち「第一章?第二章」を、
ざっとチェックしたら、最後に「あとがき」をさらっと読んでみま
しょう。

なぜなら、「あとがき」には、著者の本音が出やすいからです。この
「あとがき」は、編集者も著者に一任している場合がほとんどです。

書くかどうかの判断も、著者の自由という場合が少なくありません。
おそらく「あとがき」はあまり読まれないと思われているからでし
ょう。

また、「あとがき」が入稿されるのは、最後の最後です。そのころに
は、編集者は編集作業が大詰めで、てんやわんやになっています。
正直「あとがき」にまで構ってられないのが本音でしょう。

そんな「あとがき」ですが、もし書いてある場合は、要チェックで
す。なぜなら、本文の出来具合を見抜く、重要なヒントが隠れてい
る場合があるからです。

著者は、自由度と、執筆を終えた開放感とから、本音を出しやすい
のです。ふつうは、執筆の苦労話を披露したり、周囲の人や家族に
対する感謝の言葉を書き添える場所に使います。これはこれで、著
者の人となりが現れて、読む価値ありです。

中には、出版社の意向や、マーケティング上の理由などで「本文に
は、イイタイコトがほとんど書けなかった」という著者もいます。
そういう人が「あとがき」で、憂さ晴らしする場合もあります。

また、この「あとがき」には、本文の意図や、執筆プロセスを見抜
くヒントが潜んでいる場合もあります。

たとえば、著者の中には、執筆を他の人に委託する人もいます。自
分がしゃべり、それをライターが口述筆記していくのです。そうい
う人でも「あとがき」くらいは自分で書くものです。

もし「あとがき」と「本文」のバランスが、いちじるしく悪い場合、
執筆を下請けに出していることが考えられます。また「あとがき」
に、家族や編集者以外の名前がある場合、ゴーストライターさんか
も知れません。

もちろん、著述を下請けに出している本が、必ず悪い本というわけ
ではなく、良い本もたくさんあります。文章のプロのライターさん
が書いたほうが、よほど読みやすい場合もあります。

なお、自分の商品を売るために書かれた本は、たいてい、書き手の
自由になる「あとがき」に商材の勧めを入てきます。ここに売り文
句が並んでいる本は、本文の主張そのものが、自分の商品の売り込
みありきであると考えて間違いないでしょう。

(つづく?)

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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