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2008/03/21
「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い
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「禁じられた数字」って? ビジネスや会計の世界で使う数字には2種類ある。「使うべき数字」と「禁じられた数字」の2種類だ。「使うべき数字」とは「決めつけ」や「単位変換」「金額重視主義」といった、数々の"道具"を使うことで生まれてくる数字のことだ。
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■■ ビジネス選書&サマリー
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数56,011部>━
■今週の選書
■「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い
■山田真哉/光文社
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■■選書サマリー
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「禁じられた数字」って?
【1】
ビジネスや会計の世界で使う数字には2種類ある。「使うべき数字」
と「禁じられた数字」の2種類だ。
「使うべき数字」とは「決めつけ」や「単位変換」「金額重視主義」
といった、数々の"道具"を使うことで生まれてくる数字のことだ。
一方「禁じられた数字」とは、道具を悪用したり、ダメな使い方を
したりして生まれる「事実だけれど、正しくない」数字のことだ。
たとえば、宝くじ売り場の張り紙に「この売り場から1億円が12本
出ました!」と書いてあったとする。あなたが宝くじを買う場合、
どうするだろうか?
「当たりがよく出るところで買ったほうが、当たる確率も高い」と
考えて、そこで買うだろうか。それとも「すでに当たりが出ている
から、当たる確率は低い」と考えて買わないでおくだろうか。
はたまた「何本当たりが出ていようが、関係ない。どこで買おうが
一緒だ」と考えるだろうか。
【2】
正解は「どこで買おうが、まったく関係ない」だ。どの売り場で買
っても当たる確率は全く変わらない。「1億円が12本」も出たのは、
単に購入者が多い売り場だからだ。
事実だが、買う理由としては正しくない数字は、人を騙す武器だ。
使うべきではない卑怯な数字だ。私はこれを「禁じられた数字」と
呼んでいる。
禁じられた数字には、4つのパターンがある。1つ目は「こういう
数字がほしい」という結果ありきで生まれた「作られた数字」だ。
たとえば「ロンドン、パリ、ローマ、ハワイのうち、今一番行きた
いところは?」というアンケートをとったところ、ハワイが断トツ
という結果となったとする。この数字は「禁じられた数字」だ。
なぜなら、この設問では「ハワイの勝利」の結果が見えているから
だ。選択肢の中に、リゾート地は、ハワイしかない。「リゾートで、
ゆっくりしたい」と考える人の票は、ハワイに集中するはずだ。
選択肢の中に、他のリゾート地が含まれていたら、結果はまったく
違っていたはずだ。
【3】
「禁じられた数字」の二つ目は「関係のない数字」だ。その名の通
り、関係がないのに使われている数字のことだ。たとえば、前出の
「1億円が12本」という数字がそうだ。
この数字は、自分が当たるかどうかとは、全く関係ないからだ。こ
のように、インパクトの強い、関係のない数字は、数字が苦手な人
を思考停止にさせるにはもってこいの便利な道具だ。
「根拠のない数字」も「禁じられた数字」だ。さしたる根拠がない
のに、表現の中に数字を使うことで、もっともらしく聞こえてしま
う数字のことだ。
たとえば「○○の優勝で経済効果1000億円!」という経済効果の数
字があるが、あれは根拠のない数字だ。その証拠に、同じ事柄でも
発表する機関によって金額が異なっている。
【4】
計算上はうまくいくが、実際にはうまくいかない「机上の数字」も
「禁じられた数字」だ。たとえば「工場勤務。時給1000円。月30万
円可。寮完備」という求人広告がそうだ。
たしかに、理屈の上では30万円もらうことは不可能ではない。しか
し、実際に月30万円を得るためには、休みなしで30日間、毎日10時
間も働かなければならない。身体がもたないし、労働法違反だ。
このように考えると「寮完備」にしている事情も見えてくる。死ぬ
ほど働くので、住居と職場は近い方がいいのだ。「月30万円」とい
うのは、まさに机上の数字なのだ。
このように数字には、事実だが正しくない「禁じられた数字」とい
うものがある。数字の受け手である私たちは、そのことを認識し、
数字の裏側を読むことを習慣化することだ。
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■■選書コメント
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本書は「数字のウソから、数字を学べ」をテーマに、ビジネスの世
界にはびこる、数字にまつわる様々な常識にNOを突きつけ、次々
とひっくり返す本です。
著者は、ご存知ミリオンセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』
の山田真哉さんです。本書は、その完結編という扱いで、前作『禁
じられた数字』の続編になっています。
まず、上巻のタイトルを否定するタイトルで「やられた!」という
感じです。もちろん、タイトルが奇抜なだけではありません。中身
は、タイトル以上にユニークな内容で、期待を裏切りません。
「宝くじは有楽町で買うべきか」「求人広告のワナ」など、日常の
ちょっとした謎を解きながら、知らずに数字のセンスが磨かれてい
るという、シリーズに一貫したスタイルを踏襲します。
前作、前々作を読んだ上で本書を手に取るのが理想ですが、いきな
り本書を読み始めても十分に楽しめ、学べるように、随所に工夫が
されています。
数字は、有効に使えば、ビジネスの強力な道具です。しかし、数字
を扱った本は、会計の本を筆頭に、意味もなく難しい理屈で書かれ
ていて、読むほどにわからなくなるものばかりです。
だから、ツボを押さえた人だけが、ビジネスにどんどん使って実績
を上げていきます。苦手な人は苦手なまま放置されています。数字
理解度による格差があり、その差はどんどん開いているのです。
そこを、著者の優れた解説力がわかりやすく説明してくれます。数
字に不慣れな人でも、必ず腑に落ちて理解できるはずです。
「数字が苦手」な方はもちろん「得意なので、もっと役立てたい」
と考える方まで、数字をビジネスの道具として使いこなしたい、す
べてのビジネスパーソンにお勧めです。
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